廃ビル
綾人と恵美はボマーを止めるために捜索する。
はたしてみつかるのだろうか。
その夜、綾人と恵美はビルの屋上にいた。
綾人はいつものように端に立ち
風を感じている。
「…どこだ…」
静かに見守る恵美。
すると綾人が動く。
「微かな火薬の匂いがきた。いってみよう」
「うん」
綾人は恵美を抱えてビルからビルへと
飛び移っていく。
風を頼りにたどり着いた場所は
昨晩と同じような廃ビルだった。
「恵美さん、昨日のことを考えるとやつも
警戒しているはず。爆弾の数も増えてる
可能性があるから気をつけて」
「わかった」
ゆっくりと入り口に入っていく二人。
入って中に入ると入り口上部が爆発し
閉じ込められる。
「きゃあ!いきなり!」
「大丈夫?恵美さん」
そこに声が聞こえてきた。
「やっぱりまたきたなぁ、風小僧に小娘」
「ボマー!」
姿は見えないが、確かに声が聞こえる。
「そんなでけぇ声出さなくても聞こえるよ
あんまりウロウロされてたら邪魔だからさ
決着つけようか」
「望むところだ」
綾人が右手を構えると風が吹き始め
右手に集まってくる。
そして綾人の右手には刀が握られていた。
(すごい、本当に何もないとこから刀が)
恵美はそれを見ていて驚いていた。
(でも、もしボマーを見つけたら綾人くんは…)
そう、恵美が無理にでも付いてきたのは
訳があった。
(闇落ちしたものは殺さなければいけない)
その綾人の言葉がずっと引っかかっていたのだ。
(綾人くんに人殺しなんてさせたくない
なんとかしなきゃ!)
恵美は綾人に人殺しになってほしくなかった。
だが、自分にはボマーも綾人も止める力がない
悔しさに目を閉じて手に力を入れた時だった。
ぽわん、と一瞬恵美の手が光ったのだ。
「きゃ!」
「どうしたの⁈恵美さん」
「な、なんでもないよ。」
(何?今の)
そこからはどれだけ力をいれたり
手を振り回してみたりしても光らなかった。
(気のせい?)
そう考えながら綾人について歩いていると
綾人が一つの部屋の前で立ち止まる。
「…きっとここにいる。ボマーが」
ついにボマーの居場所を見つけた。
ボマーも待ち構えていたようだ。
そして一瞬起こった恵美の光は何だったのか。