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第2話 異世界侵略者、襲来(2)

・・2・・

 突如として発生した大爆発音は教室の窓ガラスこそ割らなかったもののビリビリと激しく振動をさせていた。

 あまりにも突然の出来事に生徒は身をかがめたり、冬斗のように机の下に伏せたり、もしくは悲鳴を上げるなどをしていた。

 女性教師は、生徒の身の安全を守るために、


「落ち着いて! 屈んで、頭を守るようにしなさい!」


 と大きく声を上げて呼びかけるも、女性教師自身も声は震えていた。

 冬斗は頭の上に、たまたま机の上に置いていた教科書を置きながらもおそるおそる窓ガラスから外の景色を覗き込む。


「なんだ、これ……」


 冬斗は、唖然とする。

 文教副都心の中心街もよく見えるそこから先にあったのは、現実ではありえないと思っていた光景だった。

 突然の爆発音の正体は超高層ビルが爆発炎上したことであった。しかも一つではない、幾つものビルが爆発している。さらには真っ二つになって地上に落ちているものもあった。

 まるで映画のような世界。しかし、これは現実である。

 爆発音は連続して続く。その音が起きる度に、クラスの生徒達は悲鳴を上げた。


「ありえねえ……」


「わけわかんない……」


「テロかもしれないぞ」


「テロだとしたらやばすぎでしょ……。わたし達、命狙われるんじゃないの……」


 おそるおそる顔を出して窓から信じられない姿を目の当たりにした冬斗のクラスメイト達は感想を口々に言い合う。

 冬斗は何がどうなっているか分からず混乱していると、近くの席にいる夏未が声をかけてきた。彼女もまた不安が顔に表れていた。


「遠海、これどうなっちゃうの……」


「分からない。けど、すごく不味いのだけは間違いないと思う」


「だよね。でも、そのうち避難も始まるからこれ以上何も無ければあたし達は大丈夫なんじゃないかな」


「たぶんね。ただ、しばらくの間どころか下手すると今日は帰れないだろうかもな」


「そうなるよね……」


「まず何が起きたかも分かんないし……」


「テロ、だったら」


「犯人もいるかもしれないね。でも、こんな大規模なテロなんて聞いたことないよ」


「同時多発、とか」


「だったら尚更まずいと思う」


 冬斗と夏未は見た光景だけしか情報はないものの、予想を話し合っていた。ただ確かなのは、彼らの予測が的中していようがしていまいが、事態は非常に深刻であることであった。

 そうして二人が話していると、正門の向こうの景色を眺めている男子生徒が、


「おい、正門の向こうに誰かいるぞ」


 と指をさして言う。

 男子生徒の声に、一斉にその誰かに視線が注がれる。そこにいたのは、二十数人程の二列の集団だった。

 前列にいるのは見たこともない銃を持った者達。フルフェイスのヘルメットのようなものを被っている為に顔は分からない。

 後列にいるのは、裁判官が羽織るような法衣みたいものを羽織っており、色は黒色だった。手には一メートルを越える杖を持っていた。

 しかし、そこにいる人物達に違和感を抱いた女子生徒が口に漏らしたのは。


「ねえ、あそこにいる人達耳が尖ってない?」


 彼女が言うように、後列にいる法衣姿の男女数人は耳の構造が人間とは違っていた。明らかに耳の先までが長く、尖っているのである。

 その姿はまるでゲームの、


「エルフ、にしか見えないよね」


 夏未が口にこぼしたように、RPGに出てくる架空の種族のそれであった。

 冬斗もその姿を見て、


「エルフ、だなアレって」


「そうだよね、遠海。でも、なんで?」


「なんでって言われても。まさかこの状況でコスプレをしている人達が訪れるわけでもないし」


「うーん。協会の制服でも、軍の服でもないよねえ。あたし、あんなの見たことないよ?」


「僕もだ」


 突然の出現者達に冬斗も夏未も、クラスメイト達も注目していた。正門から見える街にいる人達も目の前にいきなり現れた者達に近付くわけではないがじっと見つめていた。

 だが、ただ一人だけ違う反応を示したのは女性教師だった。

 彼女は血相を変えて、口に手を当てて信じられないといった表情をしていた。


「嘘、でしょ……。どうして……」


「先生、どうしたの?」


 顔を青くしていた女性教師に対して、隣にいた女子生徒が声をかける。

 その時、出現者達に動きがあった。

 前方にいたアサルトライフル銃を持った者達が構え、後方にいた法衣姿で杖を持ったエルフのような者達は呪文の詠唱を始め、魔法陣が現れる。

 それを目撃した女性教師は大声で叫んだ。


「みんな早く窓際から逃げ――」


 しかし、彼女の声は最後まで続かない。

 逃げてまで言おうとした瞬間、数々の銃撃音と同時に女性教師の頭は弾けるように吹き飛んだ。

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