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Thook 

お久しぶりです!!初めましての人は初めまして!!

ほんとめっちゃお久です。すいません、本当に書く気が無いと書けなくなっちゃいました。


目の前に居たのは、トュークの初めてのターゲットとなる男。

話していくうちにだんだんと彼の事や、自分の事について解ってくる。

 ふと目を開けると、そこには水晶の中で見た少年がこちらを見ていた。


「あなたが猫鼠犬助?」


 少年の目は、もう全てに疲れているような目だった。


「はい…そうですけど………あなたは『死神』さんですか?」

「はい?…」


 少年は無表情のまま言った。

 本気なのか?でも、この人は人生のほとんどを病院で過ごしている。死が近いのも、解っているんだろう。

 そう解釈していると、少年が言った。


「お願いです…僕を…僕を死なせてくださいっ…」

「え?」


 その顔はさっきとは違う、私にすがるような視線を向け、ベッドから落ちそうな勢いでこちらを見つめていた。

 なんだこいつは。今まで生きてきた命。ずっと働き続けてきた心臓。こんな環境が整っている、屋根がある、壁がある、窓がある、窓の外は綺麗な青い空。その下に生まれてきた、猫鼠犬助という世界でたった一人の存在いのち。そのことを自分から、死なせて…?


「何言ってんの…」

「自分の最後にしたい願望です」

「は?」

「僕は、死んだことがあります」

「な、何言って…」

「一年ぐらい前、僕は急に心臓発作を起こして一度、死んだんです。いいえ、一度じゃない…二度、三度、四度…きっと三十回ぐらい死んでると思うんです」


 余りに淡々と話す少年を見て、怒りも・・・嫉妬も…消え去ってしまった。その少年は、話しながら時々世界のすべてにうんざりしているような表情をした。


「…」

「聞いてもらえました?僕の願望」

「…ええ、しかと受け取った」

「それはよかった。じゃあ、早速お願いします」

「それは無理だね」

「どうして?」

「君の死ぬ時刻は決まってる」

「決まり事ですか」


 私はコクッと頷いた。


「そうですか…それは守らなければいけませんね」

「ええ、だから…」

「だから?」

「君にはこの世界を生きる権利がある。私には貰えなかった権利。それを君は処分しようとしてる」

「あなたには貰えなかったのですか?」

「私には貰えなかった…そう、貰えなかったの。きm…犬助。生きなさい」


 犬助は驚いたような顔を向けた。


「何?」


 そう聞くと、犬助は気まずそうに言った。


「死神が『生きろ』なんて、聞いたことないなと思って」

「ああ…」


 そういうことか。確かに考えてみてもそうだな、死神なのに『生きろ』か。


「ま、でもそんな死神が居ると、あなたが死神なんて信じられないと思いますけどね」


 少し可笑しくなって笑えてきた。


「ふふっ…そうだね」

「あなたの事言ってるのに、何笑ってるんですか?」


 犬助も少し半笑で言った。


「いやそれもそうだなって思ってね…」

「はははっ…そうですか」


 犬助は笑い疲れたのか、はぁ…とため息を吐いた。


「で?その僕が死ぬ時間はいつなんですか?」

「一年半よ。それまで暇そうね」

「結構長いんですね。そうですね、凄く暇になりそう」

「そういえば、親は?」


 この状態で二十分は話してる。さすがにお母さんとか来てもいいんじゃないか?

 犬助は少しためらったものの、ふぅ…っと息をはいて言った。


「もう、十何年来てないです」

「え?どうして?」

「僕が三十回目ぐらいに死んだ時、『バケモノ』『そんな子を産んだ覚えはない』そう言って、病室を飛び出てったきり来てません」

「・・・そう…なんだ……」


 はっきり言うと、それもそうだよね。

 そのほかいろいろ駄弁っていると、白い服、白い帽子を被った女の人がきた。私はその人をじっと見つめていたが、女の人は私に気づかず、目の前を素通りして犬助の前へ行き、なにか話しかけていた。

