朝
翌日、いつもは学校ギリギリに目を覚ませる私だけど、今日は早かった。まだ太陽が少し顔を出したくらいで、まだまだ肌寒い時間。
誰も起きていないのか、物音1つしない。こんな静かな我が家を体感したことなどなかった。
私は体を起こして、伸ばして、ベッドから降りる。
いつもならうとうとしているが、今日は目も冴えていて、思考も随分スムーズに回っているようだ。
私はドアを開けると驚きの光景を目にした。
「ルリ!?」
すでにルリが最近買ってもらった私服姿に身を包んで大きなショルダーバッグを体の前で両手で持っている様子でもう数分待っている様子だった。
「おはようございます、お嬢様」
こうして二人っきりの時に敬語で話すのは、大概嫌味だ。
『私、早起きしたよ、褒めてー!』と言ってくるだろうと予測してそれに先手を打ってきたのだろう。
こんなことができる思考力があるということは随分前から起きてたに違いない。
「あれぇ?昨日はあれほど、『お断りさせていただきます、キリッ』とか言ってたくせに、実は私より楽しみだったり?まだまだ、おこさm、ばぶらっ!!」
私の顔面に叩きつけられた容量ギリギリのパンパンに膨らんだショルダーバッグの威力は絶大で、鼻がジーンと痛む。
いつもなら良い眠気覚ましになるけど、今日は目覚めがよかっただけに痛みがそのまま脳に漏れることなく伝えられた。
「早く準備してきてっ!」
顔を赤くしてそんなことを言う辺り、図星だということが丸わかりだね。
私は早々と洗顔と歯磨きを済ませて、ショルダーバッグに着替えやらドライヤーやらを詰めていく。
しばらくはお泊まりだけど、それでも自由行動は許されてるし、ユリアちゃんとも遊ぶことは出来るから安心、安心。
準備が終わってバックを持ち上げると、予想以上に重い‥‥‥
サイズはルリと変わらないはずで重さも顔面に感じた感じではわからないけど、一緒‥‥‥だと思う?
「どうしたの?」
準備が遅いと感じたのかルリが部屋の扉を開けて入ってきた。