序章・卒業式当日
誓って申し上げます、竜王陛下。私は、本当に何の罪も犯してはいません。
「漆黒の魔石を作り上げた方がいる筈です。さあ、前へ」
それなのにどうして、魔法学校の卒業式後のパーティー会場でこんなふうにつるし上げなければならないのですか。出る杭は打たれると母に何度も釘を刺されたから、定期試験だって平均点を取れるように努力してきた。目立たないように目立たないように小さくなって生きてきたのに、こんな最後の最後で!
「おい、シャノン、何してる。さっさと行け」
そうせっついてきたのは、私の数少ない友人であるエヴァンだ。彼は私と真逆で常に皆の注目を浴びる存在だったから、失礼は承知で人のいる時は近寄らないでと頼んでいた。けれど、このざわついた場では彼に話しかけられたくらいで見咎められることもない。しかし、そういうことじゃない。私は小声の範囲で彼に向かって叫んだ。
「何でそんなこと言うんですか? 私がどうなってもいいんですか!?」
「心配はいらない、どうにもならん。クライヴ、こっちだ!」
「おや」
「――っ!」
エヴァンは私の二の腕を掴むと、会場の中央へ歩き出した。中央で“漆黒の魔石を作り上げた方”を探していた“誰か”がこちらを振り向く。あまりのことに私は、声にならない音で叫ぶのが精一杯だった。
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