表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヌーヴォー・アヴェニール   作者: 龍槍 椀
たとえ、悪者になっても
77/111

クロエ 有意義な夏休みを終え、【降龍祭】に臨む

 


 翌日、青龍大公様のお屋敷へ向かおうとすると、馬車が回されてた。 ヴェルの仕業? と、思っていたら、先触れをしてくれてたみたいで、青龍大公家からの迎えの馬車だった。 めちゃ豪華な奴。 そんで、見知らぬ執事の人が、ものっそう、丁寧に案内してくれた。


 ボリス様は、マリーの護衛騎士だから、来ないよね。 うん、知ってた。 知ってたけど、ちょっと、ちょっと残念。 でも、この執事さんも凄く有能そう。 青龍大公様のお屋敷の、使用人の層の厚さに、ビックリした。 そんで、最上級の対応。 ほんと、賓客扱いだよ、これ。






「クロエお嬢様は、青龍大公家の御賓客です。 ごゆるりとお過ごしください」






 そう、執事の人が言ってくれた。 にこやかに、笑っといた。 いや、それ以外の対応できねぇよ。 ほんと、居心地悪いね。そんでも、その豪華な馬車に揺られて、青龍様のお屋敷に向かったのよ。 ヴェルも一緒にね。


 うはぁ……豪華…… 黒龍様のお屋敷とは、別世界だね。 白を基調としたお屋敷でね。 使用人さん達もビシッとしてるし…… なにせ、明るい。 これでもかってくらいに、燭台があるしね……





「お待ち申し上げておりました、クロエ様♪」





 マリーがお出迎えしてくれた。 うん、いつ見ても可愛い。 ほんと、可愛い。 抱きしめてグリグリしたいくらい。





「お邪魔させていただきます、マリー様」





 で、マリーのお部屋に通された。 うん、お友達の御家に遊びに来た呈だね。 でね、その豪華で可憐なお部屋で、まったりお茶したのよ。 ほぼ最後となる、天龍様の贈り物を、両手でマリーの手を握って、注ぎ込んだの。


 マリー、頑張ったよ。 マリー、よくやったよ。 ホント。 結構な量の情報だよ、古の契約は……全部きちんと、送りこめた。 残っているのは、「龍の愛し子」関連。 でもね、これは、今は教えられないの。 ゴメンね。


 龍の巫女は、これで、二人になったのよ。 そんで、マリーも直接、天龍様に「龍印のある魔力」を送っているの、宝珠ドラゴンドロップを介してね。 そん時、天龍様も、気にしてたのか、色々な追加情報というか、歴史的流れというか、まぁ、そんな感じのモノを、マリーに贈って下さってたの。 私の方にも、同じモノが流れ込んでるから、判るのよ。 こっちは、そんなに情報量多くないし、今のマリーなら、十分対応可能だもんね。


 楽しくお茶しながら、手をつないでの遣り取り。 もう、マリー、以前のマリーみたいに、癇癪起こしたり、自閉しちゃったりしないよ。 龍の巫女の役割の重要さに目覚めたもの。 天龍様の御意思だって、聞こえちゃうしね。





 ―――――





 楽しく、にこやかに、談笑してたら、青龍大公閣下がお見えになった。 初めましてだね。 席を立ちあがって、ばっちりカーテシーを決める。 





「アルスウィル=コーネリアス=アズラクセルペンネ青龍大公閣下、お初にお目に掛かります。クロエ=カタリナ=セシル=シュバルツハントで御座います。 マリー=ハンナ=アズラクセルペンネ様には大変お世話になって居ります。 今後とも、なにとぞ、よしなに」


「うむ、噂は、かねがね。 それに、マリーからも、君の話はよく聞かされている。 此方こそよろしく頼む。 楽しんで行ってくれ」


「有難うございます、閣下」


「どうだろう、わたしも、茶会に入れて貰えないだろうか」


「どうぞ」





 マリー、ニッコニコで椅子を引いてた。 三人でお茶したの。 そうそう、マリー御飾りに、宝珠ドラゴンドロップ組み込んだって。 めっちゃ可愛いデザインでね、彼女らしいよ。 綺麗な赤紫色のハートの形。 その周りを極小さな魔石が取り囲んでるの。 見た感じ、守護系、防御系の魔方陣が組み込まれてるね。 御飾り付けてる限り、そう滅多な事は、起こらないね。 




        流石は、青龍大公家だ。 お見事! 