 どうして私に気付かないのだろう。気付いているとしてもこっちを向いて会釈ぐらいしてくれてもいいじゃないか。


 女の人は犬助と何か話した後、また私の前を通り過ぎて部屋から出て行ってしまった。

 呆然と立つ私に犬助は「あれっ?」と首を傾げ言った。


犬「死神は姿が見えないのは当然じゃないんですか?」

テ「え?そうなの?」

犬「そうなの?って…」

?「そうなの」

犬&テ「「え?」」


 突然聞いたことある声がした。


「この声…アルター?」

「え?」


 すると、私のすぐ横に青い羽根がガッ!と当たった。


「いった!!」

「あ、ごめ」


 ふと隣を見ると羽を生やしたアルターが立っていた。


テ「アルター…!!!」

ア「そんな驚くこともないでしょ…」


 私にとって色々な事を教えてくれたアルターはお母さんの様で、会いに来てくれたことが嬉しかった。


犬「えーっと…違う死神さん?」

ア「ん?まあ、そうね。私はアルター・リニアス。この子の教育係よ」

犬「一人じゃなかったんだ…」


 少し興味深そうに言った。


ア「あの世の死神なんて百万人もいるわよ」

テ「へー…」

犬「へー!そうなんですか!って、あなたも今知ったんですか!?」

テ「え?ああ、うん。あと、私の名前は…ハッ!」


 私はふと、さっき知ったばかりの事をすらすら使っている事に気付き、満悦感でいっぱいになった。


「あなたの名前は?」

「え!?あ、あああ。私の名前はねぇ…ふふふ…」

「?」


 私がまた満悦感にひたっていると、アルターは懐かしい溜め息を吐き言った。


ア「ああ~…だめだわこいつ。じゃあ、私が代わりにこいつの名前教えてあげよっか?」

テ「ハッ!だ、駄目駄目!私が言うの!!」

ア「はいはい…じゃあさっさと言ってよね…」

テ「えーとねっ!私のな・ま・え…ふふっ…テューク・サスティよっ!!」

犬「テュークさんですか…」

テ「うんっ!!そうよっ!」


 人に名前を呼ばれるのはこんなに気持ちがいい物なんだ。ほわぁ~と私の周りに花が咲く。


犬「うれしそう…ですね?」

テ「ほえ?うんっ!そりゃあね~…うふふ…」

ア「キモチワルイ」

テ「どうふっ!」


 アルターの鋭い一言に私の心に矢が刺さった。

 アルターはふぅ~っと溜め息を吐き言った。


ア「んじゃあ、私はこれでおいとまするわ。私のターゲットもいるしね」

テ「へえ~いるんだ」

ア「勿論よ。ずっと死神は忙しいのよ。じゃあね、あの子が呼んでる」

テ「うん、バイバイ」

犬「さよなら」


 犬助と私は小さく手を振りながらアルターを見送った。アルターは羽を伸ばし窓をするりと抜けてどこか遠くへ飛んで行った。


「アルターさんにも羽があるってことは」

「ん?」


 犬助はまだ手を振りながら言った。


犬「テュークさんにも羽があるってことですよね?同じ死神だし」

テ「うん、あるよ。見る?」

犬「はい!是非!」

テ「よーし……」

犬「…」

テ「…」

犬「…?」

テ「…あれ?」


 ここで私は一つの疑問が浮かんだ。

――どうやって羽生やすんだ?――


「どうしましたか?」

「どうしよう…」

「え?」

「犬助っ!どうしよう!羽の出し方が分かんないっ!!」

「ええっ!!?」


 そうだ、さっきは勝手に生えてて自分でびっくりしたんだよ。


「あっ!」

「どうしました!?」


 私は、こっちの世界に来る直前にアルターが言っていたことを思い出した。


(そうだ私、アルターと会話ができるんだったッ…!!)

――何よその探偵漫画によくある台詞せりふ


 ひらめいたと同時に、すぐ聞こえたアルターの声に少し胸の奥がきゅうっとなって嬉しくなった。


「アルターだっ!!」

「えっどこですか、もう見えませんけど…?」

「違くて、会話してるの」

「誰とですか?」

「アルターと」

「い、今ですか?」

「そうだけど?」


 ぽかーんと口を開けて「どうやって…?」と微かに漏らしたのを、私は聞き逃さなかった。


「聞きたい?」


 少々口元がニヤケながらも目元を細めて犬助の方をチラリと見ると、犬助は大きく首を上下に振った。


「私達は、たぶん、心の中で会話ができるの。今それで少し会話した」

「す…凄いっ!!」


 キラキラした笑顔でこちらに身体を乗り出して顔を私の顔に近づかせた。少し驚いたものの、またドヤ顔に移る。


「ちょっと待ってて…まだ会話の途中なの」

「どうぞどうぞっ!!ごゆっくり!!!」


 ふふんと鼻で笑って、アルターに話し掛ける。


(アルター?)

――何よ。

(私は今、犬助に尊敬の眼差しを向けられているの…)

――…そう。

(すごいでしょう?)

――凄いわね、うん凄い凄い。

(ふっふ~ん♪)

――適当に行ったのに…純粋ね貴方は。

(なんのことぉ?)

――なんでもないわ。で?どうしてこれを使っているのかしら?

(ああ、そうだそうだ。忘れてた。…ねぇ、アルター…)

――だから何?

(羽の出し方…教えて…?)

――…ふふっ…散々威張っといて…っ

(うっ…うるさい!早く教えてよっ!!)

――あら。それが人にものを頼む態度かしら?

(う……。は、羽ノ出シ方ヲ教エテ下サイ…)

――あらまぁ?それがあなたの本気(?)なのぉ?笑えちゃうわね、ほんっとおかし…くくっ

(ちょっとっ……あぁもう分かった!!羽の出し方を教えてください!)

