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ヌーヴォー・アヴェニール   作者: 龍槍 椀
たとえ、悪者になっても
75/111

クロエ お友達と【精霊祭】を楽しむ。

 




 王家主催の【精霊祭】は、終わった。 完全に不調。 もう、グルグル回ってる。 あ~妖魔精霊の邪気と、教皇の魔法にかなり削られた感じ……ふぅ…… ほぼ、一晩、鍛錬部屋に籠って聖句を唱えてた。 で、朝の鍛錬。 上手く行かない……キレが悪い……呼吸鍛錬をしたら、ちょっとマシになったよ……



     もうね……こんなに変調きたすって……どうよ?



 身に着けてたもの、全部焼いた。 聖水たっぷり使って、沐浴もした。 聖句を唱えて、精進潔斎した。 それで、これ。 ほんと、妖魔精霊ってたち悪いわぁ……


 なんとか、普通に出来る感じだけどね……まだ、攻撃されてるみたいね……なんでだろ?

 ボンヤリしてたんで、鍛錬部屋に籠って、聖句を唱えてた。





「クロエお嬢様、 マリーお嬢様の先触れが御座いました。 如何、お返事、致しましょう?」





 ヴェルが、そう扉の外で、私に伝えたのよ。 あぁ……うん。 逢うよ。 ちょっと、サロンの方には出向けないけど…… お待ち申し上げますって、お答えしてね。 私も身支度するから……





「はい……しかし、お嬢様、かなり…… お疲れの模様……」


「いいの。 大丈夫。 来られるまで、身支度を整えた後、ここにいるから。 来られたら、呼んでね」


「……はい」





 心配そうな声だったね。 ゴメンね。 ホントに、ちょっとしんどいのよ。 まぁ…… 相手が、相手だからね。 でも、あっちも只では済んで無い筈。 かなり、聖水で焼かれてた、” 筈 ” だもんね。 それに、猊下の精神系の魔法攻撃の対象は、ほとんど私向きだったから、その余波くらいしか、あの部屋に居た人には、掛って無い筈。 




 それに、光の大精霊様の祝福を皆が全身に浴びたんだもの…… まぁ……大丈夫よね。 私以外……





 ―――――





「クロエお嬢様、マリーお嬢様がいらっしゃいました」


「うん、今、行く」





 鍛錬部屋を出たの。 ちょっと、足取り重いの…… マリーが心配そうに見てた。 にっこり笑ってみた。





「クロエ様、押し掛けてすみません。 とても、お疲れの御様子ですね…… 日をあらためましょうか?」


「ようこそ、お越しくださいました。 いえ、いえ、マリー様…… クロエは、大丈夫です。 ちょっと、日の光を浴びたいので…… ご一緒してもらっても?」


「ええ、わたくしは、問題ございませんが…… 本当に、大丈夫ですの? 御顔の色がお悪いわ」


「日の光に当たれば……大丈夫です」






 **********






 そんでね、二人して、中庭に向かったのよ。 ちょっと、よぼよぼしてるけどね。 マリーの心配が、心に沁みるよ。 中庭のいつもの東屋に着いたら、お茶の準備。 今日は、エルも、ラージェも、ミーナも居ないの。 うん、遠慮してもらった。 マリーと二人っきり。 まぁ、そうね、ほら、内緒話もあるしね。



 東屋について、お茶の準備の為に、【ハッチポッチ】から、茶器やら何やらを振り出したの…… 



 えっ? なにこれ? ポロンって、魔石が一個、転がりだしたの…… 途端に、全身に感じる、ものっそい爽快感! うひゃひゃひゃ! 今なら、空でも、飛べるかも!!!


 一気に顔色も良くなって、体の中から、あふれ出る ” 私は元気! ” が、マリーを若干引かせてたね。 ゴメン、そんなつもりはなかったの。 でも、何でだ? あれだけの倦怠感…… どこから来たんだ? 余波じゃなかったのか? テーブルの上に転がってる魔石をもう一回見たのよ。 黒紫色に変色してた。 たしか、私の髪の毛と同じ色だった筈なんだけどなぁ…… 


 でね、その魔石…… 私の傀儡の核だった筈。 衛生兵分隊の隊長さんが、あのオーガの残した、魔石の山から、見つけて、私に帰してくれた奴…… 




    えぇぇぇ………… なんで、こんな色に成っちゃったんだ? 




