クロエ 自覚した初恋は、優しい手紙とともに・・・
ミルブールのお姫様と、初めて会うのにね、なんか、昔からの友達みたくお話できた。 一通りの社交辞令はね。きっと、それは、お姫様が、 ” そう言う人だったから ” 、だろうね。
それにしても………… なんで、こんな早朝に、パーティドレスで来ちゃったんだろうね。 前触れもなく。 いくら招待状を貰ってたからって……ねぇ。 欠席の謝罪なら、後日でも良かったのにねぇ……
なんでじゃ? 怒らんから、言ってみ?
そんで、お姫様に、当然の疑問をぶつけてみたんだ。 非常識な事してるって、【自覚】有るんなら、答えてくれるよね?
「このような、早朝の御来訪、なにか訳でも? それに、その御姿……今まで夜会に出席されていたよう……何が、ありましたの? 差し支えなければ、お教えいただければ、嬉しいのですが……」
ちょっと、落ち着いた。 慌てた自分がちょっと恥ずかしい。 平静を取り戻し、状況を観察してみるの。 本当に彼女が言った通り、何もかも、非常識なんだもん。
でね、状況が聞き出せた。
デデン! 理由判明!!
悪いのは、ハンダイ龍王国の王家と、ミルブール国教会の高位導師、 それと、そんな方々に乗っかった、ミルブールの大使。 最初聞いた時、耳を疑ったよ。 あり得ない状況だよ。 何、考えてんだよ。 黒龍の家への軽視は、そんなに進んでたのかよ…… 私が、【精霊祭】の主催者の一人なのが、其処までされるのかぁ…… なんか凹むなぁ……
簡単に言うと、黒龍大公家の【精霊祭】に出る為に、出発寸前だったミルブール御一行様を、ハンダイ王家が止めて、ハンダイ王家の【精霊祭】に、 ” ご招待します ” って、連絡来たんだって! でね、国王とその家臣じゃ、比べるまでも無いからって、御一行様の行先が、くるっと反転したんだと。 お姫様、ビックリしたんだってさ。 大使、黒龍大公家には、使者を送るだけにしたってさ。 ほんと、なんなのさ。
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ミルブールのお姫様が、ハンダイ龍王国に来るのって、かなり前から計画されててね。 単なる、お隣の国への、 ” 訪問 ” じゃ無くって、御留学って話。 ほら、去年、ミルブールの大使がそんな事言ってたでしょ? それが、やっと決まったんだって。 そんで、その「顔見せ」を兼ねて、精霊祭から始まる社交シーズンに間に合うようにって訳。
でね、奥様はそれを知ってて、かなり前から、打診してたのよ。 お姫様が出席できるような、【精霊祭】の夜会に。 外国の方を、ご招待する為の、「通常対応」で進めてた訳ね。 でね、最終確認の打診の時に、王都にあるミルブールの大使館で国教会の高位の導師が、急逝したのよ。 そうよ、 ” 例のアレ ” まぁ、あっちの大使としては、大変な出来事よ。
お姫様が大使に教えて貰った話なんだけどね。 身罷った時、なんでも、その「高位の導師様」は、魔方陣の上で、お祈りされてたんだって。 付き従ってる、導師様達が、その周りでお祈りしてたんだって。 でね、その魔方陣が突然動かなくなって、逆回転初めて、導師様が固まって、声も出なくなったんだって。
……長距離隷属印、組み込まれてたんだね。 グノームを、モノ化して、操ってたんだもんね。 そんで、私が、その人の魂、【魅惑の魔法】で固定しちゃったもんだから…… 帰れなくなったんだよね…… そんで、あのグノームの命が落ちて、それに引っ張られて、その高位導師の魂も連れてかれたんだよね…… 邪な目で私を見るから、自業自得だ。
けっ!
