人形のような海
失いかけた心の味をまだ覚えている
人形のように 死んだように
それでも誰かが手を差し出す
そんな沢山の優しさが
偽善と呼べるほど、軽くなかったことはわかる
水溜まりが広がった
言い訳はしたくなかった
だから、助けも呼ばない
邪魔な虫は自分で追い払った
嫌な目だ
暗い目だ
忌み嫌われる目だ
そうして一人 私の海
魚もいない
つまらないから花を植えた
虫が来た
追い払ったら、花が枯れた
また花を植えた
虫は放っておいた
花は枯れたが、また咲いた
鳥も来るようになってしまった
何もしないで受け入れるだけ
こんな軽い気紛れで
海辺は賑やかだ
思わず溜息が出た
生きてるみたいじゃないか、と
小さな海を守っていこう
踏み込ませはしない
嫌いなものは
打ち寄せる波で浜へ返せばいい
そうして一人 私の海
魚も増えた
いつか
穏やかな目をして
笑えそうだ