マギクラフターだけど、現代日本に来てどうしたらいいかわからない
俺はラステル・オルラス。職業はマギクラフター。
一流のマギクラフターだと自負している。
マギクラフターとは職業で、簡単に言うと魔法道具を製作仕事だ。
魔法道具を作るには知識と技術、その二つがとても重要になる。
生活を楽にするもの、冒険を楽にするもの、そして生活の質を向上させるものを目標とする。
マギクラフターは製作者でもあるとともに研究者でもある。
いかに効率よく簡素化して作成するか、それは永遠の研究テーマだ。
そしてより複雑な魔法を道具にのせる、それも永遠の研究テーマだろう。
そんなマギクラフターの俺がある道具の作成中魔法道具が暴走してしまい、気づけば見知らぬ土地にいた。
暴走するほど魔力はこめていないし、ミスもしていなかった。
立ち並ぶ背の高い建造物、行き交う人々の見たことのない服装。そして土はなく固くて黒い地面。
何より緑が少なく色々とチカチカしている。
全く知らない土地だった。
俺がキョロキョロしていると何人かに話しかけられた。
その多くが黒目黒髪とゆう珍しい色合いだった。そして多くが身長が低い。
そいつらの扱う言語は聞いたことがなかった。
「ごめん、何て言ってるかわからない」
「―――」
俺が申し訳なさそうに首を振ると皆頭を下げて立ち去る。
何人か続いた後急に一人に手を引かれた。
変な形の建物で入口らしき天井に赤いランプがついている建物だった。
中は青色の服を着たやつらが沢山いた。手をひいてくらた人はその青い服を着たやつらに何か言って去って行った。
こちらに手を振りながら。
とても若い綺麗な黒髪の女の子だった。
青い服を着たやつらが個室に連れて行きイスらしきものを指さしてきた。
どうやらこれに座れとゆうことだろう。
イスにかけると一人残されてしまった。
仕方ない、今のうちにあるものをつくろう。
「創世の技法、アカシックレコード」
この技法は過去の技術者すべての技術を見ることが出来る。魔法道具の作り方や記載する魔法印そのすべてだ。
「あった。自動翻訳」
手持ちにはミスリルけどこれを使うしかないだろう。
このミスリルは魔法道具作成において高級な素材の一つだ。なのでよほどのことがない限り使いたくはなかった。
マギクラフターの製作工程はそう複雑なものではない。
まず魔法道具の効果により材質の選定をする。
翻訳の効果であればほんとは鉄でも銀でもいいのだけど。
次に素材の形状を変える。
最も安易に着脱できるのは指輪である。その形状に魔法で形を整えるのだ。
俺はシンプルなデザインが好きなのだが、中には性能はいまいちで見た目だけにこだわる二流もいた。
流石にミスリル、魔力の通りが素晴らしいから形を変えるのも簡単だ。
ここからがメイン。どんな魔法効果を付けるかだ。
今回は自動翻訳。これを丁寧に書いて行かなければならない。
指輪の内側に丁寧に、丁寧に……。
自動翻訳。これは大昔の偉人が発明したものだ。
どんな種族とも会話が出来る素晴らしいものだ。
こういった発明をしたものの名前はアカシックレコードに開発者として永遠に記憶される。
ああ、これもみんなが目標とすることの一つだった。この点に関しては俺はもうすでにそれは叶えている。
「上出来だ」
自動翻訳はとても人気のある魔法道具だ。数多くつくったことがある。掻くのはお手の物だ。
さて、最後の工程だ。
最後の工程は形を定着させる印をつけなければいけない。
魔法によって形を変えるわけだから定着の印を付けないとまた魔力出変形してしまうのを防止するためだ。
「よし、できた」
この定着には様々なやり方があるのだけど、今回は普通のでいいだろう。
早速つけてみる。材質もミスリルであり、我ながらいい出来だ。
「失礼するぞ」
丁度この部屋にノックする音が聞こえた。一緒に聞こえた声は問題なく自動翻訳が聞いているようだった。
四十代だろうか、またもや青い服をきた人物が)目の前に座った。
「言葉わかるか? 」
「あ、ええ。大丈夫です」
見知らぬ土地だ。丁寧に下てにいこう。
「日本語上手だな。日本に住んでるのか? 」
「あ、あはい。すんでいます」
ここは日本とゆうところなのか?
「身分証明書は? 」
身分証明書はある、ギルド会員証だ。これがないと商売ができないのだ。
「見たことないものだ。それに読めん。なんて書いてる」
「カーライル聖王国商業ギルド発行証明書、販売許可証。五つ星マギクラフター、ラステル・オルラスと書いています」
「むむむむむ」
腕を組んで唸りだした。
「ビザは持ってる? 」
「ビザ? 」
これは不味い、聞いたことがない単語が出てきた。
「ビザがないと不法入国、不法滞在となる。聞いたことがないその国へ強制退所となるぞ」
まずい、まずいぞ。一流クラフターとして傷がつくのは非常にまずい。
ここである道具を使うことにした。
「ああ、もしかして……これですか? 」
そう、それは相手の欲している物を見せる魔法道具だ。
マギクラフターは技術や知識はあるけど腕っぷしが強いわけではない。
かといってその腕前があれば国のお抱えや冒険者にかわれたりする。
それと同時に敵対勢力からは命を狙われることも……。
なので自衛手段は多く持っている。
これもその一つだ。
「何だ、あるなら早く出してくれればいいのに。滞在期間も……問題ないか」
あの後少しぼやけて見える、歳かなと呟きが見えた。それは多分魔法道具のせいだと思う。
「何かお困りの様だとさっき連れてきた人が言ってたけど? 」
「ああ、いえ。さっき来たばかりで驚いてただけです。高い建物ばかりで」
「ああ、そうかもな。東京に住んでると当たり前になるけど地方だとびっくりするだろう。何かお困りな点はあるかな? 」
「いえ、大丈夫です」
「ここは交番だ。何か困ったら危機に来なさい。我々は治安を守り住人を助けるのが仕事だから」
「ありがとうございます。じゃあ……」
「治安悪いところもあるから気を付けて」
「お世話になりました」
俺はラステル・オルラス、一流のマギクラフターだ。
さて、これからどうしようか。