天使
「ん~?誰でしょう?」
この甘くて脳が溶けそうな声は間違いない!
私の天使ちゃんっ!
「ユリアちゃん!!」
私が自信満々にそう答えると、私の視界を覆っていた暗闇が無くなり、広場の景色が映された瞬間に、私はすぐに振り向き確認する。
「正解~」
そこには無邪気な笑顔を私に浮かべて桃色の長い髪に真っ白な肌、間違いない‥‥‥ユリアちゃんだ!
「ユリアちゃんっ、寂しかったよっ!」
私は思わずユリアちゃんに抱きつくとユリアちゃんは困った様子で微笑みながら私の頭を撫でながら言う。
「ふふ、さっき会ったばかりじゃん~」
「それでも寂しいのっ、あ、そうだ。さっきまでどこに行ってたの?」
「ああ、ご飯食べてたの」
ご飯‥‥‥私、こういった町でご飯食べたことないかも‥‥‥
でも、ユリアちゃんはこんなに幼いのに働かなくちゃいけなくて学校にもいけない。
私がユリアちゃんぐらいの時、学校に行って色んなことを学んでた‥‥‥
私がそんなことを考えているとユリアちゃんは心配そうに首を傾げて私に訊いてくる。
「お姉ちゃん‥‥‥大丈夫?暗いけど‥‥‥」
「あ、いや、ユリアちゃんが可愛いから見とれてたの♪」
そう言って私はユリアちゃんの頭を撫でる。
「そ、そんなことはないと思うけど‥‥‥だってほら、私の服汚いし‥‥‥」
確かにユリアちゃんの着ている服はお世辞にも綺麗とは言えない、毎日同じ服だから、すっかりボロボロになっている。
「‥‥‥あ、確か私の小さいときの服があったはずだからあげるよっ」
「え!?だ、大丈夫だよっ!いつもお姉ちゃんには色んなもの貰って私、何にも返せてないし‥‥‥」
ユリアちゃんが申し訳なさそうに私に言ってくる。
「ユリアちゃんがいつも笑顔でいてくれたら私はそれだけでいいの♪」
「‥‥‥お姉ちゃんがそう言ってくれるならっ」
ユリアちゃんはそう言って私にいつもの無邪気な笑顔を見せてくれた。
「可愛い‥‥‥可愛い過ぎる‥‥‥」
そう、ユリアちゃんはこうして笑顔でいてくれるだけでいい。
こういう優しい子が報われる世界になってほしい。
いや、私がそういう世界にしたい!
そのためには早く家を出ないといけない‥‥‥
一体どうすれば‥‥‥説得?お父様を?無理無理、聞いてくれない。
なら、夜中に家出とか?
う~ん‥‥‥