森永さんの話 その2
その頃森永さんは韓流ドラマに夢中だった。
それは日本でいうところの「大河ドラマ」のような、
歴史上の実在の人物を題材にしたドラマだった。
森永さんがテレビ画面を見ていたら、
突然、森永さんの頭の中に
「Yさんのところへ連れて行ってください」という声が聞こえてきた。
森永さんは「えっ、なんだろう」と思ったそうである。
森永さんは特に霊感が強いというような方ではなく、
オカルト的な体験などもほとんどしたことのない方だった。
その声は、今放送されている韓流ドラマで扱われている、
歴史上の人物の、本人の「意識」の声だった。
「意識」とは何かというと、その人の本体、
つまり肉体が死んでなくなってしまったあとも、
この地球上に存在し続けているもののことで、
その人が抱えている問題が解決しない限りは、
いつまでも地球上に存在し続けている。
どうも、この「意識」の存在を感じ取れる人が、
「あそこに地縛霊がいます」というような発言を
しているようなのである。
ドラマになるくらいの波乱万丈な人生だったので、
当然その歴史上の人物の「意識」には今も葛藤があり、
それを解決するためにYさんに会いたいのだと言う。
「意識」には肉体がないので、
時間や空間を自由に飛び越えて、
瞬時にどこにでも行けるのだが、
霊界(意識の世界)には厳格なルールがあって、
何の縁もゆかりもない人のところを
勝手に訪ねてはいけないのだそうである。
Yさんは霊界では有名な存在で、
Yさんに会いたがっているが、
つながりがないので会えないという「意識」が
たくさんいるのだそうである。
そこで、その元韓国の歴史上の人物だった「意識」は、
ドラマを通じて自分に興味を持ってくれた森永さんに、
自分をYさんのところに連れて行ってくれとお願いしたのである。
後日、森永さんがYさんを訪ねた時、
その「意識」がついて来て、
Yさんに何かを相談したそうなのだが、
その内容については僕は知らない。