 お茶の準備をこなしつつ、ちょっと離して、置いといた。 なんか禍々しいね、これ。





「それは……なんですの?」


「これは……魔石ですの。 ちょっと、魔法が掛かってるの。 マリー様は、【傀儡】の魔法ご存知?」


「ええ、名前だけは……たしか、”身代わり” でしたかしら?」


「ええ、使役用の魔法生物のようなモノですわ。 ゴーレムより、小さくて、色々な事が出来るんですの」


「では、これは?」


「その、傀儡の核ですのよ。 作りましたの……でも、なにかおかしいのです。 こんな色ではなかった筈ですし……」





 マリーは、じっとその魔石を見てた。 なんか、気が付いた事有るのかな……





「クロエ様は……昨日、王家主催の【精霊祭】に、ご出席だったとか」


「ええ……」


「貴族科の授業で……習いました事が有ります。 でも、それなら……ハンダイ王家は大変な事に成っている事に成ります」


「ど、どういった……事でしょう?」





 うわっ! なんか、バレてる!





「【傀儡】は、身代わりです。 本人に何らかの攻撃があった場合、何割かの影響が傀儡にも分散されます。 特に邪な精神に作用魔法を掛けられた場合は、傀儡が身代わりとなってくれると、習いました」





 あいつらが、私の傀儡を蹂躙した時、物凄く大変だったもんなぁ。 でも、逆もあったんだ…… そっかぁ…… 魔法科ではそんな事は、座学で勉強しなかったもんなぁ…… 身代わりに使うのか…… だから、法で決まってるんだ、本人の姿しか、写せないって…… へぇ……それでかぁ…… 変な事に使えるからじゃ、無かったんだ……  警戒とか、防御に使うって、目的は同じでも、使い方が、真逆だね。






「クロエ様が、魔石の状態でお持ちになって、それが、変色したとすれば、クロエ様が相当に害されたと言う事ですわ…… 恐ろしいですわね。 それに、それが、王家主催の【精霊祭】で起こったとなれば……いったい何があったのでしょうか? 王家の方々に影響はなかったのかしら? それとも、今までの事を考えれば、王家の人達が、クロエ様に?……」





 うん、そうだね。 確かに、攻撃されてた。 自分の身は護ったけど……そうか……この傀儡に影響がでたのか……





「……マリー様。 あまり、大きな声では言えませんが、あの場には、ミルブール国教会の教皇様が同席されました。 あの方に、精神系の魔法を掛けられそうになったのです」


「まぁ! ……【 魅惑チャーム 】でしょうか?」


「それも有ります……お気を付けください。 ミルブール国教会の者とは、極力距離を置いてください」


「ええ、ええ、勿論ですわ! クロエ様に、このような事をする輩には近づきません! 近寄って来ても、断固拒否します!」


「そう言っていただけると、本当に、有難いですわ」





 そうか……【ハッチポッチ】の中まで、確認してなかったよ。 これが原因か…… 原因さえわかれば、対処は出来るよね。 これ、ちょっと、封印しとこ。 そんで、魔法騎士団の処で、解析しよ。 あの人達なら、なんか判るだろうし。 影響っていっても、この核が、魔法を受けているんなら、そこから、相手が使ってる魔方陣の解析も出来る。 防衛策も取れる。 対抗策だって考えられるよね。



 うん、マリーありがとう!




 ―――――






「ところで、マリー様。 最近ギルバート様は、お運びになられてますか?」





 ちょっと、意地悪な質問。 だって、知ってるし。 私が居ない時に、ちょくちょく来てるの。 ボリスさんから、ちょろっと、”お話” 貰ってる。 だって、ほら、同じ「計画」の構成員だもの。 うふふ……で、どうなのさ。





「ええ……まぁ……お越しになって居られますわ」


「まぁ! そうですの……ギルバート様、お優しいですものね」


「ええ!!……ええ、そうですわね」





 なんか、顔真っ赤にして、モゴモゴ言ってるね。 うん、これは、脈アリだね。 ものっそう、気にしてるしね。 順調、順調! このまま、育んでくれ給えよ! ハッハッハッ! はぁ~~~~。 



         いいなぁ~~~



 慌てたマリー、今度は、私たちの【精霊祭】について、話し始めたの。 そうね、話題、変えたげる。 うん、どうしようか。 本チャンの【精霊祭】終わってるから……各家の使用人の皆さまいらっしゃらないわね…… どうでしょう……マリーのサロンで?