で、その対応に追われてて、お返事が遅くなったんだって。 大使、ミルブール本国と一往復してるし…… 高位導師の「魂の抜殻」とね。 でね、それでも、ミルブールの大使としては、こうやって、龍王国の周辺国の大使や王族が一堂に会する場所には、出たかったらしいの…… 必死で調整してたって。
招待した方の、龍王国の王家の方って、今じゃぁ、そう言ったアレンジされないんだって。 ダメじゃん! じゃぁ、白龍大公家はって言うと、なんでか、ミルブールへは前のめりに対応してるけど、他の周辺国にはそんなに…… だからね。 何やってんだよって事。
で、ミルブールの大使がね、割とギリギリになるけど、「出席します」って奥様に伝えたわけよ。 そんで、奥様以下、黒龍の家は準備するわけよ。 でね、其処に今度は、ミルブール本国から、突然、” 予定通り ” お姫様がやって来たって訳。 すっかり失念してたって。
そんな大事が有ったから、彼女が来るのは延期したと、思ってたって。 その対応に、大使頑張ってたって。 んでね、最初の予定では、お姫様、一人だったんだけど、予期せぬ出来事で空いた席を埋める為、お姫様と一緒に、国教会の高位の導師も来たんだってさ。 身罷った先の導師の方の代わりの方。
そんで、王家と白龍大公、ミルブールのお姫様が来た! ってんで、慌てて対応したんだと! で、王家のご招待に繋がったと。 予定くらい、ちゃんと掴んどけよ!!
ははは! 混乱の極みだ!
お姫様がこんな無茶したのって…… 黒龍大公に対する謝罪が大半なんだよね。 深夜まで続いた、ハンダイ王家の【精霊祭】…… いつ切り上げるのか、ヤキモキしてたって。 で、何時までも動かない、大使とか導師をぶっちして、あっちの夜会、抜けて来たって。
あれ? あれれ? でも、そんな近く無いよ? フーダイと、王都シンダイ…… どうやって来たの?
「わたくしの馬車は特別なのです。 馬の代わりに、四頭のグリフォンが引きます。 そう、飛べるのです。 でも、護衛の衛士も乗らなければならないから…… 重くなってしまって…… ごめんなさい。 もっと早くにお伺いするつもりだったのですが……」
お、おい…… 普通の馬車で一日の距離だぞ? 馬車が…… と、飛べるって…… 流石はミルブール…… やる事とか、持ってるものが、規格外だ……
ちょっと、唖然としてしまった。 マリオ…… 対応に困ったろうなぁ…… まぁ、あの人の事だから、間違いない対応してると思うけど……
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でね、私の視線がさっきから、一所に釘付けになってんのは、理由が有るの。
ミルブールのお姫様のお胸に釘付けなのよ。 正確には、デコルテに乗る、首飾りの御飾りに。 ひし形を縦に伸ばした感じのデザインの枠に嵌った、平べったくて、丸い石。 ぼんやりと、紫がかった色をしていたのよ。 そうね、しいて言えばアメジストみたいな色。
でもね、違うのよ。 その透明な紫色は、単純な色じゃ無くってね、魔力がウネって、紫色が渦巻いて見えんのよ。 そうね、「宝珠」 だろうね。 それが、ヴァサンゴ家に代々伝わるものか、彼女が直接貰った物か判らないけど、「宝珠」が、あんな色を湛えるなら、彼女は間違いなく『 龍印 』持ちね。
それに、気になるのは、その枠のデザイン…… どっかで見た事が有るのよ。 どこだっけかな~~~
そんな、私の視線に、ミルブールのお姫様、気が付いたのよ。
「……宝珠になにか?」
「やはり、その御飾りは、宝珠ですわよね。 素敵なデザインですわね」
「ええ、ありがとう。 そうですわね。 地龍様から頂いたあと、国教会の者が、御飾りに仕立ててくださったのです」
「左様でしたか……グレモリー様、地龍様から直接と言う事は、貴女は……「龍の愛し子」なのですね」
「えっ……ええ。 そうですわね…… でも、そう云った事を、ご存知ですの? クロエ様は」
「ええ、まあぁ……私も、もっておりますから」
そう言って、首から下げた袋の中から、御飾りを取り出して、着けたのよ。 ミルブールのお姫様、目をまん丸にして、ビックリしてた。 なんか、本国で私に関して色々と吹き込まれていたらしいのよ……でも、私が「龍の愛し子」って事までは、掴んで無かったみたい。
