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第三話「きみといっしょのじかん」

放課後の教室で一緒に勉強する。彼は算数が得意で、彼女は国語が得意。

教えてもらうだけが、お互いの苦手な場所を埋めていく作業が続く。

彼の友達が「お前、勉強なんて……どうしちゃったの?」と聞く。

彼はぶっきらぼうに「うるせー!」と返すだけだった。




手探りで

あなたの事を考える

砂の中を探るように

水の中を掬い上げるように

あなたのことを想ってる

掌に残った感覚は

まるで霧のようで

でもほんの少し暖かくて

それが消えなくて

手探りでまた探してしまう


あなたの声

あなたの温度

あなたとの距離

掬い上げながら

背伸びしながら

乾いた声で

恐る恐るあなたの名前を呼びながら

いつかやってくる「キミ、イラナイ」の魔法に怯えてるワタシの中のワタシ


あなたにとっては些細な

私にとってはかけがえのない

この呼吸している瞬間のすべて


ワタシの中のワタシを知ったら

きっとあなた

ワタシをキライになる






君の苦手な所と

僕の得意な所を

繋ぎ合わせて

貼り付けたら

なんて素敵な二人なんでしょ?


気恥ずかしくて

照れ臭くて

むしろ僕からの「ありがとう」がいつも喉元から出てこなくて

君の「ありがとう」にただ頷く事しかできなくて


ただ君という人が

僕の生活の中に増えただけの一期一会のサイクル

空も飛べるような夢物語を思い浮かべて

浮かべない 夢に溺れるだけって気付く


気付いても

傷ついても

溺れてもいい、だなんて

もう溺れている自覚はあるのに



「ありがとう」を言葉にできない僕が

「明日もね」って約束もできない僕が

きみの名前を呼ぶのにためらいが無いなんてオカシイと思いながら

「ありがとう」を躊躇いなく言う君に

頷く事しかできない僕が



空も飛べるような夢物語を思い浮かべて

浮かべない 夢に溺れるだけって気付く


気付いても

傷ついても

溺れてもいい、だなんて

もう溺れている自覚はあるのに


君の言葉が

僕を空へ飛ばす

君の言葉が

感覚神経、シナプスのすべてを狂わせて


君の空へ



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