怪しい館
人気の無い森の中、そこにいたのは…
とある森の中、暗闇の中に小さめな館が
たっていた。
人目につかないその館もまた静けさが
漂っていた。
その館の中から声がする。
「ふふふ、人間とは本当に面白く美しい。
生きてるうちはあらゆる感情に支配され
それに従い生きている。
しかし、こうやって私の手により
可愛い人形となれば、なにも感じることは
なくなり、静かにその美しさを保つ。
ああ、メナよ。そうは思わないかい?」
片手に持っている人形に向かって話しかけて
いるようだ。
当然人形からの返事はない。
しかし、会話は続いていた。
「そうだよね、メナもそう思ってくれて
私は嬉しいよ。また新しい人形を見に行かない
とね」
不気味な笑みを浮かべながら闇の中へと
それは消えていった。
壁には人間のような人形のようなものが
いくつも並んでいた。
次の日の朝、綾人は学校へ行く準備を
していると声が聞こえた。
「お兄ちゃん、朝ごはんできたよー」
彩が朝食の準備をしてくれているようだ。
「今行く」
食卓にはトースト、ゆで卵、コーンスープ
が並んでいて彩は先に食べていた。
「お兄ちゃんも早く食べないと遅刻するよ」
「うん、いただきます」
朝食を食べる綾人に彩が話す。
「そういえば、昨日リアちゃんが言ってた
人形使いさん、今日から気にしていかない
とね。どんな人なのかな」
「そうだな、ドールマスターと名乗る程の
やつだ。人形に対してかなりの執着があるの
かもな」
「ずっと人形持ってるって言ってたし、人形
持ってる怪しい人見つければいいね」
「そう簡単に見つかればいいがな」
彩はすでに食べ終わり牛乳をのんでいた。
綾人も食べ終わりコーヒーを入れる。
「じゃあお兄ちゃん、私先に行くね」
「ああ、気をつけてな。いってらっしゃい」
「いってきまーす」
相変わらず元気に飛び出して行く彩。
その様子を見て微笑んでいる綾人。
「まったく、あいつにはいつも救われるな」
コーヒーを飲み干し、綾人も学校へと
向かった。
森にいたのはドールマスターか?
綾人達の捜索が始まって行く。