なんで、そんな事言ったか? うん、これ、約束事。 ヴィヴィ妃殿下が私に伝えたのと同じ。 「龍の愛し子」は、別の人がそうなら、その事を伝える義務があるのよ。 天龍様と繋がって、判った事なんだけど、いわゆる相互不可侵的な? その為の処置なんだって。 そうよね。 結託したら、龍戦争だもんね。 私たちは、「龍の愛し子」、又は「龍の巫女」として、龍を浄化するのよ。
さてと、色々聞けた。 ちょっと引くくらい、自分の国の王家に幻滅したけど、話を聴けて良かった。 そんで、さっきのモヤモヤも解消した。 彼女の、” 宝珠 ” の周りの意匠…… あれ、ミルブール国教会の紋章を模ってるのね。 なんか、すんごく、イラって来た。
「クロエお嬢様。 旦那様の準備が整いました。 昼餐といたしましたので、お運び頂けませんか」
マリオが丁寧に案内してくれたよ。 ありがとう。 護衛の方も十分に歓待してね。 わざわざ、謝罪に来てくださったのよ。 原因が、我が国の王家だったんだからね! でも、まぁ、グレモリー姫様って、すんごい行動力ってのも判ったし。 そんで、物凄く人懐っこい人柄ってのも判った。
まぁ、この騒動の一番の収穫ね。 周りはろくでもない人達ばっかりだけどね。 さぁ、ちょっと早いけど、お昼ごはん食べよう! ここの厨房の人、すっごく腕いいんだ! 楽しみ~。
ふ、太るかな?
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楽しく、昼餐してね。 其処でもまた、色んなお話聞けたよ。 グレモリー様って、まだ、お姫様登録されてないとか。 だから、国外に出られるとか、ね。 そんで、こんど、王立魔法学院に留学が決まってて、最初は貴族科って事だったらしいけど、ミハエル第二王太子が、居るからって、行政科になったって。 そんで、学生会が全力でバックアップするって。 なんだそれ?
まぁ、見目麗しい女性には、目が無いからね。 あの人。 こりゃエリーゼ様、荒れるな…… 多分、あの人の事だから、べったりになるね。 きっと。 今年まで、エリーゼ様にべったりだったもんね。 うわぁぁ…… 距離とっとこ。 絡まない、決して、絡まないでおこう。 めんどくさいしね。
でもさぁ……なんで、グレモリー様は、私の事をそんなに知ってるのよ。 結構、細かい所まで掴んでるよ? ほら、例の撤退戦で指揮官してたって事もね。 情報早いね。
「あの状況で、よく残られましたわ……まるで男性の王族のよう…… わたくしが、貴女の立場だったら…… と、考えてみて、よくぞ其処まで覚悟をされたと、感服いたしましてよ」
「あの場合は、仕方なかったのです。 指揮官が王太子殿下ですので…… 次席の役割ですもの。 それに、わたくしは、居ただけですわ」
「……居ただけ? ……そう……なの?」
グレモリー様の視線が強くなった。 何かを探る様な視線っていうの? そんな視線。
「ええ、残られた方が、皆、一騎当千の強者でしたので…… わたくしは、居ただけです。 その証拠に、わたくしは叙勲も褒賞もありません」
「……そう……なんですか」
なんか、めっちゃ疑われてるね。 でも、言い切ったよ。 そういう事にしてるんだから、そっとしといてね。 フッと、視線を緩められて…… 愛らしい口元から、言葉が紡がれるのよ…… 心地いい鈴を転がす様な声でね。
「勇猛果敢な、お嬢様だと、そう聞いておりました。 苛烈な、「氷の令嬢」だとも…… やはり、自分の目で見ないと……いけませんね」
だってさ。 一体何を吹き込まれてたんだ? そんな、グレモリー様の言葉に、イヴァン様が突っ込んだ。
「いえいえ、グレモリー様。 クロエは相当な者ですよ。 一緒に、仕事をして貰いたいくらいに。 が、クロエには第二王太子殿下の婚約者という立場が有ります。 我々、黒龍大公家の者として、もう少し、穏やかにして貰いたいのだが…… クロエの性格がそれを許さぬようなのです」
「まぁ! そうですの」
おい! 何を云い出すんだ! 私は、穏やかに暮らすつもりなんだよ。 トラブルが私に寄って来るんだよ! もう!!
