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魔法使いと繋がる世界EP2~震災のピアニスト~  作者: shiori


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第二十二話「三者三様の舞台」1

「お姉ちゃん、準備できてる?」

 

 演劇クラスを目指して競い合う合同発表会当日、水原家では朝食後、部屋に戻った知枝を光が様子を見に行っていた。


「光? 入っていいよ~!」


 部屋の前にやってきた光に元気良く知枝が歓迎すると、光は安心して部屋のドアを開いた。


「お姉ちゃん?」


 身支度ができているかは分からなかったが、光が部屋に入ると知枝は大きな鏡の前に立っていた。

 その姿が普段とは雰囲気の違うポニーテール姿で、それは今日演じる役である四方晶子の髪型であった。


「似合うかな?」


 首を横にして光の方を向いて知枝は聞いた。どこか子どもっぽさもありながら、新鮮な様子に見えた光は照れた様子で頷いた。


「うん、何だか雰囲気違ってビックリしちゃった。より女の子らしくて可愛いと思う」

「そうかな? そうかな? そうかな?」


 知枝は言葉と共に光に近寄って、より光を驚かせた。

 いつも通りの黒のワンピース姿でありながら、髪型が違うだけで、顔の印象まで異なって見えることに光は驚きながら、出掛ける準備を急ぐよう伝えることにした。


「もう、分かったからっ! ほらっ、早く学園まで行ってみんなと合流するよ?」


 光や知枝たちのクラスは羽月以外、バスでまとめて移動することになっている。

 ピアノなどの大道具は他クラスと一緒に業者がまとめて運んでくれることになっていて、衣装や小道具などは主に漆原先生の車で運ぶことになり、そこに羽月は同乗することになっている。


 当然クラスの集合時間に間に合わないと自分たちで直接現地まで行かなければならないことになるため、一緒にみんなで現地まで行きたい光は知枝を急かしていた。


「遅刻しそうになっても私は原付でぶっ飛ばしていけるけど、仕方ないなぁ」

「いや……、それは危ないからやめて……」

「危なくないし……、事故したことないもんっ」


 自信満々に知枝は頬を膨らませながら反論したが、光から見れば風で吹き飛ばされそうな体格の知知枝が見た目以上に豪快に突っ走るので心配になって仕方ないものだった。


 知枝と光は緊張を紛らわすように言葉を続けながら、準備を終わらせ一緒に玄関まで向かった。


 玄関の前で家内を呼び、これから決戦へと向かう前の挨拶をする。


「それじゃあ行ってくるね」


 玄関に家族が集合したところで光が先陣を切ってこう言うと、それだけで知枝はいよいよはじまりが迫って来たことを実感し、胸が熱くなるほどであった。


「後から行くから、知枝も光もしっかりやりなさいよ」


 舞が三つ子の姉弟として、家族として元気に励ましてくれる。

 同じクラスになれず、それでも今日まで二人の演技練習や知枝のピアノ練習をサポートしてきた舞、本当は一緒に舞台に立ちたい感情を言葉にしないよう押さえてきていた。


「私たちも後から行くから、晴れ舞台、楽しみにしているわね」


 おっとりとした様子で明るく見送ってくれる水原まつりと水原和志の両名、ずっと家族として見守ってくれている。知枝と光は会場のホールまで観に来てくれる三人のためにも、自信を持って舞台に立たなければならないと意識を高めた。


「ありがとうございます。それでは、知枝は行ってきます」


 知枝は日頃の感謝を込めて丁寧にお辞儀をして、ふわりとポニーテールの髪を動かしながら、家族の支援に感謝して、光と共に玄関を出て水原家を後にした。

 

 眩い光で朝の陽射しが今日の日を歓迎してくれる中で、二人歩いていると自然と胸が高鳴る。

 今日の一日で今年の一年間演劇クラスとなれるかが決まる。

 これまでの練習の成果を見せるときが、もう、すぐそこまで迫っている。


 長い一日の始まり、その予感をそよ風を受けながら確かに二人は強く感じていた。

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