「ええ、わたくしもそのつもりで準備しております。 マーガレット様にも、ビジュリー様にも、アスカーナ様にも……ギ、ギルバート・・様にも……、そ、そうお伝えしております」





 ほほぅ~~、そうかね、ギルバート様にもね。 良い事だね。 うん、私の知らんところで、随分、進んでた……  楽しみだね。 何時にするのかな? ビジュリーの時間もあんまり取れないでしょ?





「明日の夕刻に。 ……と、思っておりますが、クロエ様は、大丈夫でしょうか?」


「はい、是非、お伺いします」


「ありがとう! 待っておりますわ!」





 うん、とっても嬉しいね。 大変だったけど、また、お友達が楽しくしてくれる。 いいねぇ……これ。 そのあと、ちょこっと話をして、お部屋に戻ったのよ。 足取り軽くね。 そんな私をみて、ヴェルも嬉しそうだった。 何があったかは、聞かれなかったよ。 聞いてくれても、良かったのに。


 あぁ、傀儡の核は、思いっきり封印したよ。 ちゃんと、それ用に容器も、” ひねり出して ” さ。 うん、あとで、魔法騎士団の団長さんに相談しよう。





 **********





 マリーの【精霊祭】に、行く前に、こいつ如何にかしよう って思ってさ。 やってきました、魔法騎士団の屯所。 でね、筆頭魔法騎士さんにお会いしたの。 なんか、驚いてるよ? なんで? あぁ、もう学院は夏の休暇に入ってるもんね。





「クロエ殿、夏の休暇は?」


「ええ、此方に居ります。 黒龍のお屋敷か、学院に。 ちょっと、気になる事がございまして……」


「なんでしょう」


「コレなんですけれど。 色々な魔法が掛かっております、わたくしの【傀儡】の核で御座います。 解析お願いできませんか? 解呪、無しで…… 」


「ほう、面白そうですな。 では、魔術研究員に、渡しましょう。 残念ながら、私は、此れより、近衛親衛隊にくっ付いて行く、護衛任務が発令されたのだよ。 まぁ、王族の護衛だから…… 帰ってこれる時間は判らんが、【降龍祭】までには、戻る」


「……左様で御座いますか。 では、お願いします」






 くそ! またかよ。 邪魔ばっかりしやがって! まぁ、魔術研究員の人に渡せれば……なんとか……なるか?  魔術研究員の方は、研究熱心だけど、お話、してくんないけどね。 研究馬鹿だもんね。 成果は出してくれるかな? ボロボロになってそうね…… まぁ、頑張って下さいね。


 筆頭様、行ってらっしゃい。 頑張ってね。 そちらも、大変だと思うけど…… どっかの避暑地にでも行くのかね。 予想だけど、エリーゼ様と、グレモリー様も一緒だよね。 近衛親衛隊と魔法騎士隊が共同で護衛に付くって……そういう事なんだと思うよ。


 で、行先は…… 例えば、龍の啼く谷で有名な、リュウコクとかさ。 それとも、宝石ザクザク掘りだしてる鉱山街 キョウサーン で、お買い物? はたまた、広大な葡萄畑と、麦畑が広がる穀倉地帯の大都市、コナーンで、グルメ? まぁ、色々と考えられるね。 


 どうでもいいけど……


 私は呼ばれて無いし、行く気も無い。 どうぞ、御勝手に。 さてと、みんなの処へ行こう。 楽しい、【精霊祭】だ!





