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ヌーヴォー・アヴェニール   作者: 龍槍 椀
泣き言は言わない
34/111

クロエ 色々と固められる




  

【降龍祭】が終わったね。





 まぁ、色々あったけど、それでも、終わった。 今日は、後夜祭。 学院はお休み。 寮の部屋で、休んで居たら、閣下おじさまから、急ぎ逢いたいと、連絡があったのよ。 


 多分、晩餐会の事だろうね。 閣下おじさまの立場、悪くしたかしら? 何時もの、通達みたいな書状での呼び出しじゃなくて、なんと、あの・・マリオが直接、私の寮の部屋まで来たのよ。 ” 口上 ” を携えて…… 


 エル達、メイドズはもう恐慌状態なのよ。 私が、 ” お願いしていた ” 、閣下おじさまへの伝言が、マズかったのかってね。 大丈夫な筈だよ? ちゃんと、私、確認したし……もし、そうなら、全部私の責任だから、……ね。 オトナシク、お説教されに行こう。 マリオにも、世話掛けたね。


 でだ、マリオと一緒に黒龍のお屋敷に向かった。 ちゃんと、馬車でね。 流石は黒龍大公家の執事長! 豪華な馬車だったよ。 昨日の今日だし、今日は、【降龍祭】の後夜祭でお休みだし。 ちょうどいいね! 実にいい、 ” お説教日和 ” だよ! はぁぁぁ…… 


 でもね、私、 ” 悪い事 ” したと、思ってないよ。 あっちが勝手にそう解釈しただけだよ。 だから、胸張って行こう!  無い胸だけど……ぺったんだけど……胸張って行こう!!




――――――




 流石に、ウラミル閣下おじさまの執務室の前に来ると、緊張するね。 マリオはなんか、力づけてくれてる。 執務室に入る前、扉の前で、マリオが口を開いて、私になんか、言って来た。





「……事情は、エルより、御伝言として、御当主様には、伝えております。 幸いな事に、クロエ様の御伝言の方が先に、ご当主様の御耳に入っておりました。……エリカーナ奥様と、ソフィア若奥様は、かなり取り乱して居られます。 クロエ御嬢様のお気遣いが無ければ……大変な事に成っていた事でしょう。 それ程までに、奥様、若奥様の取り乱しようだったと、御嬢様に、お話しておきます。 御当主様、リヒター様が執務室でお待ちです」


「はい……奥様と、ソフィア様は?」





 やっぱりねぇ……あの後の情景が、目に浮かぶよ。奥様と、ソフィア様、大変だったんだろうなぁ……ゴメンね。 無意識でも、仕掛けて来たのはあっち。 それを利用して、あの場所から撤退を企んだのは、私。 巻き込まれたのは、奥様と、ソフィア様…… ホントに、ゴメンね。 沈痛な面持ちで、マリオは堪えてくれた。





「お部屋でお休みして頂いております。 アレクトール医務官が看ておられます」


「……気にする事、無いのにね……」





 ボソリと呟いた私。 突然、私の方に向き直り、珍しく、顔に感情の揺らぎを浮かべたマリオが、怖い目をして、私の目を覗き込んだ。 絞り出すような、低く迫力のある声で、言葉を紡ぎ出す。





「お嬢様! それは、違います。 御当主様、大旦那様だけでは無く、この黒龍大公家の使用人一同も、お嬢様への仕打ちに、憤りを感じております。 どうぞ、どうぞ、そのような事を言わないでください」





 余りにも、真摯な言葉に気圧けおされた。 こんなにも、想われている。 そんな事になってるなんて……思ってなかった。 ……素直にお礼、言っておこう。





「……ありがとう。 気持ち、とっても嬉しいわ。 みんなに、 ” クロエは大丈夫だから ” って伝えて」


「ははっ、御意に」





 胸に拳を当て頭を下げられ、 ” 華麗な騎士の一礼 ” を、捧げられてしまった。 マリオ~、そんなに私を、甘やかすなよ~。 そう言えば、マリオも若い頃、騎士だった様な……そんな話をアンナさんから聞いた様な……だから、騎士の礼なんだ…… まぁ、私も捧げた事あったしねぇ。 んじゃ、行こう。 マリオの言葉で、胸が温かくなった。 お説教も怖くないよ!


