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僕、なぜか幽霊と同居しているんです  作者: 三峰時雨
第一章
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第一章 その5

 7月もあと数日。夏休みの宿題も少し残っているだけで後はほぼ終わった。多分最速記録になるんじゃないかと自分自身そう思う。

 そんな中少し余裕ができた僕達2人と1柱は近くの市民プールに来ていた。

「こう見ていると川内さん楽しそうだな。」

「悠くんはプール入らないんですか?」

「僕はここでしばらく見ているよ。」

「そうなんですか?川内さんと一緒に遊べばいいのに。」

「焼けるのはちょっとな…。」

 数年前、僕はプールで思いっきり日焼けして1ヶ月程度全身がジリジリとした痛みに襲われて…。それ以降プールや海水浴場がトラウマになり、他にも日焼け止めを塗りたくり、夏の日差しをできるだけ避けるようにしてきている。

 今現在も大きめのバスタオルを頭から被って全身を見にまとっている。

 …あ、川内さんがこっちに来る。おそらく今後の展開として、『遊ばないの?』とか言って僕の答えを待たずに水の中へと引きずり込むだろう。

「せっかく来たのに、天城くん遊ばないの?」

「ああ…ちょっと日焼けがトラウマでな……。」

「何言ってるの。男は日焼けしてなんぼだよ。」

 あれ?予想の展開とはちょっと違う。

「ほら、せっかく来たんだから入るよ♪」

 そう言って彼女は僕の左手首を掴み、気分アゲアゲで僕を水の中へ

 ドボン!!

 それと同時にピーと笛の音が鳴り、微かに『そこ!飛び込まないで』という言葉が聞こえた。

 引きずり込む展開は間違っていなかった。

「ちょ、危ないだろ。」

「これから勉強勉強で缶詰めになるんだから今のうちに半年分遊んだ方がいいよー」

 そう言って川内さんはゆっくりとプールに入る。僕の話は聞く耳持たずだった。

「…川内さん。僕の話――」

「えい!」

 水を掛けてきた。

「冷たっ。おま…、やったなー!」

 そう言って川内さんにプールの水を倍返しした。

 久々に口の筋肉が完全に抜けたかもしれない。


 たまにはプールもいいかもしれない。

 プール独特の匂いが混じった水はとても冷たかった。


 電車の中。もうすでに日が落ちだし、暖かな、でもチクチクとする痛みが電車内に入ってくる。

「葵ちゃん。遊び疲れたんでしょうね。すっかり寝ちゃって。」

 僕の肩に寄りかかって幸せそうに寝ている。普通なら迷惑行為でもあるので無理やり起こすのだがまあ仲のいい人なので今回は許す。

「あと数分程度で駅に着くんだがどうしよう。何だかこの寝顔見てしまうと無理矢理起こすのが可哀想になってくる。」

「ならもう30分そのまま寝かせてあげたらいかがですか?」

「え、そしたら最寄り駅余裕で通り越すぞ。」

「別にいいんじゃないんですか?」

「いや、よくな――」

「いいじゃないですか――。」

 その後「悠君の好きな女の子が可愛く寝ているんですよ。」と(ささや)いた

「べ、別に好きじゃ――」

「一緒にいたいんでしょ。」


「うっ…」

 正直この幽霊に僕の恋心を隠し通すのはどんな手を使っても無理だろう。

「30分だけ。ね。」

 30分って結構長いような気がするが、

「わ、分かった…。」

 負けた。普通に負けた。

 それからだいたい25分とちょっと過ぎ。

「ん…。」

 川内さんが目を覚ました。

「ん。おはよ。」と生返事を送る。

「おはよ…」と帰ってきたがその直後「ひっ!」と小さな悲鳴が上がった。

「…ごめん。」

「うん。後で電話出れるかい?」

 声色をちょっと変えてほんの少々威圧を懸かけた。

「…うん。」

「ちょっと悠くん葵ちゃん少し怯えてますよ。」

 威圧を懸け過ぎた。

 その後駅で別れ、家に帰った後川内さんに寝てもいいが今後は隣の人に寄りかからないように

 優しく やさしく やーさーしーくー

 注意した。

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