地図に載っていない場所
「あ、そうでしたわ。魔導武具の収集に協力してくださるということで、とてもありがたいのですけど‥‥‥本当にいいんですの?」
レイア様は心配そうに首を傾げながら私達に訊ねてきた。
「まぁ、危険そうだということはわかりますが‥‥‥」
ルリがそう言うとレイア様は呆れたようにため息を吐いて何やら独り言のように呟く。
「説明してないのですね‥‥‥あの人」
「?」
「魔導武具というのは危険生物が占領した孤島や、水が一滴もない砂漠、地下迷宮などの世界から行っては行けない地図に載っていない場所にあるとされています。
あくまであるとされているだけなので、本当にあるのかもわからない効率の悪すぎる収集ですの。
それで我が帝国の雇った探検隊、有志の探検隊合わせて42の探検隊全ての連絡が取れていない状況で‥‥‥心配ですわ、あなた方も‥‥‥」
レイア様の言葉にすっかり黙り込んでしまった私たち。
危険だとは思っていたけど探検隊全てと連絡が取れないって、全滅ってことだよね‥‥‥
そして地図に載っていない場所、学校で習ったことがある。これまでも地図を完成させようと何人もそういった場所に足を踏み入れたが、生存者はいなくて、ある孤島に向かった探検隊の船が帰ってきたが全員が白骨化していて、その船は90年前のものだったという話は有名だ。
まさか魔導武具がそんなところにあるなんて‥‥‥
「ですが世界一と言われる我が帝国の騎士団の中には魔導武具こそ手に入れられませんでしたが地図に載っていない場所から帰ってきた騎士団もいますし、武術と魔力の使い方を完璧に習得できれば現在の魔法器具の発達によって世界地図完成も夢じゃないそうですし‥‥‥いざとなれば帝国が誇る最強の危機回避魔法【テレポート】がありますのでご安心を」
笑顔でそう言うレイア様だが、いまいち安心できないんだよな‥‥‥
確かに今、急激に文明が発達してるけど‥‥‥それでも難しいと思うけど。
「あ、ちなみに42の探検隊は全てテレポートの魔法を習得してるので全員帰ってきましたわ。全員魔導武具の発見はおろか、そこに行く途中で怖くなって帰ってきたそうです。まぁいくら探検のスペシャリストとはいえ戦闘能力、魔力は私たち王族やあなた方貴族の足元にも及びませんから仕方のないことではありますけど」