 マリオが声掛けして、中から、渋い声の、返事があった。 





「クロエお嬢様、御到着されました」


「うむ、入ってくれ」





 マリオが、扉を開けてくれた。 執務机に着席している、ウラミル閣下おじさまと、その横に立つリヒター様。 険しい顔をされている。 やっぱり、お説教だね。 覚悟を決めて、前に出る。





「クロエ、お呼びにより、参じました。 ……昨日は、黒龍大公家の面目を潰しまして、誠に申し訳ございませんでした」





 謝っとこ! 最初に出鼻を挫いとく。 どや!





「クロエ。 また、そのように……  私はね。 怒っているんだよ」


「はい、誠に申し訳なく……」


「違う。 違うよ、クロエ。 事情と、状況は、エリカーナから聴いている。 私が怒っているのは、私の家族を粗略に扱った、王家にだよ。 それに、君の心尽くしを無駄にした、王妃……それに、あの第二王子…… もうね、どうしてやろうかと」


「父上……」




 リヒター様が、沈痛な面持ちのまま、ウラミル閣下おじさまへ、言葉を紡いだの。 怒りに黒いモノを駄々洩れにしている ウラミル閣下おじさま。 その声に、ちょっと、冷静になられたかな、ちょびっとだけ、駄々洩れ感が収まったの。




「うん、判っている。 あの場を抑える為に、敢えて泥を被ったクロエの気遣いが無駄になる。 ……ヴィヴィ妃殿下より、書状と贈り物を預かっている。 済まなかったと。 伝えて欲しいと。 ……なぜ、クロエばかりがこのような事に……」





 静かな口調だけど、めっちゃ怒ってる。 怒りの感情を辛うじて、押さえているって感じ。 リヒター様と、相当長く、話し合われたんだろうね。 二人とも、目が真っ赤で、クマまで出来てるよ。 あぁ……エリカーナ奥様と、ソフィア様の、フォローも有ったんだねぇ……ゴメンよ……





「あの……奥様と、若奥様は?」





 渋い表情のまま、閣下おじさまは、答えてくれた。





「ちょっと、……いや、かなり取り乱している。 クロエに会わす顔が無いとね。 アレクトールに沈静のポーションを貰って、眠っている。 今は、そっとしてやって欲しい」


「はい……お伝え頂きたい事が。」


「うむ」


「クロエは大丈夫です、と。 閣下おじさまと、リヒター様には、お知らせいたしますが、わたくしは、ミハエル第二王子の事は、何とも思っていません」


「ん?」


「例えるなら、いつも見ている、壁の折柄の一つくらいにしか……」


「そうか……婚約の件は、済まなかった。 どうしても食い止められなかった」


「いいのです。 御役目の一つと、思っておりますので」


「そうか……」


「では、わたくしは、学院に戻ります。 長居しますと、また、要らぬ憶測を生みます。 それと、学院で、誰かに、なんでお屋敷に帰ったのか聞かれたら、” お説教されました ”と、そう言います。 ゴメンなさい。 お気遣いと、御心は、誠に有難く存じます。 しかし、奥様と、ソフィア様を、要らぬ、” 邪推 ” から護る為です」





 今日、一番の渋い顔をした閣下おじさま。 リヒター様の鉄面皮も、苦い表情になる。 でもね、それしかないのよ。 噂って一旦広がると、野火みたいに広がって、何もかも焼き尽くすのよ。 後に残るのは、黒焦げと灰。 そんな中に、奥様と、ソフィア様を入れたくないもの。 





