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ふるさと

作者: 山本大介

 拙作はアーカイブ作品になります。

 だいぶ前に書いたお話ですね。


故郷と言っても私にはあまりピンとこない。

それは父の仕事の都合で何度か引っ越しによる転校を余儀なくされたからだ。

しいて挙げるなら長い期間を過ごした父の故郷八女だろうか。

幼い頃を過ごした日々がふるさとというのであれば、私のふるさとは、幼児期を過ごした宗像(福岡県宗像市)ではないだろうか。

とはいえ、なにせ小さかったし、日々の大半はぼんやりとしか覚えていない。

よく覚えていることといえば、幼稚園の時先生に叱られて、物置小屋に閉じ込められて泣いていた記憶ぐらいである(笑)。


それでもと思い出してみると、官舎の団地に、父、母、妹、私の4人暮らし、目の前には広い芝、半年に一度に行なわれる溝のドブさらいの記憶、毎日の幼稚園通い、部屋の間取りぐらい・・・週末には父と母の仲の良い団地の友人とのテニスに連れていかれて、妹と一緒に球拾いなんて日々だったと思う。

時折、祖父や祖母が孫(私達)の顔を見に来て、可愛い私たちにおもちゃを買い与えたり、近くの神社や公園で肉まんや松ヶ枝餅、ジュースやアイスなどを買ってくれたのも覚えている。


そんな漠然とした日々の記憶も就学間近となると、よりはっきりしてくる。

多分5歳の夏の頃だろう。

太陽がギラギラと輝き、透き通った青空に大きな入道雲がたなびいていた。

乱雑に生える松林の群れを抜けると広がる海が、私の視線一杯に広がった。

お世辞も美しい海とは言いがたかったが、波が日の光に照らされて、キラキラと乱反射して輝き、なんだか子供心にワクワクしたものだった。

いつかの休日、地引き網が開かれ、近所の人たちが大勢集まっていた。

大人たちに混じって子供たちも綱を持って、掛け声とともに全力で網を引き始めた。

「わっしょい。わっしょい」

網が引き上げると小魚がついついている中、なんとカブトガニまであがってきたのだ。

おそらく死んでいたんだろうが、物珍しい海の生き物にじっと目を凝らして見ていたものだ。

砂浜、潮の匂いを覚えている。


4、5歳頃になると物心もつき、団地の友達も出来、夕食会のカレーや誕生会、その後の花火、夜のカブトムシ探しで遭遇した巨大ムカデ、蜂の巣を叩き落としたり、たいして遠くも行けないのに探検ごっこと称したり楽しんだ。

それから近所の悪ガキの お兄ちゃんと一緒に、電車のレールに10円玉置いて、それが見つかり親にこっぴどく叱られた。

それでも一生懸命遊んだことに間違いはない。

コンクリートの団地と潮の風を感じて、私は育った。


そう典型的な二十数年前の子どもだ。

時々ぼんやりする時、思い出すことがある。

目を閉じれば意外にも、生き生きとあの頃が焼き付いている。

みんなどうしているかな?

たまに思い出すのもいいものだ。

 いや〜この思い出、忘れとった(笑)。

 月日が経ってますからね。

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― 新着の感想 ―
ウサギ美味しい、かの山 小鮒食いし、かの川 喰ってばかりだな (ノ`Д´)ノ彡┻━┻
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