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国を創りて何を成す  作者: 灰色人生
I始まり
3/19

3話

2/2


以上です!

 

 ♢パルミオン王国海軍所属ガレオン船♢


 船上に1人の女性がいた。


 その女性の名はオルテシア・ミーニャ・フォン・パルミオン。


 パルミオン王国の第2王女だ。何故第2王女がパルミオン王国の領海を出てこんな遠くの島々へとやって来たのか、それは彼女が別大陸の国へと救援要請を担いに向かっている特使であるからだ。


 現在の王国は隣国のラークタウン帝国に攻め込まれ既に領土の三分の一が奪われておりパルミオン王国軍もその数を半数以下に減らしている。


 現在は遅滞作戦で何とか延命しているに過ぎず次に勇者と言う異世界の者が前線に出てこれば突破されるだろう。


 それ程までに帝国が召喚したと言う勇者は強力で更には勇者の他にもそれに追随する強さを持った仲間が数名いる為始末に負えない。


 その為にどうしても救援が必要な王国はかなりの譲歩をするつもりで第2王女のオルテシアを全権大使として派遣した。


 現在はそんな旅の途中でありこの島々を通るのもラークタウン帝国が海上封鎖している領域を避けて通る為だ。


 後ろから侍従武官のアリッサが声をかけて来た。


「オルテシア姫殿下、此処は冷えますよ。中に戻りましょう?」

 オルテシアに砕けた態度で話しかけて来るのはアリッサ・フォン・ガルドシア。ガルドシア公爵家の息女でありオルテシア付きの侍従武官だ。


 オルテシアとアリッサは16歳であり小さい頃から一緒にいる所謂幼馴染だ。


 その為に彼女には砕けた態度で話しかけて貰っている。


 勿論公の場ではちゃんと2人とも弁えて主人と従者に徹している。


「アリッサ、でも私…不安で……」


 オルテシアは銀髪碧眼の美少女で髪は腰程まで伸ばし少しウェーブがかっている。


 胸は慎ましやかで彼女の悩みの1つだ。


 実際の彼女の胸はその年代にしては普通だが周りの者が皆巨乳な為に自分の胸が小さいと思っている。


 現に声をかけて来たアリッサの胸はでかくEカップはある。


 アリッサは長身で今は男性用の軍服を羽織っておりスラットした体型だ。


 紫髪緑眼で髪はポニーテールにしている。


 腰にはレイピアを携えた軍人全とした格好で似合っている。


「殿下…不安なのはわかりますが、今オルテシア姫殿下が倒れられては事です。なので寒い甲板の上ではなく船内にお入り下さい」アリッサの説得にオルテシアは「わかったわ」と同意して船内に戻ろうとした時見張り台の男が警笛を鳴らした。


 艦内が慌ただしくなりこの船の船長であるデルロ艦長とこの艦隊の司令官のビトケンティス准将が部下と共に艦内から甲板に出て来た。


 隣を走る同じガレオン船からも同じく警笛がなり甲板を慌ただしく水兵が行き交っているのが見える。


「オルテシア姫殿下!貴女様は急いで艦内に退避を」甲板にオルテシアの姿を見たビトケンティス准将は此方に歩み寄りそう告げた。


 それに答えるよりも早く警笛を鳴らした存在が見えた。



 それは余りにも巨大な鉄の船だった。



「なっ……な、何だあの鉄の塊は!?ふ、船だと言うのか!?」


 ガレオン船の全長は50m程に対してフリーデ国所属艦アイオワ級の全長は270.427 m程と約5倍もの差がある。



 そしてアイオワ級艦隊旗艦のアイオワから拡声器によって声が届いて来る。



『こちらフリーデ国所属警邏艦隊のアイオワ号!諸君らの国旗からパルミオン王国海軍の物と判断する!この領域内は我らがフリーデ国の領海である!即刻立ち去る様要請する!なお、従わない場合は貴船を拿捕する用意がある!』