 楽しくお茶して、晩御飯前にお暇したの。 だって、マリーと一緒に食べたら、また、幼児体型まで、膨らんじゃうよ…… 残念そうな顔してたけど、笑って誤魔化したよ。 ほら、アスカーナ心配だったし。ヴェルに言って、今度は私から、馬車を用意してもらった。 


 だって、遠いんだもの。 青龍のお屋敷は、ドラゴンズリーチの南の端、で、黒龍のお屋敷は、北の端なんだよ。ちょっと、歩き通せないよ。 小型の馬車カブリオレに、ヴェルと二人でのって、青龍様のお屋敷を辞したの。 マリー様、子供みたいに、手を振ってくれた。 当然、私もね!






 **********






 黒龍のお屋敷に帰って、アレクサス御爺様のお部屋に行ったら、死体に近いモノが二体、簡易ベットに寝かされてた。 頬に涙の跡がくっきり残ってた…… 手に私の書いたメモ、握りしめてた。 ちょっとした、助言を書いといた奴。 うん、ちゃんと役立ったみたいね。


 おい、じじい! 何やらかしたんだ!!


 アレクサス御爺様は、なにやら、ばつの悪そうな顔されてたのよ。 私が睨みつけながら、どういった事が行われたのか、聞き出した。 もうね、唖然とするしかなかったの。





「い、いや、その、なんだ。 クロエと同じようにな……」


「御爺様。 私は、念を押しましたけれど、お分かり頂けなかったのでしょうか?」


「ま、まぁ……その、なんだ。 ついな……」


「お二人とも、女性らしい感性の持ち主で御座います。 したたかで、粘り強い。 それをこんなに成るまで…… 御爺様!」


「いや、そんなに睨まんでくれ…… ついな……お前が出来たのだからと……」





 もうね、呆れかえったよ。 私は、下地があるのよ。 人の死も、のたうつ姿も知ってる。 この手に掛けた幾多の魔物も居る。 多くの人達に、常に嫌悪の感情を向けられてもいる。 それに……




        世界は、悪意に満ちている事を理解している




 ダメだよ……そんなのと一緒にしちゃ。 アレクサス御爺様ともあろう方が…… 壊れちゃうよ? 本当に。 これ以上はダメ。 もう、おしまい。 この夏は、もうゲームはしない。 理解して、受け入れられるまで、盤面は見せないよ、二人には。


 ヴェルにメイドさんを呼んでもらって、私のお部屋で、休んでもらう事にした。 エルと、ラージェが来たの。 久しぶりに見る、メイド姿の二人。 なんか新鮮だね。 二人を私のお部屋に迎えて、あのでっかいベットに寝て貰った。 勿論、エルと、ラージェにはついてってもらった。


 でね、アレクサス御爺様。 


 私の前で、しゅんとしてる。 やり過ぎたの判ってるのよね。 腰に手を当てて、睨んどいた。






「クロエ……すまん。 すまんが、……まずは、これを見てくれ」





 そう言って、執務机の上の中規模盤を見せてくれた。 補助板もね。 両陣営、なかなか、頑張ってるじゃない。 諜報戦としてはね…… 詰めの甘い部分は有るけど……ほうほう、なかなか…… こうやって、こうなって…… 狙いは、ここと、ここ……ふんふん、そっか……こっちもか……





「お二人で、遣り合われたのですか?」


「そうだ……泣きながらな」


「思考の方法は……ご理解いただけましたね」


「うむ……」


「あとは、現実にすり合わせていくだけですね」


「そうだな……」


「マリー様の側近としては、満点では?」


「うむ……そうだな」





 よし、言質はとった。 ほんとに、容赦ないんだから……  御爺様の楽しみは、ココでおしまいにして貰おう。 これ以上は、いくら王妃殿下の側近でも、必要ない。 と云うより、侵略国家の軍事部門の思考に成るよ。 龍王国は、あくまで、護りに徹するんだ。 護り抜く為に知っておく、攻め手の思考は、十分読み解けるよ。 今の彼女達ならね。 





