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9話 氷雪の国に逆戻り!?寒い旅路再び

 ある日、大地王を通じて氷雪の国の皇帝陛下、通称『氷雪帝』から、懇切丁寧な文書が俺達勇者パーティ宛に届いた。

 その内容はと言うと、表向きは『勇者様の歓迎』と『我が国へのご来訪、お待ちしています』みたいな当たり障りのない文章だったが筆圧とかの文章外の情報から『何ウチの国に立ち寄ったにも関わらず挨拶も無しでスルーしとんねんゴラァ!!』みたいな強烈な圧を感じた。

 よって、あの寒い地域に逆戻りする事が半ば強制的に決定。

 前回遭難した実績のあるミユの為に、道中に仕留めた魔物の毛皮を服飾店に持ち込み寒冷地用コートを特注。さらに固形着火剤を急遽買い足したりと準備にかれこれ3週間。俺達は再び氷雪の国を目指して旅立つ。

 余談だが、あらかじめ次の国に行く為に準備した食料品の中で野菜類は全部、出発前日に買い直す事となった。

 古い野菜?もちろん責任持って悪くなる前に全部食べたよ。やっぱり大地の国の農作物は美味いな。

 かくして、俺達は雪に閉ざされた森に入る。

 ミユは新しいコートがとてもお気に入りのようでずっと上機嫌。可愛い事この上ないが、騙されるな。あのコートの裏地はナイフが吊るせるように改造してあって、めちゃくちゃびっしり隠し持っている。

 やはりミユはいつも通り安定のヤンデレメンヘラ平常運転である。

 氷雪の国に向かう道中、野営の際にはリゼルとアリアが作った温かい料理を食べ、時々酒を飲んだりしながら俺達は到着まで楽しく過ごした。

 本当に、旅に出て良かった。白夜の国を出た事でこんなにも楽しく自由な日々を過ごす事ができて、俺は幸せだ。

 最初は面倒だったが今では、ポンコツ勇者アインと同じパーティに居るのも案外悪くないと思ってる。まあ、本人には絶対に言わんけどな。

 やがて森を抜けて俺達は氷雪の国に辿り着いた。前回来た時はスルーした氷雪帝の居城、クリスタルパレスまで挨拶しに行く。

 クリスタルパレスは名前通り水晶のように輝く透き通った氷で造られていて、俺達はその威容に圧倒された。

 なんでもクリスタルパレスを形作る氷は、氷属性魔法で保護されており半永久的に溶けないばかりか物理的強度においてもとんでもなく頑丈らしい。

 なんとなく、試しに『断ち切る者(スラッシャー)』撃って強度を確かめたくなったけど本当にやったら絶対怒られるよなァ………流石にやめとこう。

 俺は子供じみた好奇心を頭の片隅に追いやりながら、アイン達と共に謁見の間に向かった。



▷▷▷



「よくぞいらっしゃいました勇者様と、そのお連れの皆さん。私は氷雪帝、ナターシャ·ペトラ·アレクシス。氷雪の国にようこそ」


 氷雪帝は、どう見ても10代中頃の少女の姿をしていた。

 そういえば師匠の話の中で聞いた事がある。氷雪帝は特定の血筋ではなく、氷雪の国の神『氷雪神狼フェンリル』の眷属である双狼『スコル』と『ハティ』から選ばれた人間が歴代の氷雪帝の知識や記憶を受け継いで世襲する物らしい。

 ならば氷雪帝が少女の姿なのもある程度納得できる。


「あ、今、こんな小娘が氷雪帝?とか思いましたね………?私は氷雪帝を世襲してから日が浅いから仕方ないんです!!」


 完全に図星を付かれた。ついでに、現在の氷雪帝はとても親しみやすい御方だった。

 俺達は氷雪帝に旅の話を語りながら、しばし優雅なティータイムを楽しんだ。




用語解説


氷雪帝


氷雪の国の皇帝。他の国とは違い特定の血筋ではなく、歴代の皇帝の知識や記憶を受け継ぐ器たり得る資質を持つ人間を『氷雪神狼フェンリル』の眷属『スコル』と『ハティ』が選び、その者に氷雪帝としての知識と記憶を授ける事により代替わりする。

なお、受け継ぐのは知識と記憶だけで継承者の人格にはほとんど影響がない。

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― 新着の感想 ―
[一言] 女の子で皇帝。 なかなかおもろそうなキャラですねぇ。 ありの~ままの~魔法を使えるんですかいのぅ。
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