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呼ばれた話

僕が福岡県春日市の病院に入院していた時、

同じ病室にケガをしたおじいさんが入院していた。


その人の奥さんは認知症のような状態で、

ずっと入院されているらしく、

家では一人暮らしだったそうで、

家がずっと空家になっているのが心配なので、

早く帰りたいと言っていた。


その人がケガをしたいきさつはこのようなものだった。


ある日、一人で酒を飲んでいたら、

自宅の前の電柱の外灯が点滅しているのに気付き、

目障りだったので叩き割ってやろうと思って、

自宅の塀に登ったところまでは覚えているのだが、

塀から落ちて頭を打って意識不明となり、

そのまま救急車で運ばれて、

足にもケガをしていたそうなのである。


リハビリの看護婦さんと色々話しているのが聞こえるのだが、

やんちゃなおじいさんだなあと思っていた。


ある日の看護婦さんとの会話の中で、

自分の奥さんがずっと入院していたので、

自分には愛人もいたのだが、

その愛人の方が先に死んでしまった、という話をしていた。


本当にやんちゃなおじいさんだなあと思って聞いていたが、

愛人が死んだ時には、

ちょうど本妻が一時帰宅しており、

また入院することになっていて、

なにかと忙しかったので、

通夜にも葬式にも行けず、

結局本妻を再入院させて、

しばらく経ってから愛人の墓参りに行ったのだが、

その日の夜に塀から落ちたんだよ、と話していた。


看護婦さんは気付いていないようだったが、

「それは愛人の方に呼ばれたんじゃないですか」

と、僕は思っていた。

※この話は僕が心臓バイパス手術で

福岡の徳洲会病院に入院中に聞いた話です。


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