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第19話 掃除ロボは色んな物を吸い込む

 夜中のうちに佐助がまた狩りをしていてくれたようだ。

 そのおかげでポイントがまた溜まっていた。

 佐助、ありがとうな。

 あいつの喜ぶことがしてやりたいが……思いつかない。

 休む必要もないようだし、お返しは考えておくとしよう。


 溜まったポイントでまず自動で部屋を綺麗にしてくれる機械を購入した。

 カタリナさんの笑顔が見れたのもグッドポイント。

 フレアを連れて行かなかったため機嫌が良かった。

 やはり、あいつが来るのを嫌がっていたみたいだ。


 自動で掃除をしてくれる機械。

 それはスポンジケーキのような丸い形をしており、決まった時間に掃除をしてくれる物。

 俺はこれに【家電魔術】をかける。

 すると掃除をしてくれるその機械は、自動的に動き出す。


「わわ! 勝手に動いた!」

「動くのは当たり前なの」

「そうなの? 何で?」

「何でって……何ででもさ」


 機械の説明が面倒くさい。

 それにこれが動くのは、俺の魔術も関係している。

 その両方を説明し、納得させるのは少々骨が折れるというものだ。

 だから何ででもと言っておく方が楽でいい。


 円型の機械は小屋の床を掃除して周り、そして驚いたことに、壁や天井の掃除までも始めてしまう。

 それを見て俺は絶句する。

 床だけではなく、まさしく文字通り、家の隅々まで掃除をしてくれるなんて……やはり【家電魔術】は素晴らしい。

 想像以上の働きだ。


 俺の想像を超える働きをしてくれていた機械であったが……ここでさらに想像の斜め上を行く。


 機械は小屋の掃除を終えると、小屋を飛び出して行き、森の中を滑走する。


「お、おい! どこ行くんだ!? 外の掃除なんて必要ないぞ!」


 俺の言葉は虚しく、静かな森に飲み込まれていく。


「ん?」


 理解できない動きを見せる機械に嘆息する俺であったが……驚きの光景が視界に飛び込んでくる。


 なんと機械は――スライムの掃除まで初めていた。


 地面を這うスライムを、強引に飲み込んでいく機械。

 それも結構な速度で。

 次から次へとスライム掃除を繰り返す。


「……どんな機能してんだよ」


 モンスターも掃除の対象なのかと、俺は苦笑い。

 しかもポイントと経験値まで手に入るらしく、一石二鳥どころか三鳥まである。

 あまりにも素晴らしい性能に、俺は感動すら覚えていた。


「これなら佐助の分と含めて、ポイントもすぐに溜まりそうだな……」

「これで私たちの暮らしも安泰だね」

「お前の暮らしは含まれてない。安泰するのは俺の暮らしだよ」


 頬を膨らませるフレア。

 可愛いけど可愛くないよ。

 そんな顔しても無駄無駄。


「で、お前の金稼ぎはどうやってするんだ?」

「私の金稼ぎは……冒険者だよ」

「冒険者? 冒険してりゃ金になるのか?」


 それがこの世界の常識なのだろうか。

 冒険してりゃ国から援助してもらえるのか?

 スポンサーがいるのか?

 俺は彼女が言う、冒険者の仕組みがいまいち理解できず首を傾げる。


「違うよ。ギルドだよ」

「ギルド?」

「ギルドも知らないの?」

「知らない。ギルドどころか、この世界のこともよく知らない」


 フレアは少し呆れたような表情で「どこから来たのよ」なんて声を漏らす。

 だが、すぐに表情を笑顔に戻し、説明を始めてくれた。


「ギルドっていうのは、一言で言えば、仕事を紹介してくれる施設のことだよ」

「仕事を紹介してくれる施設ねぇ」

「うん。で、そのギルドで仕事を請け負う人のことを、冒険者って言うの」

「ああ、なるほど」


 単純に冒険をする人だとばかり思っていたが、そうか、そういう意味だったのか。

 となれば話は早い。

 その冒険者とやらになってお金を稼げばいいだけの話だ。


「よし。さっさと冒険者になりに行こうか」

「うん。あの町に戻って、まずはギルドに行こう」


 俺は頷き、空間移動を開始する。

 空間移動の小箱を開き、一瞬で先日の町に瞬間移動。

 フレアはその力に、再度驚いていた。

 凄いだろ。俺だってまだ驚いてるぐらいだからな。


「あっちだよ」


 フレアは自分の家の庭を案内するかのように、俺に町のことを説明してくれた。

 あれが道具屋だとかあれが武器屋だとか。

 まぁ分かりやすいものは説明してもらわなくても分かるんだけどね。

 だが、やはり見た目だけでは分からない店も多々あり、彼女の説明は正直助かった。

 これからここに来るかどうかは疑問ではるが。


「到着。ここがギルド」

「ふーん」


 二つの塔があり、その二つを繋ぐ建物がある。

 入り口はその建物の中央部分にだけ一つ。

 人々の出入りも多く、中からは騒がしい声が聞こえてくる。


「ほら、入ろ」

「お、おお……」


 人混みとか、あんまり好きじゃないんだけどな……

 だが、フレアに出ていってもらうために、仕事を手伝ってやらなければ。

 金を稼げたらフレアも満足だろうし、俺も金を稼げる。

 これまた一石二鳥というものだ。

 別に金は欲しいわけじゃないけどね。

 でも、いつか役立つ時もあるかも知れないから、一応手に入れていくとしよう。


 俺はフレアについて行く形で、ギルドの中へと足を踏み入れる。

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