「では、ごきげんよう」





 真摯な表情のまま、頭を下げる。 後は退出するだけ。





「クロエ! 学院で何かあれば、すぐに連絡をくれ。 なんでもする!」





 リヒター様の悲痛ともいえる声。 頭を上げ、ニッコリと微笑む。





「クロエは、大丈夫です!」






 *************






 学院の寮の部屋に戻って、頂いたお手紙と、贈り物を、みんなで開けてみたんだよ。 先ずは贈り物。 何となく予感はしてた。 そうだね。 やっぱりね。 ピッパが入ってた。 でも、これ、南アフィカン王国の王族の持ち物よ? いいのかなぁ…… まぁ、あの・・「伝説の楽器製作者」が作った、リュートもあるしねぇ…… いいか! 貰っちゃおう。 



 エルが、珍し気に見てる。 いいよ、後で弾いたげるね!



 でだ、お手紙。 二枚入ってた。 一枚は、【詫び状】だね。 ヴィヴィ様もう帰らなくちゃならないから、手紙でゴメンって。 本当だったら会って、お詫び言いたかったって。 龍王国に来て、黒龍のお屋敷での夜会が一番楽しかったって。 もし困った事が有ったら、アフィカンの宮殿に来いって。 逃げてこいって…… 晩餐会で弾いたあの最後の曲。 胸に響いたって。 




 よかった。




 で、何やら意味深な言葉もあるよね。 ” やはり、旦那様の目に狂いは無い。 旦那様のお気持ちが、クロエにある事は知っている。 これからは、正々堂々、クロエに負けぬように、旦那様に尽くし、お気持ちを捥ぎ取る。 負けぬ ” って。 だ~か~ら~、違うって!!!



 で、もう一枚



 こっちは、精霊誓紙。 い、嫌な予感。





 ⦅我。ヴィヴィ=ヌクイヌス。 南アフィカン王国の副王が妻にして、ゲーテン族 第一族領姫 そして、【焔龍が愛し子】 天と地の精霊に誓約す。龍王国 民 クロエ=カタリナ=セシル=シュバルツハント に誓約する。 その身、危機に陥る時、我、参じ、一命を賭し護り抜かん。 我が生涯を掛ける誓約なり⦆





 な、なに? こ、これ? 【焔龍が愛し子】? って、貴女も龍印持ちなんですかぁ~~? そ、そしたら、あの、サークレットのルビーって、宝玉? ……な、なんてこった! え、偉い事に成ってしまった!! なんかあっても、南アフィカン王国の宮殿には近寄らないでおこう……天龍様と焔龍様がかち合ったら……龍戦争起こしそう…… ヤッベなぁ~~~~、おい!


 皆に見られない内に、そっとしまって置こう。 アリの誓紙と同じ所に置いて置こう…… 隠しておかないと、えらい事になるな。 うん、間違いなく! でも、ヴィヴィ妃殿下、私が【天龍の愛し子】って………… 知らんのかなぁ…………  知ってたら、精霊誓約なんて、結ばんだろうから………… 知らんのだろうなぁ……


 色々と誤魔化す為に、ピッパを、その日は、ずっと弾いてた。 何かを察したのか、ニッコニコ顔の、ビジュリーが来た。 そんで、私が貰ったリュートを取り、一緒に合奏したりして、楽しんだ。 エル、ラージェ、ミーナ、良く聴いておくんだよ。 ビジュリーのリュートは、他では絶対に聞けない、絶品の音を出すんだからね!






 *************






 もうすぐ、卒業式だねぇ…… 私の進路も決まったし、のんびりできるねぇ……




 と、其処に、珍しく マリーから呼び出しがあった。 まぁ、ご招待状なんだよね。 お部屋に来てくれませんかって。 ホントに珍しい。 いつも、中庭でお茶してるんだけど、そん時は、そんな素振りなかったよ? なんか、ちょっと悩んでたみたいだったけどね。


 早速、行く。 なにも、考えて無いよ。 だって、マリーだよ? とっても、いい子だよ? なんか企むってタイプじゃないよ? まぁ、企まれても、乗るけどさぁ……


 先触れ出して、時間見計らって、突撃だぁ~~~。





―――――――





「ようこそ、クロエ様!」


「お招き、ありがとうございます、マリー様!」





 両手を取って、ニッコリ。 そんで、なんでか、涙を浮かべている。 どうした! 誰かに、” いじめられた ” のか!  そんな奴が居たら、私の鉄扇で殴り飛ばす! 誰っ!





