ビデオの中のカラス
以前、ちょっと不思議なDVDを作る仕事をした。
それは、あの「オーラの泉」で有名な江原さんも通ったという、
イギリスのSAGB(英国スピリチュアリスト協会)出身の、
霊能者の女性(多分イギリス人)を、ある出版社が日本に招いて、
日本のパワースポットを何カ所か訪問させ、
その様子を本としても出版するし、
DVDとしても販売するという企画で、
僕の担当は、撮影済みのDVD用の映像を
編集してまとめるという仕事だった。
これは、以前書いた、
強い念力を出す社長の会社にいた時に担当した仕事で、
やはりその社長はそういう世界とつながりがあったので、
このような仕事も回ってきていたのであった。
その撮影素材の中で、霊能者の女性は、
ナビゲーター兼通訳の日本人男性の案内で、
千葉県にある、ある神社を訪問していた。
その神社はあまり有名ではないが、
大本教と深い関係のある、
麻賀多神社という神社である。
その本殿の前で、女性が「今回の訪問においては、
カラスがとても重要な役割を持っています。」と言った。
確かに日本ではカラスは神様の使いとされており、
その神社にもカラスがいるようで、画面に映ってはいないが、
時々遠くからカラスの鳴き声が聞こえていた。
ナビゲーターの男性は、
「え、カラスがですか、本当ですか?」
と、ちょっと意外というような口調で聞き返した。
すると、その質問に答えるかのようなタイミングで、
これまでにないくらい大きなカラスの声が
「カァー」と入ってきたのである。
霊能者の女性は、
「ほらね、カラスがそうだと答えているでしょう?」
という感じの表情をして、笑った。
僕も、このタイミングとこのボリュームで、
カラスの声が入ってくるというのは、
ちょっと偶然とは思えないと感じたし、
このDVDの素材の中で、カラスがそのように鳴いたのは、
この時一度だけであった。
そのことを社長に指摘すると、
実はこのDVDはそんなわかりやすいところだけではなく、
あちこちに「見る人が見たら見える」ものが写っている、
ということであった。
この社長は撮影現場にも同行していて、
現場では色々なものが「見えて」いたそうなのだが、
僕が画面上で気付いたのは、その神社の御神木に、
明らかに人の顔の形をした、コブというか、
ウロのようなものがあったことだけである。しかしそれは、
「自然にできたもの」と言えば言えないこともないものであった。
ちなみに、今の自宅の近所の公園でも、
僕は同じようなものを見たことがあり、
当時小さかったうちの子供がとても怖がっていた。
ただ、そういうわかりやすい、
誰にでも見えるものだけではなくて、
他にも色々なものが写っているので、
そういうものを「見る」能力を持っている人が見れば、
すごいDVDになっているらしかった。
例えばカラスのことで言えば、撮影の時、
神社の鳥居の上にカラス天狗が座っていて、
撮影クルーを見下ろしていたそうなのだが、
「まるでデビルマンみたいだったぞ」
と社長が言っていた。
結局そのDVDが発売される前に僕はその会社を辞めたので、
そのDVDの反響がどのくらいだったかは知らないのだが、
今検索しようとしても、その霊能者の女性の名前も、
出版社の名前も忘れてしまったので、見つけることはできなかった。
少なくとも、「ネットで評判になっている」
というような感じではなさそうだ。
ちなみにこの霊能者の女性の来日に合わせて、
この女性に色々相談できるという、
予約制のスピリチュアルカウンセリングというものも
行われていたようなのだが、
たしか「30分で5万円」くらいの、
法外な料金のものだったので、
全体的に胡散臭い企画であったことを追記しておく。
ただ、カラスの鳴き声のボリュームとタイミングだけは、
あれを偶然と言ってしまえば、
どんなものでも「偶然」の一言で拒絶することができるので、
そこだけは一線を引いておきたいと思ったのである。
※この投稿に出てくる女性霊能者は
ジュード・カリヴァンさんという方です。
この時僕が編集したDVDは
当時は全く話題になっていませんでしたが、
今はプレミアがついており、
アマゾンで1万円以上の値段で売られています。