距離
戦いが終わり、先を見つめていた綾人。
これから先に注意していかなければいけない。
リアの屋敷にて休息をしていた綾人達。
各々疲れがあるため部屋をリアが用意して
くれていた。
各自部屋に行き休みを取る。
綾人は窓から外を見ていた。
風に揺れる木々達
まるで踊っているかのようにゆっくりと
風に吹かれている。
すると、コンコンと扉をノックする音がした。
みんな疲れてすぐ寝るだろうと思っていたが
誰だ?と思いながらも扉を開ける。
そこには恵美が立っていた。
「恵美さん、もう大丈夫なの?」
「うん、ありがとう。ちょっと話しできるかな?」
綾人は頷き部屋に招き入れる。
窓際に椅子を置いていたため恵美に座って
もらう。
「はじめての戦いで疲れてる?」
「うん、今まで感じたことのない疲労感だね」
「そうだね、精神的に疲れるからね」
「あのね、綾人くん。ありがとう」
「ありがとう?」
「うん。綾人くんのおかげで力をうまく使えた」
「そんな、恵美さん自身の力だよ」
「綾人くん、恵美でいいよ。なんかさんって
呼ばれてると距離を感じるから」
ちょっと照れながらも恵美は言う。
綾人も少し恥ずかしいみたいで
頬をかきながら
「恵美のおかげでドールマスターを倒せた。
こちらこそありがとう」
「そう言ってくれてありがとう。綾人くん」
「綾人で、いいよ」
「わかった。綾人」
なんとなく緊張する空気になってしまった。
だが二人とも暖かい気持ちになっていた。
呼び方を変えるだけで本当に距離が近くなった
感じだ。
「遅くにごめんね。お礼が言いたかっただけ
だからまたね」
「うん、わざわざありがとう。おやすみ」
「おやすみ」
恵美は自分の部屋に戻って言った。
綾人はまた窓から外を見る。
なぜかさっきより胸の鼓動が速くなっていた。
でも不思議と嫌な気分ではなかった。
不思議な感覚に戸惑いながらも
寝床へとついた。
恵美の訪室。会話によって二人の距離は縮まった。