「残りのお休みは、彼女達にも、ゆっくりしてもらいましょう。 御爺様、なにか、楽しい事ありますか? ゲーム以外で」


「……そうじゃな……夜遊……」


「却下です」





 ホントに、アレクサス御爺様ったら、彼女達を夜遊びに連れ出そうって? ヴェルの胃に穴開くよ? ホントにもう…… 私なら、いいけどさぁ…… これ以上、彼女達に衝撃与えて、どうすんのさ。





「ムムム…… で、では……タウンハウスで、宴会は」


「良いですね。 そうしましょう」





 そんで、残りの夏休みは、御爺様も交えて、街区にあるタウンハウスにいったの。 黒龍大公翁おじいちゃんの持ち物だから、どうにでも出来るって。 ほら、あの、タウンハウスよ。 そう、下職する人達がいる所。 


 タウンハウスは、かなり改装されちゃってるけど、きちんと、私たちが滞在できる場所は、整えられているのよ。 うん、貸し出してるだけだもんね。 一応、商工ギルドのギルドマスターさんにも連絡を入れてた。 ほら、突然、行ったら、ビックリされるでしょ? そんで、彼等の慰労も兼ねて、お庭で宴会しよう! って事になったのよ。


 皆さんにも、参加してもらった。 お肉焼いたり、いろいろね。 楽しかったよ。 最初はおっかなびっくりだったけど、皆さんも、楽しんでくれたみたいね。 いつも、お疲れ様。 下職、評判イイよ。 商工ギルドのギルドマスターもニッコニコだったよ。


 あぁ、ギルドマスターも、忙しい合間を縫って、途中参加してくれたからね。 一杯、お肉とか、お酒とか持って。 アレクサス御爺様と、にこやかに、黒い笑みを浮かべながら、歓談されてた。 おい、そこ、悪巧みしない!




      そんなこんなで、私の夏休みは、ものっそう、充実してたよ。





 **********





 御休み明け…… お部屋に、一通の招待状が来てた。


 封印が、ハンダイ王家の封印。





 これ、アレね。 【降龍祭】の召喚状ね。 判った。 準備する。 もう、前みたいに邪魔はされたくないし、直接聞きに行くよ。 そんであの侍従長(薄ら禿げ)に、迎えは要らないと伝えよう。 だって、何かしら、いつも邪魔するんだもん。 ホントに、封印の役目果たしてんのかねぇ……


 侍従長に、面会を求めたの。 なんか、二つ返事だったね。 そんで、指定の場所に行って、穏やかに・・・・お話したのよ。





「此度の【降龍祭】ですが、やはり【謁見の間】に、皆さま御集りなのでしょうか?」


「はい、左様で御座います」


「時間は?」


「ご招待状にある通りで御座います」


「此方ね」





 そう言って、招待状を見せたのよ。 案の定、違ってた。 顔色を青くしてる侍従長(薄ら禿げ)を、冷たく見ながら、正確な時間を教えて貰った。





「案内は要りません。 よく知っておりますから。 それに、案内を付けた方が、行き着けないと、思われますが?」


「ま、全く以て……」


「この、招待状は、” 機能 ” しているのですね?」


「はい?」


「では、此方に、ご署名を」


「えっ?」


「侍従長様の御確認済みと言う事で、押し通りますので」


「は、はい」





 各門に配されている方が、止めるかもしれないじゃん。 だから、その予防。 使わなければそれで良いもの。 震える手で、侍従長(薄ら禿げ)、署名してくれたよ。 これで、よし。 後は当日を待つだけ。 当日、待たなくても、自分で行けばいいし、今度は、間違いなく行けるでしょ!