 と警告して来た。

 相手は穏便に事を済ませようと考えている事が伺える。


 そして相手はこちらの倍もある砲をこちらのガレオン船に向けているので下手な真似をしようものなら沈めるつもりだろう。



「か、艦長どうしますか?」と部下の水兵がデルロ艦長に指示を願っている。


「うーむ、ビトケンティス准将どう思われるか?儂は撤退する事を推奨する。幸運にもフリーデ国と言う聞いた事もない国だが彼の国は穏便に済ませようとしてくれている」


 デルロ艦長はビトケンティス准将に意見具申する。


「ええ、それはわかっていますが、もし仮にそうだとしても今我々はこの領海を通らなければ別大陸であるファルラント大陸には渡れません」


 ビトケンティス准将の言うことにも一理ある。


 この島々を通り抜けなければ別大陸であるファルラント大陸には行けない。


 他のルートはラークタウン帝国海軍が海上封鎖している為だ。


 それに大回りしたら渡れるかもしれないが、それまでも補給の問題やそれまで国が保つとも思えない。


 従ってこのルートが通らなければ別大陸に辿り着く事は不可能だろう。


 デルロ艦長とビトケンティス准将が悩んでいるとオルテシアが拡声魔道具を手に取りアイオワ号に呼び掛ける。


 この魔道具は風の魔法が付与されており遠く離れた場所に声が届く様に開発されたもので指揮官は所持が義務付けられている。


『私は、パルミオン王国の第2王女オルテシア・ミーニャ・フォン・パルミオンと申します。まずは謝罪を、知らぬ事とはいえ貴国フリーデ国の領海内の無断の侵入をお許し下さい。…….そして、図々しいお願いとは百も承知ですが、貴国フリーデ国の国家元首殿との御目通りをお願い申し上げます」


「で、殿下⁉︎」と驚きビトケンティス准将がオルテシアの方を向くが、オルテシアの目には覇気が灯っており一歩も引かぬと訴えていた。


 侍従武官のアリッサは「オルテシア姫殿下。私は何処までも貴女様に付いて行きます!」と力強く返事をした。



 それにオルテシアは微笑んで「ありがとう。アリッサ」と感謝の言葉を口にした。


 ビトケンティス准将とデルロ艦長も覚悟を決めたのか黙って頷き交渉旗を掲げさせた。




 一方アイオワ号の艦橋にいる司令官のトルッテ提督はパルミオン王国の第2王女からの要請にどうするか頭を悩ませていた。



 本部からの指示は事情説明であったので一応此処はフリーデ国の領海と伝えて出る様にと言ったら帰って来た返事は総統閣下に会わせて欲しいと言うもの。


 悩んでいるとマッケラン艦長が「トルッテ提督どうしますか?本部に連絡しますか?」と問いかけて来たので。


「そうだな。よし!通信士本部に連絡しろ!パルミオン王国第2王女が総統閣下に拝謁したいと申しているとな!」


「了解しました!」


 通信士は素早く本部と連絡する。


「本部から連絡が来ました!2隻のガレオン船を港まで護送せよとの事です。まだこの辺りには海洋型の魔物の危険性がある為にそれから守れとの事です」


 本部からの指示にトルッテ提督は了解したと伝えろ。と通信士に言い自分はパルミオン王国海軍船に話しかける。


『こちら警邏艦隊提督のトルッテだ。貴官らの要望に応えるとの事だ。我が艦の後に着いて来てくれ」


 それだけ伝えるとアイオワ号は面舵を取り反転していく。



 そして進むアイオワ号の後ろに2隻のガレオン船が続く。


 周りには他の3隻のアイオワ級が続く。



 彼らは気づかなかったが上空にはティーガーが待機していた。



「ふぅ、アリッサ何とか了承を貰えたわね」

 安堵の息を漏らすオルテシアにアリッサも「ええ、一時はどうなる事かと思いましたよ。本当にシアは勝手何ですから。責めて私には事前に説明をして下さいよ。心の準備と言うものが必要ですから」と子供の時の様にオルテシアの事をシアと愛称で呼び、大分砕けた口調でつい話してしまっていると。


