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「う、うわぁ! やめておくれええええええ……あれ?」
俺は気づけば白い部屋にいた。
どこかで見たような既視感のある部屋だ。
「はぁ、まさかこんなにも早く出戻りしてくるとはな。いや、死んでるわけだから死に戻りといったところか」
そして目の前にもいつしか見たしわがれたじいさんがいた。というかさっきみた神様だった。
「ああ、その薄汚い顔をみて思い出しましたよ。僕は死んじゃったんですよね。どうしてか死んじゃったんですよね。どうして死んじゃったか答えていただけませんか?」
「アホいえ、お主が無謀すぎたからじゃ。まぁあれから儂も頭を冷やしてのう。少しばかり大人げないことをしてしまったというふうに思うておるんじゃ」
「大人げないどころじゃないですよ。あれですよね。いきなり転生させただけではなく、訳の分からない森に転生させて、しかも俺自身全くもって生き抜く能力も貰えていない。そりゃ誰がやってもこういう結果になったと思いますよ」
「そう怒るでない。まぁいかにお主がちょっとあれだとはいえ、儂も神様じゃからの。ここは反省の意を示して、お主の力を底上げしといてやるから少し気を収めてはくれんか」
「まぁそう言われたら仕方ないので許しますよ。でもどんな力だっていうんですか? もしかして身体能力数百倍みたいな二番煎じのしょうもない能力だとはいいませんよね?」
「そこはまぁ自由がきくところじゃからの。お主がこれだという能力にしてやっても構わんが」
え、マジで、やったー。じゃあどんな能力にしようかな。どうせなら超強力な能力がいいよな。スーパーマンになって、空を駆け回るとか、手が巨大化して思いっきり相手を殴りつけるとか……ああ、でも欲を言えば俺自身戦いたくないんだよなぁ。戦うのってなんか怖いし。それを先程痛感しましたわ。
うーん、となると……
「そうだなぁ、何がいいかなぁ、よし、あれはどうだろう、強力なモンスターを召喚する能力とか?」
「なんじゃそれは。まぁできんこともないが、そんなものでいいのか?」
「はい、まぁもう思いついちゃったんでそれでいいです! 考えれば考えるほど強そうだし、ティラノサウルスみたいな感じでがおー! って感じで気持ちよさそうじゃないですか。僕は気持ちいいんじゃないかなと思います」
「そうじゃの。ティラノサウルスは、流石に気持ちいじゃろうな。よし分かった。それじゃあ強力なモンスターを召喚する能力ということで手を打っておこう」
「ありがとうございます神様」
やったー、これで俺も不自由なく異世界ライフを送れるようになるぞ。さっきは本当にとんでもない目にあってしまったが、今回は絶対に打開してやるんだからな。もう二度と同じ目に合うのはごめんだ。
「それでは転生させるぞい。と思ったが、その前に大事なことを忘れておった」
神様は危ない危ないと、俺に対し言葉を続ける。
「前の時も言いかけた……というか言ったんじゃが、お主の転生する世界には魔王がおって、そいつが物凄く強く猛威を振るっておるのじゃ」
「へー、やばそうですね」
「じゃからもう難しいことは言わん。一言、その魔王を倒してくれ。それが叶えば後はどうにでもなる。どうじゃ? それだけじゃらお主でも難しくないじゃろう?」
「うーん、魔王かー、僕に倒せるんでしょうか?」
「そこは大丈夫じゃ。もともとお主に与えようとしていたエネルギーは、魔王をも討ち滅ぼすほど強大な予定だったのじゃ。それを今回しっかり付与下からの。まぁ能力という形でじゃが、よってその能力を使いこなせさせすれば、間違いなく魔王をも上回ることができるじゃろう」
なるほどな、それを聞ければ一安心かな。
まぁさっきはさんざんな目にあったけど、もう終わったことだしな。
神様がこれだけ頼んできてるんだ。それに本来ならただ死んでるだけのはずだったのが、転生という形でセカンド・チャンスを与えれてるわけで、ちょっとくらいの望みなら叶える義務があるだろう。
「わかりました。引き受けましょう。その代わり、魔王を倒しさせすれば何をしてもいいですよね?」
「うむ、魔王さえ倒せば自然と魔族の団結力はおち、戦力は大幅にそがれることじゃろう。そうすれば、お主抜きでも人間陣営はなんとかもち直せるはずじゃ。その後お主は自由に生きるがいい」
よっしゃ。言質も取れたな。
これはもう半端なくでかいな。よーし、俄然やる気になってきた。もう大暴れしてやろう。ぶんぶん腕を回して、近くを通りかかったきれいなお姉さんの首元をへし折って、そのまま死体遺棄してやるんだ。
「それじゃあ改めて転生させるからの。今度は準備万端というわけで、お主でもうまくやっていけるじゃろう。それじゃあ達者でな」
その言葉とともに、神様が祈りを始めた。
すると俺の周囲を優しく光が包み込み始める。
ああ、これが本来の転生のあり方なんだな。なんかさっきはキエエエェェーーーーみたいなノリでメチャクチャな感じだったからな。落ち着いて転生できるのはありがたいな。
そんな思いとともに、俺の意識は再び闇にのまれたのだった。