 下準備も終わったしね……んじゃ、今年も天龍様に、逢いに行こうか。 帰ったら、マリーの処へ行こう。 さっき確認のお知らせ、あったもんね。 




      私の、十五歳になる、【 お誕生日 】のパーティ 




           うん、とっても楽しみね。





 **********





【降龍祭】当日。 うん、今年も程よく曇ってるね。 朝の鍛錬してた時は、晴れてたのにね。 そうか……これ、天龍様の瑞雲なんだよね…… さっきから、ゴロゴロいってるしね…… 流石は龍族ね。雲を呼び、風を呼び、雨を呼ぶ。 まったくね、その通りね。 ちゃんと、降臨される準備してくれてるんだ……嬉しいなぁ……


 で、メイドズの出番。 黒龍のお屋敷から、もう一着デイドレス持ってきたから、今日はそれを着るの。 うん、コレも可愛いよ? シンプルなドレスだけど、色味が綺麗なの。 胸元から裾に掛けて、水色のグラデーション。 胸元がホントに淡い色で、裾が青に近い水色。 で、襟は白。 細かいレース編みの長手袋でね。 そんで、足元もツイードの水色のミドルヒール。 バッチリよ。


 髪型も、お化粧も、ミーナの大魔法で、美少女出現だし。 ほんと、これなら、何処に行っても、文句は無い筈。 後は、私の行いだけだけど、猫鎧はしっかりしてるし。 問題無いよ。 うん、マーガレットが現れなきゃね。 なんか、あの子と話すと、一気に崩れるの…… 親和性高いんか? 私の素と。





「では、行ってきます。 【降龍祭】だけで帰ってまいりますから」


「行ってらっしゃいませ」





 三人に見送られて、早々にお部屋を出るの。 今年は、待たない。 自分から行くから。 もう、騙されないよ。 ずんずん歩くの。 外郭、内外郭、内郭の各扉は、あっさりと通過。 うん、侍従長(薄ら禿げ)自らの、確認署名入りの招待状が、いい仕事してくれましたよ。 止めようとした、馬鹿……口開けてその文面見てた。 



 招待されたから、来た。



 間違いの無い方法ね。 これで、薄ら馬鹿の侍従が一人でもついて来てたら、やれ確認だ、問い合わせだって、足止め喰らうもんね。 だから、思った以上の速さで、【謁見の間】に着いたの。 で、侍従長(薄ら禿げ)に、ご対面だよ。





「クロエ様、お早いお着きで……」


「邪魔が入らなければ、毎年、この位の時間には、付きますわよ?」





 すんごく冷たい目で見といた。 なんか、めっちゃ恐縮してるね。 知らんよ。 あんたがした訳じゃ無いけど、抑えられないのは、あんたの能力不足。 だから、再評価なんかしない。 いくらアレクサス御爺様のお知り合いとはいえ、信用する気、全くないし。


 そうこうする内に、出席者が現れ始めた。 うん、国王様、王妃様、王太后様、エリーゼ様。 うんここまでは判る。でもなんで、グレモリー様と、ミハエル殿下、それに、ボディウス教皇様がいらっしゃるのかしら? 良く判らないわ?





「では、参ろうか」





 なんの疑問も無く、国王様がそうおっしゃったの。 ふ~ん、参加者資格忘れてるね、これは。 まぁ、門の精霊が弾くけどね。 そっと、見てた。 





 国王様、モゴモゴ 言って、扉に消えた。 うん普通に。


 王妃様、モゴモゴ 言って、言って、言って、言って……なんとか、扉に消えた。 やっとね。


 王太后様、モゴモゴ 言って、扉に消えた。 いつも通り。


 エリーゼ様、モゴモゴ 言って、言って、言って……・やっとこ、扉に消えた。 




 で、私の番なんだけど…… なんで、ミハエル殿下が、扉の前に立ってんの。  ん?  ミハエル殿下、立太子してないし、第一王子でも無いよ? 入れてくれるわけないじゃん。 グレモリー様が困った顔してるよ。 私の方を向いて、眉毛下げてる。 そっか……こいつらに無理矢理連れてこられたんだね…… 資格無いのに……【 降臨の間 】に入れるって思ってたのか? 


