生霊の話 その1
今でもまだ僕の身の周りに起きている生霊にまつわる話です。
この話はそれら一連の生霊の話の発端のような話です。
これはもうあまりにも荒唐無稽というか、
これまで色々なオカルトな話を聞いてきた僕も、
ポカンと口を開けて、
「はあ、そうですか」と言うしかなかった話である。
霊能者のYさんに縁ができて、
Yさんの家に通うようになる人には、
過去世で魔女やお坊さんや仙人だったというような、
「見えない世界」とつながりのあった人が多い。
僕も前世で修行僧だったし、
Yさん自身も過去世で魔女だったことがあり、
Yさんのところに来ている人で、
過去世で魔女だったという人は、
僕が知っているだけでも10人近くいる。
ちなみに、この文章には、
前世という言葉と過去世という言葉が出てくるが、
前世というのは一つ前の過去世のことで、
それよりも前の人生のことをここでは過去世と呼んでいる。
え、過去世というものが本当にあるかどうか、ですか?
それは証明しようがないけど、
ここでは「ある」という前提で話が進めさせていただきます。
かつてYさんの家を何度か訪れたことがあり、
「魔女姉妹」と呼ばれていた、筋金入りの双子の姉妹がいる。
実は僕はこの姉妹にはお目にかかったことはないのだが、
僕のような小物はお目にかかる縁ができないくらいの、
バリバリの「あっちの世界」の方々で、
そもそも双子として生まれて来たことに関しても、
すごいエピソードがあるのだが、
今回は生霊の話なので、そのエピソードは省略させていただく。
なぜ僕が会ったことのない「魔女姉妹」の話を知っているのかというと、
僕の知人に、やはり過去世で魔女だったことがある女性がいるのだが、
その、アリスさん(仮名)が「魔女姉妹」をYさんのところに連れて行った人で、
僕はアリスさんから色々なエピソードをうかがっているのである。
アリスさんは今、福岡市内の不動産会社に勤めているのだが、
以前、別の不動産会社にいた時、
そこに「魔女姉妹」の「妹」が勤めていたそうで、
その「妹」が、ある日アリスさんに
「なんだか、すごい先生がいるんだって?」
と聞いてきたそうなのである。
もちろんそれはYさんのことだったのだが、
アリスさんは、それまで「妹」には、
Yさんの話をしたことがなかったので、
なぜ「妹」がYさんのことを知っているのか、
不思議に思ったそうである。
この時点ですでに、「妹」の、
普通ではない能力が発揮されていたようなのだが、
ちなみに「妹」はその能力を使って、
いくつかの不動産取り引きを成約させていたらしく、
その会社の社長から厚い信任を受けていたそうだ。
Yさんに会った「妹」は「すごい人を見つけた」と感動し、
帰りのタクシーの中から「姉」に電話して知らせたのだが、
すでにその時点で「姉」はYさんの存在を知っていたらしい。
どういうしくみになっているのだろうか?
次の日には「姉妹」が一緒にYさんに会いに行ったのだが、
その時、Yさんが「姉」に
「あなたは昨日、私の頭の中を読みに来たね、何か見えた?」
と聞いたそうである。「姉」は、
「いいえ、何も見えませんでした」と答え、Yさんは、
「そうやろうね、私は何も考えてないけんね、ハハハ」
と笑ったそうなのだが、この会話がすでに僕の理解を超えていた。
「姉妹」はこれまでにも、何人もの、
霊能者や占い師に会ってきたそうなのだが、
そういう時は必ず事前に、相手の頭の中を読みに行き、
相手がどの程度の能力を持っている人かを見定めてから
会いに行っていたそうである。
そして、これまでに会った人たちは全員、
「姉妹」よりも能力が劣った人ばかりだったそうで、
「姉妹」が事前に「訪問」していることを指摘したのは
Yさんだけだったらしく、さすがの「姉」も、
「この人はただ者じゃない」と、Yさんには一目置いたそうだ。
このように、遠く離れている人のところに自分の意識を飛ばして、
その人の頭の中を読んだりするようなことも
「生霊を飛ばす」ことのひとつのようである。
ちなみに、魔女がほうきに乗って空を飛ぶと言われているのは、
この、生霊を飛ばしている状態のことを指しているようだ。
その頃「姉妹」は父親の生霊に悩まされていた。
原因は「淋しかったから」らしいのだが、
夜になると父親が生霊を飛ばしてきて、
「妹」のところへ来たら、
「妹」が「姉」のところにその生霊を送り、
「姉」がまた「妹」のところへ返す、
といったようなことを繰り返しており、
2人とも疲れ果てていたのだそうだ。
それで、「妹」がYさんに、
「夜になると父親が生霊を飛ばして来て困っているんですけど」
と相談すると、Yさんが、
「あんたは魔女学校で何を習って来とるとね?
そういう時は・・・を・・・すればよかろうが!」
と言ったそうである。
「妹」は「ああ、そうか」と、納得していた様子だったという。
「・・・を・・・する」というくだりに関しては、
その場に居合わせた、魔女経験のあるアリスさんにも、
何を言っているのかさっぱりわからなかったそうである。
それを聞いた僕は、ポカンと口を開けて
「はあ、そうですか」と言うしかなかったのである。
ちなみに、魔女になる人というのは、
ハリーポッターに出てくるような魔法学校で
色々な訓練を受けるらしい。
この話に出て来るアリスさんという人が、
後に僕の奥さんになる人です。