囚人服に身を包んだ私は……
囚人服に身を包んだ私は
今日も懲りずに 衆目にさらされる
刑罰は羞恥 ギロチンもロープもない
だから私は虚妄を身にまとう 今日も安らかに過ごすために
私は睥睨する 道行く男を
『君は知るまい 我が劇的な半生を
この体中に刻まれた 悲壮な古傷たちを』
そう虚栄を満たし 彼を忘れる
私は流し目を送る 道行く女に
『あなたはご存じないでしょう 私の約束された未来を
ただ一人の女性のみが相伴できる 私の成功を』
そう虚栄を満たし 彼女を忘れる
こうして誰も彼も消費し
不格好な型に 虚栄を流し込めば
無能のレッテルも スティグマに見えてくる
私にこそ授けられた 尊き苦難の痕跡に
私の双眸は落ち着きなく彷徨い
遠くに一組の若い男女を見つけてしまう
顔も見えないほど遠くから 美しい恋人たちは
快晴の真昼よりも 強く私を照りつける
半身の探究者よ つがいのカッコウよ
サクランボウよ 若き恋人たちよ
詩歌の文学の文明の光源よ
罪深き憎き光よ 世俗の正義よ
お前は征服する 我が暗澹たる虚構を
お前は破壊する 我が優しき黄昏を
お前は略奪する 我が甘美なまどろみを
暴力だよ お前が私に振りかざしているものは
勝利を約された光は 臆面なく進軍し
地に浮かぶ私の影は 濃くなるばかり
それを見れば 汚らしい無産者がくっきりと
ああ カインの末裔でさえないのだ 私は
無為な歳月の記憶が沸騰するのを背に聞きながら
恋人たちの自然体な誇らしさに一矢報いようと
私は人形を引っ張り出す ツギハギだらけのお喋り人形を
顔の削げ落ちた古臭い セーラー服の蝋人形を
『あなたに憑かれたのが運の尽きだった 女神よ
私はいわゆる愛や幸福とやらに 懐疑的になってしまった
恋人たちの喋喋喃喃 十度の恋愛から得る快楽より
苦悩の末あなたに捧げる陶酔の一滴を選ぶなんて』
敗残者気取りで 私は陰気に微笑む
架空の愛を 優しさを 誓いを 別れを
過去を即座にでっち上げて 頭から感傷に浸る
その場しのぎで捨て去られる大事な思い出を
今夜もぬくぬくと眠るために
現実の上からさらに虚構をかぶせるのだ
数多の虚しい地層を潜り抜けた輝く水滴が
眉間を打ってやまない夜もある
しかし私はその純粋な不安に向き合わず
私すら必要としない虚構を作り上げ
自分のことを忘れようと努める
もうたくさんだ
詩的能動性が 虚妄の源泉が枯渇しちまったよ
もう放っておいてくれ
私も私の詩も全て虚構なんだ 分かったのはこれだけ
だからもうこれ以上
頭の中を空虚な詩句で満たさないでくれ