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先輩の生霊

また奇想天外な事件の顛末を聞いた。

主な登場人物は50代のA子さん、

生霊を飛ばしているA子さんの中学の先輩

A子さんの勤め先の社長の3人。


A子さんは旦那さんも

高校生くらいの息子さんもいる主婦の方、

先輩は独身で公務員の方、男性

社長というのは60歳くらいのオジさん。


ある日A子さんが通勤のバスの中で

先輩と「偶然」再会した。

この「偶然」というのがクセモノ。


先輩というのは50歳を過ぎて、

ミスチルの桜井にちょっと雰囲気が似ている、

まあまあのルックスの人らしい。

A子さんは中学の頃、

この先輩の第2ボタンをもらったことがあるという。


それ以来、銀行のATMとかで

「偶然」バッタリ会うらしい。


その度に他愛ない世間話などするそうなのだが、

だんだんA子さんの自宅などに

何かが通り過ぎるような影や

人の気配を感じるようになったそうだ。


そして先輩の立ち話の内容も、

「旦那さんと一緒に

仲良さそうに選挙の投票に行っていたよね」

というような、どこで見ていたんだろう

というような内容の話になっていったそうだ。


しかもその選挙の投票の話は

20年くらい前のことだそうである。


いつから見ていたのか、

どこから見ていたのか、

だんだん気味が悪くなってきて、

A子さんは知り合いの伝手で

お坊さんに相談したそうだ。


するとお坊さんが、

「あなたには生霊が憑いていますね」

と言って、その生霊の

背格好などの特徴を指摘され、

それがどうも、

その先輩らしいので、

中学の先輩らしいですと言うと、

お坊さんから「その人の名前は?」と聞かれて、

名前を教えるとお坊さんが

その生霊と話を始めたそうだ。


ちなみにA子さんというのは、

50代にして、特徴が

「あの可愛らしい人」と呼ばれるような、

ちょっと魅力的な感じの人らしく、

そのような理由から、

生霊のストーカーが憑いたらしい。


「結局あなたの目的は何ですか?」と、

お坊さんが生霊に聞くと、

「A子さんを自分の会社に引き入れて、

いずれA子さんと不倫関係になりたい」

と言ったそうなのである。


ちなみに先輩は公務員だが、

そこそこの役職まで出世しているようで、

アルバイトなどを自由に採用できる立場だそうだ。


「うわっ気持ち悪!!、そして怖!!」

となった数ヶ月後、

A子さんの勤める会社の社長が変わった。


もともとその会社の社長は

系列の会社から異動してきて

2年間社長をやるというシステムになっていて、

定年寸前の人が社長として赴任してくるそうなのだが、

赴任してきた新社長は

前々から内定していた人とは違う人で、

突然その社長に決まったそうなのだ。


そしてその新社長が、

わかりやすくA子さんをイジメるようになった。

A子さんはいたたまれなくなり、

「会社を辞めたい」と思うようになったそうだ。


そしてそんなタイミングで

「偶然」街でバッタリ先輩に会う。


先輩の勤める役所と

A子さんの勤め先は近いらしいのだが、

お坊さんによって生霊が発見されてからは、

お坊さんが結界を張ってくれて、

基本的には先輩は近づけなくなっていた。


しかし、時々先輩が意図的に結界を破りに来るそうだ。

それで地元が同じなので、

あまり地元には近づかないようにと、

お坊さんからアドバイスされていたのだが、

実家の親が入院したりして、

地元に立ち寄らざるを得ない時とか、

勤め先の近くの

普段は立ち寄らないATMなどで

バッタリその先輩と会うのだそうだ。


それら一連のいきさつを聞いたうちの奥さんが

「その社長というのが会社に赴任してきたのも

先輩の生霊が仕向けているんじゃないと?」と、

聞くと、よくぞ聞いてくださったという感じで、

「お坊さんからも言われたんだけど、

どうもそうらしいのよ」ということであった。


おそらく社長と先輩は面識がないらしく、

生霊同志の見えない世界での

ネットワークというかコミュニケーションで、

お互いに連携し合っているようなのである。


生霊の世界、奥深し、そして底知れず恐ろしい。

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