ミルブール王国じゃ、龍印の無い、一般人が、地龍様に会えるのか? 眼だけで、グレモリー様を見たんだよ。 眼を瞑って、頭振ってる…… そっか…… よその国だから、やりたい放題してんのかぁ…… じゃあ、容赦しなくていいんだね。 それにしても、ミハエル殿下まで、知らないって事無いよね…… グレモリー様にいい所見せたかったのかなぁ……


ちょっと、グレモリー様に視線を合わせてから、ミハエル殿下を見て、もう一回、グレモリー様を見たんだよ。 判ってくれるよね。 そしたら、笑っちゃうことに、グレモリー様、私を見た後、肩すくめてんの…… 呆れ果ててるって顔してね。


 あははは! ミハエル殿下、呆れられてるよ? 自分で墓穴掘ってるよ? 判ってるの? 


 ミハエル殿下、なんか、癇癪起こして、扉、ぶっ叩いてるね。 やっぱ、判って無かった。 馬鹿じゃね? だから、アンタは、資格が無いんだって……。 どうしようかな~~。 



          ん?  



 ボディウス教皇様(我等が敵)が、なんか唱えだした。 ハハァ~ン、黒魔術で、門の精霊ゲートキーパーを懐柔しようとしとるのね。 それとも、攻撃魔法か? はたまた、【 隷属 】か? どのみち、門の精霊ゲートキーパーが、攻撃されたって、認識するぞ? 



     んじゃ、私、門の精霊ゲートキーパーの、手助けしよう!



 ボディウス教皇様(龍王国の敵)に見つからんように、召喚魔法を唱えたの。 うん、【 精霊召喚 】 でね、水の大精霊様を呼び出したのよ。 で、お願いしたの。




 ⦅親愛なる水の精霊様、 浄めし水を分け与えたまえ⦆




 でもって、ボディウス教皇様(我等が敵)に、気付かれない程度、距離を置いて、薄く漂わせたのよ。 放射される魔法が、片っ端から浄化されるの。 いやぁ 効くね、聖水は。


 でね、ボディウス教皇様われらがてきがね、私に向かって、ギロッって睨むのよ。 ほほぅ、ヤル気か? でも、お前、よそ見してる暇あるのか? 攻撃を受けたと受け取った門の精霊ゲートキーパー、怒らせたよ、あんた。


 精霊様を見る事が出来るのは、この場には、私と、グレモリー様だけ。 で、グレモリー様、後ろに下がったの。 うん、判ってらっしゃる。 精霊様、怒らせて、ましてや、古の精霊様怒らせて、どうするつもりだったんだろう? うん、見ってよ♪


 小さな精霊様だけど、怒り心頭だね。 真っ赤になって怒ってるよ。 そんでね、怒りの鉄拳。 あはっ、ミハエル殿下、体、くの字に折ってんの。 腹にまともに喰らってんのよ。 怒りの鉄拳。 あぁ~あ、一発で轟沈。 綺麗に意識刈り取られてた…… 暫く起きんよね…… 侍従たちが走って来るよ。


 で、問題のオッサン。 防御障壁たてて防ごうとしてるね。 無駄だよ……怒れる、古の精霊様の一撃は、止められないよ。 




          ドゴン!




 ねっ? 止まらんでしょ? 防壁作ったって、精霊様の一撃は、全属性無効なんだよ。 だから、素で殴られてんだよ。 ほら、ひっくり返った。 コッチも意識刈り取られ倒れてるね。 一応、此れでも、外国からの賓客って事だから、側に控えていた侍従たちに、介抱するように伝えたの。 ほんとは、知らんぷりしたかったけどね。 一応ね。



 「お二人は、【降臨の間】に入る許可が貰えませんでした。 扉を護る精霊様に、弾かれたようです。 介抱して上げてください。 大切な・・・、王子様と、偉大なる・・・・外国からの賓客で御座いますので!」



 ちょっと、大げさに言ってみた。 笑いをこらえるのに必死だよ……全く。 その様子を見てたグレモリー様。 もうね、ほんと、困ってる。 どうしようもないって、瞳で、倒れてる二人を見てた。


