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戦争を変えた戦士たち  作者: りんご信者
1/3

漂流した二人の戦士

1974年

この世は冷戦の真っ最中、各国で独立運動が盛んに行われ、共産主義と資本主義がいがみ合い

冷戦という形でアメリカとソビエトが戦争していた時代に俺は目が覚めた。


「ここは・・・どこなんだ?」


目が覚めると病院のベッドだった。

他のベットには誰もいない、俺ともう一人が寝ている。


「ガチャ」


ドアが開くと白衣の男が出てきた、若く医師らしき格好をしている。


「目が覚めたか、いきなりだが君に聞きたいことがある、なぜ君はここにいるかわかるか?」

「何のことだ?俺は知らない、そもそもどこいるかもわからない」


医師らしき男は少しうつむき、話しかけた


「君の名前を教えてくれ」


ごくごく普通の質問だ、しかし言葉が詰まる。


「わか・・・らない・・・自分が何者で、いくつでどこから来たのかすらも・・・」


医師らしき男は一瞬驚いた表情をした後にこう言った。


「君は海から流されてきたんだ、ボートの上に乗せられてね、横にいる彼と一緒にだよ」

「ボート?海?なぜそんな所から?そもそもここはどこだ?あんたは誰だ・なぜ俺はここにいる?そもそもここはどこなんだ!?」


俺は医師らしき男に問いかける


「私は医者だ、君には悪いが他は答えられない。横に寝ている彼が目を覚ましたらまた来る」


俺に質問される前に医者男は去っていった。

小一時間もしないうちに、横の男は目が覚めたようだ、声を掛けてみた。


「おい、大丈夫か?」


すると男は小さな声でこう言った、


「ライ・・・ゼン・・・なの・・・か?」


ライゼン?俺のことなのだろうか?再び声を掛けてみる。


「お前も大丈夫か?」

「ああ・・・少し・・・体が痛む・・・」


男は怪我をしているようだ、胸に包帯が巻かれている。

そうこうしないうちに医者がドアを開け、入ってきた、今度は後ろに屈強な男を連れて。


「起きたかい?体調はどうだ?」

「ここは・・・どこだ?」

「その質問には答えられない、自分の名前はわかるかい?」

「俺の名は・・・ラインハルト・・・」

「ちなみに君の隣にいる男の子の名前はわかるかい?」

「ライゼン・・・だ」


この男の話が正しければ俺の名前はライゼンに間違いないようだ。

医者の後ろに立っていた男が口を開く


「お前たちは何の目的でここに来た、答えろ」

「ここに来るつもりは・・・なかった・・・たまたまここに流れ着いた」


その言葉を信じたのか屈強な男は部屋から出ていった

医者が口を開く


「ライゼンくんはもういいがラインハルトくんはあと一週間ほどここで安静なさい

許可したフロアまでなら移動することを許すよ」


そういって一枚の紙を貰った、どうやらフロアのマップのようだ、赤く塗られているところ

なら自由に出入りできるそうだ。


ー三日後ー


だいぶラインハルトは回復したようだ、少しずつではあるが、会話ができるようになっている

どうやら彼と俺は幼馴染で苦楽を共にした仲間だということが分かった。


「ラインハルト、俺のことを教えてくれ、俺は記憶喪失で全く過去のことがわからない

名前も国籍も年齢も過去のことも・・・」


少し間をあけて彼は口を開く

「お前の名前は 雷善(ライゼン (ハヤテ・・・年齢は17歳で・・・俺たちは船が転覆してここに

流れ着いた、俺とお前は日本の自衛隊員だった」

「そうなのか・・・悪いが君のことを教えてくれ、名前しか知らない」


彼は寂しそうな顔をして呟く


「俺の名前は海城・オスカー・ラインハルト・・・日系ドイツ人だお前と同じく陸上自衛隊に所属していたが

休暇中に不運な事故のせいでこうなった。あまり事故のことは深くは覚えていないがな」


話をしていると医者が部屋に入ってきた。今から検査をするので出ていってくれと言われたので部屋から出ていくことにした。

この施設が気になったので医者に相談し何とか外に出る交渉をして許可を得ることができた。

階段を登りハッチを開けると辺り一面が海で覆われたプラントだった。

いつぶりだろう太陽の光を浴びるのは、カモメもゆらゆらと楽しそうに飛んでいる

しばらくすると三日前にみた屈強な男がこちらに近付いてきた。


「ラインハルトから聞いたよ、お前日本の自衛隊員だったそうだな」


その男は神妙な面持ちで喋っている


「そうみたいだ、俺は記憶がないからわからないがラインハルトが言うにはそのようだ

俺もあんたに質問がある、あんたは何者だ?」


男は口を開く


「俺はこの施設のボスだ」


この男の身なりに注目した

オリーブドラブの野戦服、腰のホルスターには拳銃、アイパッチと頭にはバンダナを巻いていた。

まさに歴戦の戦士といった感じだった。

俺はそれを信じることにした。


「これから俺をどうするつもりだ?」

「どうもしない、怪我が治れば国に返してやる」


その男の言葉はなぜか信用できた、しかし俺は日本に帰っても記憶がない、家族がいたのかも

自衛隊のどの部隊なのかも、故郷と呼ばれる場所がわからない。


「なあ・・・」

「何だ?」

「俺をここで使ってはくれないか?何でもする、俺には帰る場所がない」


男は口を開く


「お前は何ができるんだ?」

「わからない、だが軍事経験もあるしやっているうちに思い出すかもしれない、ここは軍の施設なんだろう?

あんたの格好を見ればわかる、虫のいい話ではあるとは思うがどうか頼む命令されたことは何でもする」


男は失笑しを見ながらこう言った


「面白い、やってみろ

だが条件がある、俺の言われたことは何でもやれ、ラインハルトも一緒に入隊しろ

そして俺のことはボスと呼べ」

「了解した、よろしくだボス」


かくして俺は海上軍事施設に入隊した



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