「嫌ですわよ、従兄様。 クロエは、至って穏やかに暮らしておりますわ」
「……まぁ、そういう事にしておくか」
頷くなよ……閣下。 リヒター様まで…… わたし、ドンダケ、お転婆なんだ? 降りかかる火の粉は振り払わないと…… ただ、それだけだよ…… やられっぱなしだと、どんどん立場が悪くなるんだよ。 それを避けてるだけだよ…… なんだよ…… ちぇ~~
昼餐が終わって、お茶の時間。 ちょっとリュートを弾いて、楽しんだ。 グレモリー様も陽気に笑ってらしたわね。 様子を伺ったり、色々と引き出そうとしたけど、……あんまり、裏話的な事は聞けなかったね。さすが、高位貴族。 判ってらっしゃる。 こっちの情報は上手く引き出すのにね。 注意しとこう。
アレクサス黒龍大公翁にも、黒龍のお屋敷に帰ったら報告しとく。 手強い人が来たよって。 でもねぇ……目的が今一わからん。 なんで、この時期に留学されるんだ? 龍王国の手の内を観察しに? それは、前々からやってんじゃん。 なにが、目的かなぁ…… アレクサス黒龍大公翁に意見を聴いとこうか。
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そんで、グレモリー様は、大変有意義な時間をお過ごしあそばられて、帰途につかれたの。 初めてみたよ、馬車が空飛ぶの…… でも、グリフォンで人馴れするのって、凄く珍しいから、ミルブールでも十頭いるかいないかだって…… そうだよね。 そんで、その後、ちょっとしてから、ミルブールの大使が普通の馬車に乗ってやって来たよ。
グレモリー様いらっしゃってませんかって。 先触れもすっ飛ばして、滅茶苦茶慌ててさ。 で、今しがたお帰りに成られましたって、答えたのよ、マリオが。 そしたら、なんか、絶望したような顔つきでね…… がっくりと肩を落とされ、モゴモゴ謝罪を述べられていたね。
トップの予期せぬ動きって、下の者が滅茶苦茶苦労するのね。 理解した。 まぁ、頑張れ。 私は与り知らん。 お前等の判断だ。 勝手に困ってろ。 じゃぁの!
踵を返して、お部屋に戻ったのよ。 大使も戻られたみたいね。 あの人、胃に穴開くんじゃないかな? 寿命縮まないといいね。
今年の社交シーズン、どうしようかなぁ…… 暫く、ココに居てもいいかな? なんか、王都シンダイに帰ったら、巻き込まれそうだし…… いいよね。
「クロエ、王都シンダイには、いつ戻りますか?」
奥様が、聞いて来たね。 やっぱり、不穏な気配感じてるんだ。 奥様とソフィア様は、早めに帰った方がいいね。 きっと、白龍大公家から、いろいろお誘い来てるよ。
「エリカーナ奥様。 クロエは、暫くこちらに居ようと思います。 ですが、ウラミル閣下と、奥様、リヒター様と、ソフィア様はお早めに帰られた方が、なにかと宜しいかと」
「……そうね。 色々準備していたのだけど…… いいわ。 クロエは暫くこちらに。 わたくし達は、明日、戻ります」
「はい」
「イヴァンは、残りますよ。 相手をしてあげて。 疲れてるようだから」
「はい、奥様」
いいよ、奥様。 久々に、ホントにゆっくりする。 なんも考えずにね。 翌朝、閣下 ご夫妻と、リヒター様 ご夫妻は、王都シンダイに帰られた。 イヴァン様と二人残ったんだけど、かなり、お疲れだったみたいね、お部屋で、眠っていらしたわ。 私は、いつもの鍛錬を終えて、閣下達を送り出した後、ちょっと、お庭に出てた。
あんまり、人に見せたくない事したかったから。