――『アルター先生』付けて

(はぁ!!?)

――いいから…くくっ

(腹立つっ……はぁ…もういい、『羽の出し方を教えてください、アルター先生』…これでいい?)

――バッチリ、んじゃ教えるわよ?

「あたしがあんたに何をしたって言うのよ…」

「はい?」


 つい口に出してしまった。となりの犬助は頭上にハテナを浮かべている。


「あぁ、ごめんなんでもない」

「もうちょっとですか?」

「うん、もうちょっと」


 精神を集中して本題の説明を聞く。


(いいよ)

――ん。……しっかし、いざ教えるとなると勇気要るわね…

(どうして?)

――ううん、後で分かるから何も言わない。それはいいから出し方ね。

(うん)

――ま、ただ簡単な呪文を唱えるだけだし。すぐ覚えられると思うわよ。

(どんなの?)

――……Brity Nighter

(ぶらいてぃーないたー?へんなの)

――仕方ないでしょ、昔から伝わるんだから。

(ふーん…Brity Nighterねえ…あ、ねぇ、意味は?)

――聞いちゃう?

(うん。…もしかして駄目?覚えやすいかもと思ったんだけど)

――…覚え方は人それぞれだし、教えるわ。たしか…『我の背に眠りし翼_今ここに出でよ』っていう…

(わぁ…)

――…もういいかしら?そろそろあのターゲットの所に着くのだけれど…

(えっあ、うん。いいよ)

――また困ったことがあったら呼びなさいよ。じゃあね。

(うん…じゃあ…)

「あれ」


 ふとまぶたを開けると、犬助はベッドの上で顔だけ横を向いて小さな寝息を立てていた。窓からこれでもかと言わんばかりに差し込んでくる陽光に負けてまぶたを閉じてしまったのだろう。


「折角、羽の出し方聞いたのに…」


 そっと近寄り、立ったままで犬助の顔を覗き込む。静かに眠る犬助は本当に死んでいるようで、口かられる息は少しハネた髪を振動させている。自分の手を伸ばし、犬助の頬に触れてみた。痩せている犬助の頬は少し骨ばって、柔らかい感触とは言えない。けれど、必死にあるじを生きさせようととくんとくんと流れる血液で生温かさを保っている。

 この子の病状なんて知らない。名前だけ聞いてもどうせ分からないし、症状を聞いても気持ちが沈むだけ。この子に同情をしたって、本当に本人の気持ちや考えてることが分かる訳ない。


「でも…」


 私みたいな世界に見放された存在でも、苦しみながら『明日も生きなきゃ』と考えていたのにこの子は自分から死にたいと言った。その気持ちはあまり分からない。分からないけど、もし本当に心から死にたいと言ったのならさっきの笑顔は何だったんだろう。初めて顔を合わせた時は確かに顔の表情だけで絶望していたことは分かった。だからこそ、はははっと笑った犬助の顔はよく目立った。あ、こんな子も笑うことができるんだ、と少し驚いた覚えがある。


「Brity Nighter…」


 ふと思い出した羽を出すための単語を口に出してみる。するとその直後、肩にずっしりとした重さがかかった。視線を後ろに向けると、見覚えのある私の翼が生えていた。あの時と同じ、根元は真っ黒で先は白へと変色している。ふっと微笑んで羽を撫でながら久しぶりと呟く。そうしたら、頭に名案が浮かんだ。


「ほーれ、君が見たがってた羽だぞー」


 体の向きを百八十度変えて、犬助の顔に一本の羽の先をうりうりと当ててみる。


「う~ん」


 犬助の顔は少し口角が上がり、こしょばそうだ。案外楽しかったからもっと鼻とか目とかに当てたかったけど折角寝たのに起こすのは億劫おっくうだからやめておいた。


「つまんないの」


 はっと息を吐いて薄い真っ青なクッションの付いたパイプの丸椅子に腰掛ける。横の犬助は相変わらずまぶたを閉じて無表情、笑いは直ったのか。そんな犬助でも犬助なりに気持ちよさそうに寝ているようで、こちらにも眠気がうつってきた。ほあ~と大きく口を開け、閉じたのと同時に犬助の顔の真ん前のベッドの端に自分の顔を乗せ瞼を閉じた。

今回は少し早く終わっちゃいましたね、すごいなあ前回の自分。あと1000字なんて思い浮かばなかったよ、でもまあいっか、今回は一段落の話だったのでこっからちゃんとグングンとストーリー勧めたいと思ってます(予定)。

今回も書くことあんまりなんですね、あ、そうだ。これの一を姉に褒めてもらいました。やったあ。ありがとうございます。

此処まで読んでくださりありがとうございました。更新遅れる気がしますが次回もご期待くださいね!!ノシ

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