 **********





 マリー頑張ったね。 サロンの、 ” お部屋 ” すんごいよ。  精霊様の祠が五つ。 対象は何でも大丈夫な祠。 部屋はちょと薄暗いね。 落ち着くよ。 



          んじゃ、一つ提案。



 マリーのサロンの給仕さんとか、メイドさん、そんで、ボリスさんも一緒に、お祈り捧げようよ。 きっとその方が、精霊様もお喜びになるしね。 私の従者として、今日は、エルも、ラージェも、ミーナも来てもらったよ。 そんで、いつもへばり付いてる、ヴェルもいるし。 みんなで、お祈り捧げようよ。




「そうですわ!! 皆の祈りで、精霊様がお喜びになるのなら!!」




 うん、ありがとう、マリー。 ちょっと、ビビってた使用人の方達も、ボリスさんが促して、みんなでサロンに入ったの。 うん、祈りは大切。


 其々に、祠に向かって、一心に祈りを捧げるの。




 ” 龍王国の民への加護、本当に有難うございます。 精霊様の御心に安らかな平安を……”




 マリーと、ギルバート様、並んでお祈り捧げてるよ。 アスカーナ、ビジュリー、マーガレット、それ見て、ニヨニヨしてたよ。 お屋敷から来た使用人の人達、なんか、涙ぐんでた…… うん、いいよねぇ……いいよねぇ……いいなぁ



 ほんと、羨ましい!!!



 ぱぁぁっと、私の周りに光が集まった。 ん? なんの魔法も発動してないよ? ここ、マリーのサロンだし、変な事しないよ? 安全だし……なんで?  光がドンドン強くなっていくのよ。 心地よい風が祝福された水分と、大地の匂いを運んできた。 光の中に優しい暗闇が帯になって回ってる…… ふっと炎がその中に混じる……




     みんな……来たんだ。




 ちっさな精霊様が、飛び回ってる……


 祈りは通じたみたい…… それで…… お礼を言われた……




      ” ありがとう、 みなを助けてくれて ”




 いやぁ…… まぁ、その、なんです。 いいじゃないですか、龍王国の大切な精霊様なんですから。 そうですよ、ずっと加護を頂いているんですから…… 


 なんか、胸が熱くなったよ……そうだね、みんなの祈り通じたんだね。 部屋の中の精霊様の御姿、今日は、皆に見えてるのかなぁ…… ポカンと口開けて見てるよ。 そうだね、こんなにハッキリ具現化するのって、めずらしいよね。 


 そんでね、私はね、サロンとバルコニーの間のガラス扉を開けたの。 この祝福は、龍王国の民のモノ。 だから、開放するの。 精霊様、あまねく龍王国の民に、祝福と、加護を、お与えください。 開け放たれた扉から、精霊様達が一気に天空に帰って行かれた。 渦巻く光は、空高くに。 夜の帳の降りる前の、紺碧の空へ……




「【精霊祭】、精霊様へ捧げた皆様の祈り、受け取っていただけたようです」




 振り返って、部屋の中に居る人たちに、そう伝えたの。 みんな、茫然とした顔から、めっちゃいい笑顔になったよ。 勿論、私もね。 


 楽しく、歓談して、楽器演奏して、美味しい晩餐を頂いて…… かなり、遅くまで、そうやっていたの。 まぁ、明日からは、また、黒龍のお屋敷とか、青龍様のお屋敷とかに行かなきゃなんだけどね。 ビジュリーも色んな所に、引っ張りだこでしょ? 


 アスカーナは私にくっ付いて、アレクサス御爺様の所。 あれ? マーガレットは?






「私は……学院に残るよ。 温室の世話もあるしね。 いつも通りさ」


「そっか……遊びに行ってもいい?」


「ははは。 何時でも。 お茶の準備しとくよ」


「先触れなしで行くよ?」


「いいよ、居たら、相手してあげる」






 顔を見合わせ、クスクス笑い合うの。 やっぱり、こいつ、私に一番似てるよ。 



    今年の夏休暇は、何となくだけど、ゆっくり出来そうね。 



         不測の事態が起こらない限りね。 



          情報は、細かく拾っとくよ。 








          今日は、みんな楽しかったね。







      来年も、素敵な【精霊祭】を、一緒に過ごそうね。






ブックマーク、感想、評価 とてもうれしいです。

頑張ります。 ええ、力湧いてきました!!


―――――


嫌な事が有ると、良い事もあるのです。


人間万事塞翁が馬です。 クロエの事が大好きな友人達に囲まれて、彼女は生き生きしてます。


状況は、依然厳しく、そして、厳しさを増していきますが・・・彼女は、誇り高く、穢れなく、生きて行きます。 自らの為すべきを成す為に。 



暑い日が続いております。 読者の皆様、お体ご自愛くださいませ。


それでは、また、明晩!

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