薔薇園の奥って、視界が遮られて、別荘から見えないのよ。 で、其処でちょっと、魔法を使ったのよ。 うん、ほら、イヴァン様に御守を作ろうと思ってね。 手持ちの魔石をいくつか持ってきて、魔法かけたのよ。 俗に言う、 ” 魔晶石錬成 ” ってやつ。 高純度の魔石を合成して作るの。 ホントは、錬成台って器具使うんだけど、そんなに大きくないし、十分に私の魔力だけで、合成できるわよ。
でね、手持ちの魔石を三つ、四つを合わせて、魔晶石(並)を ” 魔晶石錬成 ”。 それを二つ用意して、特大級の魔方陣展開して、練った魔力を注ぎ込んで、余分な汚れをそぎ落として、んで、 ” 魔晶石錬成 ”。 小さいけど、超高純度の魔晶石が出来た。
でね、もう一回魔方陣を展開。 これは、精霊様の召喚魔方陣。 私と相性のいい、水の精霊様と、火の精霊様。 普通な土の精霊様と、風の精霊様。 四大精霊様を順次召喚。 これはね、今のところ、わたしが見つけた魔力の低減方法を駆使したから出来たの。 両手に二つづつ、魔方陣を展開するから、合計四つの魔方陣の展開。 それも、全く別系列のね…… なんの準備も無しにこんなことしたら、死んじゃうね。 魔力枯渇と、肉体の魔力変換で……
でもね、ちゃんと準備できたから、出来るのよ。 それで、四大精霊様にお願いしたの。 ” 加護を! ” って。 そんで、魔晶石に封じ込め。 まぁ、今の私に出来る、最高の「守護の護り」が完成したわ。 超高純度だから、出来る技よ。 普通の魔石にこんなことしたら、あっという間に蒸発するわね。 で、精霊様を送還して、魔方陣を昇華させて…… ふぅ…… だれも、見て無いよね。
お昼からは、これを護符に埋め込んでたのよ。 年嵩のメイド長さんに、使ってない護符貰ってね。 簡単な護符でね。 木札を削って作ってある奴。 よくある、「護身の護符」。 気休め程度のね。 其処にナイフで穴をあけて、作った精霊様の加護を封じた ” 魔晶石 ” を、埋め込んで、練った魔力で接着、固定。
うん、出来た。 取り敢えず、私の全力。 携帯型の魔方陣無しで発動する、重防御障壁ね。 お願い、イヴァン様を護って。 なんか、嫌な予感するのよ。 婆さまに教えて貰った、精霊様の護符の作り方。 それを四重にしたコレ…… お願いね。
夕食前に、イヴァン様が起きてらした。 寝ぼけ眼だったけど、渡したのよ。 面と向かって渡すの、なんか恥ずかしかったから、ちょうどよかった。 お仕事に行くときに、首から掛けてねって伝えたの。 頷いてらしたわ。 よかった。
でね、その夜。 大事に取ってあった、アルフレッド様からの手紙を読んだのよ。 懐かしい、文字。 私の事を、心配してくれて居るのが、良くわかる文面。 ホントに嬉しかった。
でもね、最後にさ、書いてあったのよ。 心に沁みる言葉がさ。
” ……北の辺境に来る事が有ったら、必ず来て欲しい。 大切な、妹の様に想っているクーちゃんに、紹介したい人がいるんだ。 大切な家族の様に、想っている君に、紹介したい人なんだよ ”
ってさ。 そっかぁ……
そうだよね……
辺境じゃ、もう、結婚して子供いる年だもんね、アルフレッド様。
エミールおじさまも、お喜びだよね。
アルフレッド=バルデス辺境伯爵様……
おめでとうございます。
何でだろう……
うまく、笑えないや……
ブックマーク 感想 評価、 誠に有難うございます。
中の人、とても、とても、感謝しております。
クロエ・・・笑おうよ・・・そこは、笑っとこうよ・・・
仄かな想い・・・ 自覚できていなかった想い・・・
失ってから、初めて ”そうだったんだ” と認識出来る想い
切ないね、クロエ。