「クロエ様、【降龍祭】の晩餐会で、大変な目に合われたとか」





 え、私? 私の事? じゃぁ鉄扇で、自分を殴っとくよ。





「ええ、まぁ……」


「噂話は、色々とありますが、わたくしは何が起こったか、知っております」


「えっ?」


「父が、あの場に居たものですから。 細大漏らさず、お聞きしました。 悪いのは、ミハエル殿下と、王妃様です!」





 ……って誰? 父って? 





「丁度、エリカーナ奥様の横に成ったと。 クロエ様のお姿が、王家のテーブルの端にあったと。 ミハエル殿下は、クロエ様のエスコートもせず、ヴィヴィ妃殿下のエスコートをして、国王陛下の御隣に座られたと。 クロエ様の席が、父の居る場所から見えない位、端に寄せられたと。 国王様の命で、異国の楽器を演奏され、大変美しい調べを奏でられたと。 ミハエル殿下が、ヴィヴィ妃殿下に、” 何か ” を、言上され、ヴィヴィ妃殿下が、お怒りに成ったと。 それを、王妃様がクロエ様の演奏のせいにしたと。 何もかも、聞きましてございます! もし、わたくしが、クロエ様のお立場なら、その場に泣き伏していた事でしょう!」





 い、いやいやいや……あ、あの、偉そうなおっさん、マリーのお父さん? っつうことは……



  アルスウイル=コーネリアス=アズラクセルペンネ青龍大公閣下!



 うはっ! あんな人だったんだ! なんか、見た事あるかもとか、思ってたんだ! マリーに似てたんだ!!





「常々、クロエ様には、良くして貰っていると、お手紙をしたためておりました。 また、夏季休暇で青龍の屋敷に戻りました折りも、いつも、クロエ様のお話をしておりましたので、父も一度会ってみたいと、仰っておいででした。 それなのに……」





 なんか、聞いてる方が、こっぱずかしくなるね。 私、そんな、大した事してないよ?  マリーの方から友達になってくれたじゃん。 とっても、嬉しかったんだよ? 大事な友達じゃん。 





「まぁまぁ、 マリー様。 わたくし、気になどしておりませんし、噂話も、一時の物。 時間が経てば、皆、忘れますゆえ、お気にされる事はございませんわ。 それよりも、マリー様には、笑顔で居て貰らった方が、クロエは嬉しゅうございます。」





 女の人が泣くのは苦手。 ホントに苦手。 だから、笑ってよ。 お願い!





「クロエ様……はい」





 涙をその瞳に満たしながらも、一生懸命に、ニッコリと微笑むマリーの笑顔は、大輪の百合の花の様。 気高く、美しく、優しく。 この笑顔を貰えるのは、大変嬉しい。なんだって、して上げようって気になるよ。 ずっと、両手を握り合って部屋の入口付近で立って喋ってた事に気が付いた、マリーは、顔を真っ赤にして、ベランダに誘ってくれた。


 へぇ……ベランダあるんだ。 いいね、ココ。





「大公家の家格で入れるお部屋には、必ずついております。でも……クロエ様は、入学手続きが、規定通り、一年前から始められたので……」





 ほう! それは知らなんだ。 そんで、そんな事まで、情報出回ってるんだ。 へぇ~ マリオがさんざん頑張って、公爵家の入れる部屋を、捥ぎ取ってくれたんだっけ。 まぁ、無いよりはいいよ、今の部屋。 快適だし。 私には、広すぎるくらいだしね。 でも、ベランダは羨ましいかな。 すんごく、良いもんね。 そう言えば、黒龍のお屋敷では、広いバルコニー、使わしてもらってたね。有難かった。


 秋口の風って、なんか優しいよね。 お茶も美味しいし。 





「あの……クロエ様?」


「何でしょう?」


「一つ、お願いが御座いますの」


「何なりと」





 モジモジしながら、なかなか口に出さない。 なんだ? そんなに言い難い事か? 待ってたら、意を決したような顔をして、彼女は口を開いたんだ。





「あの、……わたくし、貴族科に進みますの」


「ええ」





 おお、マリーは最初から貴族科か。 そうだよね。 普通のお嬢様はそうだよね。 私とか、メイドズはホントに特殊なんだよね。 うんうん。 それで?





