夜の攻防
京太は現在ギルドマスターの部屋にいる、何故かと聞かれれば魔族の襲撃にたいして京太が素晴らしい働きをした、という理由になっている、そう、本当の理由は別にあるのだ。
「ちょっと、結界張らなくてもいいだろ、風魔法なんてもう、撃ち込まないから。」
「本当か?俺はてっきり扉を開けたら風の弾丸ぶっぱなしてくるのがギルドマスターっていう職業の職務内容じゃないのか。」
皮肉たっぷりの返答にギルドマスターは苦笑を浮かべなが言った。
「あのね、ランク1冒険者がブラックフェンリルを倒したなんて信じられないのが当たり前だからね、それを部屋まで呼んで話をしただけでも有難いと思ってほしいよ。」
「それは兎も角、報酬出せ、ブラックフェンリルと魔族とあの黒い影の分、出さなかったら....ここを吹き飛ばしてもいいんだぞ。」
「まあ、報酬は上げるんだけど、この状況だと貨幣で渡すのは難しいんだよ。」
「詰まり、報酬は諦めろと、分かった分かったじゃあ城を爆波して、」
「それだけは止めて報酬はちゃんと渡す、貨幣も渡す、で少し相談なんだけど、貨幣の代わりにマジックアイテムでいい?」
マジックアイテムとは魔力を流して使用する魔道具とは違い、元から魔力を込められていて尚且つ何らかの特殊効果が付されている物の事を示す、例を挙げれば京太のエクリプス等が当てはまる。
「マジックアイテム?どんな効果の奴だ?」
「僕が渡すのはマジックアイテムなんて代物じゃあない、神代品だよ。」
「アーティファクト?なんだそれ?マジックアイテムとは違うのか?」
「まあ、大して変わらないけど違うのは効果が既存のマジックアイテムとはかなり異なるって事かな。」
「もっと分かりやすく説明しろ。」
「例えば氷を作り出すマジックアイテムがあるとする、それをアーティファクトにすれば、なんと!!氷山が作り出せるんだ!!」
「成る程、要するに効果が半端ないって事か、で俺はどんな効果のアーティファクトを貰えるんだ?」
「苦手属性は?」
(ヤバいどうしよ、確か全属性持ちって5人〔人外も含む〕だよな、いやこいつはギルドマスター出会っていきなり風魔法ぶっぱなしてくる以外はまともな筈、てかそうじゃなきゃギルドマスターになれないだろ、多分守秘義務は守ってくれる筈、貴重なアーティファクトを手に入れるチャンスだ秘密なんぞ幾らでも教えてやろう。)
「これから言うことは信じられないかもしれないが事実だからな。」
「何?別に属性について聞いただけじゃないか。」
「俺は全属性持ちだ。」
「...............え?」
「本当だ。」
「全属性!?嘘でしょ!?」
「分かった証拠を見せよう。」
(多分、全属性の魔力を放出すればいいだろ、しまったやり方わかんねえ、取り敢えず魔法にすればいけるか、よし魔法でいこう。)
「火よ、水よ、風よ、土よ、光よ、闇よ、今ここに顕現せよ、《フルマジック》!!」
京太が呪文を唱えると赤、青、緑、黄、白、紫の玉が出現した。
「嘘だろ.......」
「これで分かってくれたか?」
「まあ、大体は分かったよ、でアーティファクトは魔法を込めれる宝石と飛び道具が効かなくなる奴と魔法の苦手属性がなくなる奴だよ、最後のは必要ないよね。」
「魔法を込めれるってどのくらいだ?」
「Lv1なら100、Lv2なら90、Lv3なら80、Lv4なら70、Lv5なら60、Lv6なら50、Lv7なら40、Lv8なら30、Lv9なら20、Lv10は分かんないけど多分10だと思うよ。」
「へえ、じゃあ其にするなんか面白そうだし。」
「因みに全属性で一番得意なのは?」
「全部。」
「Lvは」
「10だ。」
「...........もう驚くのつかれた。」
「それでアーティファクトはいつ貰えるんだ?」
「3日後だよ。」
「金は?」
「それも3日後。」
「そうか、じゃあな。」
「君の活躍を期待してるよ。」
京太はアーティファクトを貰えることに喜びを覚えながら冒険者ギルドを出て、暗闇の中を歩いていった。
京太は何時もの様に宿屋に行き自分の部屋に直行した、そして何時もの様に寝ようとした、しかし部屋に入った瞬間ある問題が発生してしまった。それは.......
「ベッドが一つしか無い、俺の場所がない。」
「大丈夫です、私は床で寝ますから。」
「それは駄目だ、そんな事をしたら世界の損失だ、絶対にやってはいけない。」
「そ、そうですか。」
「どうすれば.......」
(ティアが床で寝るのは無い、俺が床で寝る、のはアリか、いや待てよ...同じベッドで一緒に寝るのは、駄目....じゃない!!よっしゃ!!我ながらいい案を思い付いたものだ、早速寝よう、預かっているのだ多少の役得はあってもいい筈。)
「一緒に寝るのはどうかな?」
「は、はい、こ、この身で良ければ、初めてなので優しくしてください、ね。」
「え?」
(今、なんか不自然な言葉が混ざっていたような気が......)
ティアはそう言うと何故か脱ぎ始めた。その行動に呆然としていた京太は10秒程フリーズしてさらに5秒程パラライズした後やっと意識を取り戻した。
「ちょ!?ティア!!!な、なんで!?」
「キョウタさんなら良いですよ、食べても。」
(ぐっ理性が今ので三割位吹っ飛ばされた、精神耐性をもってしてもこれか、とんでもない威力だ、残りの七割で必死にストップしてるがもうすぐ限界が来てしまう、その前に決着を着けなければ。)
シャツに手をかけ始めたので急いで接近する京太だったが部屋が広かったのが災いして脱ぎ散らかされた服が京太の足下にあり、地面に手を着いて衝撃を和らげようと思って出した両手が何やら好ましい感触を覚えたのでその方向に目を向けると...
(うおっ!?)
ティアがいたそして京太の手で突き飛ばされたティアはベッドの上におり、潤った目でこちらを見ていた。そして突き飛ばしたのは京太であるから当然京太が押し倒した形になっていた。
(ぐはっ!!!理性がもうあと僅かしか残っていない、さっきのは何だったんだろう、いや今はそんな事を考えている場合じゃない、一刻も早く服を着させなければ、俺の理性が危うい。先ず視界を遮断しないと魔法を使おう。)
「《ダークワールド》!!」
「え!?キョウタさん!?どこですか!?」
「ティア!まずは服を着ろ話はそれからだ!《ダークワールド》収縮!!」
京太は闇魔法の視界遮断効果のある魔法の範囲を自分の視界まで狭めるとティアが服を着るまで待った。
「もう大丈夫です。」
「解除!」
「すみません、お気に召さ無かったでしょうかっ!!」
「嫌い、じゃあ無いけど今は疲れてるんだ、今日はちょっと、ね。」
「え?」
「普通に寝よ!」
「ハイ!!」
ティアがベッドに入ったのを確認して京太もベッドに入った。
(なんか疲れた、理性がもう残ってない次なんかされたらもう歯止めが効かないな。あれ腕が掴まれてなんか柔らかいモノに当たってる気がするが気にしない、もう寝る。)
京太はそのまま心地よく寝た、それが疲れから解放されるだけではないのは本人は自覚していない。
遅れてしまいすいません、次回は3月31です。