「コホン。ガルドシア殿その口調は如何かと?今は公務の最中ですよ」と軽くビトケンティス准将が注意してくる。


「はっ!これは失礼しました。ビトケンティス閣下!」とビシッと敬礼した。


 それに苦笑しながらもビトケンティスは「なら、よろしい」とだけ言い今後の事についてもう一隻に乗っている副司令官のラルゴ大佐とエーテル通信機を通して相談していた。



「ふふ、叱られちゃいましたね。アリッサ」

 と面白そうにオルテシアはアリッサに告げる。


 それを恨みがましい視線を向けながら「オルテシア姫殿下の所為ですよ」と言い頬をぷっくりと膨らましてプイッと顔を背けて拗ねる。


「まあまあ、怒らないでアリッサ。私の部屋に戻ってお菓子でも食べて落ち着きましょう?」と提案して来た。


「べ、別に私はお菓子を食べたい訳ではないですけど、オルテシア姫殿下がどうしてもと仰るなら仕方ないですけどお付き合いします」と顔を緩めながら告げる。


 アリッサは普段はクールですけど時々子供みたいです可愛いのですよね〜。とオルテシアは心の中で思ったが声には出さなかった。出せばまた、より拗ねてしまうのは経験から知っていた為だ。



 2人は仲良く並んでオルテシアの私室へと向かった。



 パルミオン王国海軍のガレオン船2隻は何事もなくフリーデ国の本島オリジネにある軍港では無く民間の港湾の方に案内された。


 これは軍港には軍事機密艦などが停泊している為だ。



 港に着いた事を知らされたオルテシアが見たものはよく整備されている大きな港町だ。



 自国では見たこともない材質で作られた家々、さらに至る所に魔道具と思わしき街灯がある。


 更には車も多数通っている。


 オルテシアの国にも魔力炉を利用した馬車に変わる新しい魔力炉で動く車で魔動車が開発されたが、現在は民間にはまだあまり出回っていなく。


 軍が殆ど利用している。


 それと言うのも魔力炉を小さくするのにまだまだ技術が追いつかず1つ1つがオーダーメイドになる為に、コストパフォーマンスも悪い。従って民間には出回らず出たとしてもと中古だがそれも平民が帰る程安くはなく。買えるのは貴族や大商人ぐらいだろう。


 なのでオルテシアからしたらそれがこんなにも大量に生産されておりしかも民間人が利用しているのは驚きの光景だ。



「こ、こんなにも大量の魔動車があるなんて……」

 と驚いているオルテシアに声がかかる。


「いえ、これはパルミオン王国にある。魔動車とは少し異なります。こちらの車は自動車と言う物ですね」


 そう声をかけて来たのは少将の階級章をした優男だ。


「ようこそ。オリジネ本島の港町カッソへ。初めましてパルミオン殿下。私の名前はキリーク・ソルダムと申します。陸軍の少将の地位を賜っております」


 キリークの姿を見たオルテシアは驚いた顔から咳払いを、1つして凛とした顔に戻す


「コホン……歓迎をありがとうございます。ソルダム少将。質問してもよろしいでしょうか?」


 ニッコリとキリークは微笑み。


「はい、殿下どうぞ」

 どうやら質問に答えてくれる様だ。


「先程仰いました。魔動車とは違うとは?確か……自動車と仰いましたが?」


 ああ、それか と言った雰囲気を出しながら


「ええ、確かにそう言いました。貴国パルミオン王国にある物は魔力炉を使用して居ますが我らの国フリーデ国ではそれを使ってはおりません。では、何を?と疑問に思うかも知れませんがその答えを私の口からは何とも言えません」


 キリークは態々まだ味方にもなっていない他国の人間に教えてあげるほど見た目程軽くはない男だ。


 オルテシアも機密情報の類と思いそれ以上追求しなかった。


 ただもしこの国と友好関係になった時に何かと引き換えに教えてもらおうと心のメモ帳に記入した。



「では、パルミオン王国の皆様を総統府にご案内致します。こちらの車にお乗りください」


 キリークの後ろにはリムジンが並んでおりその周りには護衛車が配備されて居た。


 上空にはA129マングスタが12機が護衛についている。総統府迄の道は既に確保されており後はパルミオン王国の者がリムジンに乗り込むだけだ。


 更に密かに隠密に特化したティターンが数機護衛についている。


 こんな過剰ともいえる護衛戦力に守られた一行は総統府に向かう。










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