「貴族科には、一つ大切なルールが御座いますの。 貴族科の生徒は、必ずどこかの【サロン】に、属すか、自分の【サロン】を持つ事に成っておりますの。 わたくし……いままで、何処の【サロン】にも、属しておりませんし、自分の【サロン】も持っておりませんでした。 しゃ・・社交が苦手なのです」





 うん、知ってた。 だから、中庭の御茶会の常連なんだよね。 な~~~んの制約も無いあそこだから、マリーは、マリーらしく出来たんだよね。 うんうん、判るよ。





「……お、お願いと云うのは……」





 お茶を飲みながら、訥々と赤くなりながら、言葉を口にするマリーを眺めるだけで、なんか、暖かい気持ちになるねぇ~~





「わたくし、決心いたしましたの。 自分の【サロン】を作ると。 最初の登録の五名の中に、クロエ様、入って頂きたいの!」





 ぶほっ、む、むせた! な、なんですと?





「ご、ごめんなさい。 不躾なお願いですわよね。 クロエ様の【サロン】嫌いは、知っておりますもの…… で、でも、お願い! 助けると思って!!」





 その後の話から、どうやらマリー、かなり追い詰められてたみたい。 貴族科でやってくには、そのルールは絶対で、もし、二年生が始まった時に、入ってなかったら、どこかに自動的に組み入れられてしまうらしい。 最有力なサロンは、あの・・エリーゼ白龍大公令嬢様の、” 至高の部屋 ” とやらに、合流させられそうなんだと。 凄く嫌がってる。 そうだよね、行ったら、私の悪口ばっかりだもんね。


 で、聞いてみたら、明日が二年に進級する前に【サロン】を設置できる最終日なんだと。 はぁ……退路、断って来たよ、マリー。 でも、他の三人は、どうすんのさ。





「ビジュリー様、マーガレット様、アスカーナ様達にお願いいたしました。 ただし、条件が有ると」


「もしかして……?」


「 ” クロエ様が一緒に【サロン】の最初の五人になる事 ” ですわ。 本当に、本当に、ごめんなさい。 でも、お願いします」





 あいつら…………



 巻き込みやがった!!!




 し、仕方ない。 マリーの為だもの。 仕方ないよね。 でも、私、めちゃめちゃ忙しくなるよ? いいのか? そこん所聞いてみた。





「構いません。たんにルールに則るだけです。 費用は……父にお願いしました。 快く、承諾して頂きました。 手筈も整えております。 だから、……時々でいいので、「大公家のお茶席」に来ていただくだけ……ですわ」





「大公家のお茶席」? あ? それって、エル達が時々言ってた、中庭のお茶会の事? マジ? そんな名前付けて……大丈夫かよ……





「判りました。 本当に何もできませんが、時々、時間を作ってお伺いいたしますわ」


「あ、ありがとう!!! では、申請書持ってきます。 五、六か所、御名前を自筆で書いて貰わねばならない処が御座いますの!!!」


「あ、あの、他の方は?」


「もう、貰っております。 偽造したり、別の方の名前を書いたら、その場で失効すると、精霊誓約もしておりましたし、本当に嬉しい!!!」





 はぁぁぁぁ………… あいつら………… 保険まで掛けてやがったんだ。 マリーの嬉しそうな顔を見て、諦めた。 うん、マリーなら、そんな無茶しないだろうし。 判った。 時々、お茶しに行くよ…… ちょっと、複雑な気分……







      また、何かに、巻き込まれた気がする……











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本当に励みになります。 


本当に、本当に、有難うございます!!!

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