トラブルブレイカー
また友人と能力者という縛りで作ってみました。あとがきにちょとだけ解説載せてます。
「うおぉスラムダーンク!」
弘子がゴールポストまで高く跳びあがり、バスケットボールを華麗にダンクした。
「イエェイ!」
「いぇい、じゃないわよ。アンタとバスケやると勝ち目なくてつまんない。今から能力使用禁止な」
「うぇええ~?」
まぁ、こんな堕落した毎日を私は過ごしていた。
この世の人間は、誰もが特殊能力を持っている。
それは21世紀くらいまではなかったらしいけど、遺伝子組み換え食品を食べまくった私の曾祖父母のおかげかせいか、どっちにせよ父さん母さんの世代から爆発的に能力者が増えた。
そしてその能力は軍事利用、国宝扱いされるに至り、人類は生まれた瞬間から要る子と要らない子に分かれることになった。
私や弘子はその要らない子集団が通う高等専門学校に通っているわけだが。ちなみに弘子の能力は自分や自分の近くにあるものの重力干渉を極端に減らすことだ。
しっかりと計測させてもらったことはないから詳しくはわからないが、弘子は月面で感じる重力くらいにまで減らすことができるらしい。このまま育っていけば体がなまって仕方ないのではないかと不安になる。
ところで。私の能力はというと。
不幸にする能力。
何の役に立つんだ、人を不幸にする能力なんて。
私の能力は他人をちょぴっとだけ不幸にする能力。
そしてその不幸を私も背負う能力。
たとえば、誰かの幸せがお金持ちになることで、不幸せが貧乏になることだったら、私が能力を使えばその人は財布を落としたりする。
そして決まって私も甘味処でバカ食いしたりしてしまう。
我慢すればいい? バカ言え。呼吸するのと同じ感覚で金銭を浪費したくなるんだ。対価と言ってもいい。それなしには決してならない。
あ~あ、こんな能力なくなればいいのに。ショッピングモールの甘味処で餡蜜でも食べて気張らししよう、そうしよう。
ゴゴゴゴゴ!
大きな地震だった。イミフだ。そんな能力聞いたことがない。
私の能力の上位互換を持つ国連の偉い能力者が天災防止を祈っているから、こんなに大きな地震は絶対に起こらないはずなのに。
「世界滅ぼすわ」
「は?」
ショッピングモールを歩いていると30歳過ぎに見えるおっさんが喚いていた。どうみても危ない人ですありがとうございました。
「特A級の能力をも塞ぎこむ俺の「天災を起こす能力」があれば世界が俺に屈服するぜゲヘヘゲヘ」
解説乙とでも言ってもらいたいのか、雄弁多弁とクレバースマートは同居しないことを再認識させられました。
能力は、言ってしまえばどんな事象にも干渉する。
人を不幸にする能力に対して、人を幸福にする能力だって存在する。その二つの矛盾した能力が同時に発動したとき、どうなるか。
単純だ。弱い能力が打ち消され、なかったことになる。
その強さはアルファベットで位付けされているのだが、おっさんの言っていた特A級は最高クラス。
神話で言えばオーディン、オリンポス、ゼウス、天照大神。
私の好きなモノランキングで言えば餡蜜、抹茶アイス、抹茶ポッキー、ドラゴンボールだ。次点で弘子とチョコレートパフェ、バナナクレープだ。
「ようはおっさんの能力は誰よりも強いわけだって言いたいんだ?」
私はおっさんに近づき語りかける。クラスのムードメーカーを自称する私はトラブルメーカーでもあるみたい。弘子に言わせればムードブレイカーでもあるようだが。
「なんだい嬢ちゃん、俺は新世界の神になる男だぜゲヘヘ、側室に置いてやろうか~?」
本妻扱いじゃねーのかよ、と変なところにつっかかりそうになったけど、まぁシャブきめたクソおっさんだということはわかった。
「せっかくだけど遠慮するわ。ところで、世界滅ぼすのがあなたの幸せ?」
「あぁ!そうさ!こんなつまらない世界に生きる人たちが悲しむ顔をみるのが俺の至上の幸せ! 笑顔の絶えない世の中は俺にとって苦痛でしかねぇ!」
「つまりは、みんなが幸せなのがあなたの最大の不幸なのね?」
「あぁそうだ、こんな世の中くそくらえ!」
いい加減下品な言葉遣いに閉口するわ。けどね。
「うんちを食べるのはあなたの方よ」
「ああ!?」
「他人の不幸は蜜の味(ハニーズハニーミザリー(恋人の甘美な悲しみ))!!」
毎回これを唱える私の身になれ。恥ずかしい。
世界が歪む。ピタ、と地鳴りが止み、静寂が訪れる。
「な、何をしたってんだ!?」
「私の能力で貴女の不幸をちょっぴり叶えたわ。人がいやがる地震も止まったし、直にあなたの嫌いな人間共が笑顔になってくわね」
「お、お前何ニヤニヤしながら解説してんだよ!ハハッ」
そういうあなたもわらっているではないか。ハハッ。
……ダメだ。もう効果が出てきてる。
「せいぜい不幸を楽しんでらっしゃいな、ハニー」
私はまるで負け犬の遠吠えをするかのように捨て台詞を吐いておっさんに背を向け歩き出した。向かうは甘味処だ。このストレスのぶつけどころは餡蜜しかない。
こうして要なしの私は、特A級の能力者をいなして世界を救ったわけだが、私は人知れず浪費して餡蜜を食らうのだ。不幸だ。
私ちゃんは能力には対価があると言ってますが、実際には能力はないという設定です。
私ちゃんが能力を使って自己嫌悪に陥り、ただストレス解消のために餡蜜を食べにいくだけです。
ただ、最後はみんな幸せになりました。さらに餡蜜に金を落とす私ちゃんも大好きな餡蜜が食べられて幸せなんだと思います。
ハッピーエンド至上主義!