 だから、私は、呆れかえってる、グレモリー様に声を掛けてみた。






「グレモリー様? 如何致します?」


「そのままに。 わたくしは、ただ、殿下に言われるがまま、付いてきましたが…… ここまで無知だったのですね。 それに、ボディウス教皇も……」


「そちらの教皇様かたは?」


「捨て置きましょう。 龍王国で、何をしても、良いと思って居るようですので」


「その様ですね。 暫くしたら、気が付きましょう。 その時は、宜しくお願い申し上げます」


「判っております。 諭してみますが……聞かぬでしょうね」






 まぁ、順当な答え。 グレモリー様、今はオトナシクしてるんでしょうね。 本国と、色々遣り取りされてるみたいだし…… 内務の暗部の人が、掴んでるって…… 知ってるかな? たぶん、知った上でやってるんだろうね。 まぁ、国教会に漏れても、判んない様にしてると思うしね……そんで、ちょっと聞いてみた。






「御意に…… グレモリー様?」


「何でしょう」


「入られますか?」


「天龍様がおよびであれば」


「判りました。 いずれまた」


「はい」






 グレモリー様、なんか、とっても覚めてらっしゃるね。 そりゃそうか……目の前に馬鹿、二匹……そんで、このざま…… 言葉を失って、呆れ果ててるって感じだね。 うん、そっとしとこう。 私が、なんか言う立場に無いしね。 では、私の番ね、門の精霊ゲートキーパー様♪




 ⦅来たよ、今年も⦆


 ⦅よく来たね。 あれ、何?⦆


 ⦅この国の第二王太子と、隣の国の妖魔精霊を信奉してる導師⦆



 ⦅……馬鹿じゃ無いの?⦆


 ⦅ほんとに、そう思うよ。 貴方達に喧嘩売って……どうするつもりだったのかなぁ⦆


 ⦅なんの為に、僕たちが此処に居ると思ってんのかね⦆




 ほんと、呆れ果てるよね。 私と門の精霊様とで、侍従たちに介抱されてる二人(阿呆)を見て、溜息ついちゃったよ。




 ⦅よく知らないんじゃない? 貴方達の役割と、古の契約事⦆


 ⦅もう、末期だね……大丈夫?⦆


 ⦅私も、良く判んないよ……どこに向かっているのか⦆


 ⦅そうなの? でも……このままじゃぁ……⦆


 ⦅うん、理解はしてる。 人の子も理解してる人は、準備してる⦆




 門の精霊ゲートキーパー様の目が、なんかキラッって光ったよ。 そちらも、なんか準備してんの? そうなの? 怖いなぁ……




 ⦅そっか……まぁ、クロエが居るから大丈夫だよね⦆


 ⦅そう言ってもらえると、なんか、安心するよ。 そうそう、コレ。 約束してたもの⦆


 ⦅うわぁ……ありがとう!! 楽しみにしてたんだ!!⦆


 ⦅んじゃ、行くね⦆


 ⦅うん、行ってらっしゃい!!⦆




 約束通り、魔石にお日様一杯の魔力を溜めこんだもの、あげた。 めっちゃ嬉しそうにしてた。 うん、この顔が見たかったんだ。 まぁ、これで、懲りて呉れたら、いいのだけど…… 無理だろうなぁ…… それでも、奴らの浸食が、ついにハンダイ王家に辿り着いたって事だね。 きっと、アレクサス御爺様達、完全に見切るよ。 うん。 薄々感づいているの、王太后様だけだろうね。



         でも、もう、どうしようもないよ。 



      私は、貴方達を護る為に、此処にいるんじゃない。



        龍王国の民を護るために、此処にいるんだ。



         邪魔するモノは、誰だって、殲滅する。






             そう、誰だってね。







ブックマーク、感想、評価、誠に有難う御座います。

ホントに、嬉しいです。


―――――


三回目の【降龍祭】です。 はい、招待されましたが・・・


クロエは、何となくですが、王家の行く末を見た気がしております。

このままでは・・・という憔悴感より、次代を考え始めているようですね。


物語は、加速していきます。




では、また、明晩、お逢いしましょう!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