キャラの書き分け
なろうで人気のジャンルに、ハーレムものがあります。
いろんなタイプの女の子と仲良くなったり、モテたりして現実ではなかなか味わえない幸せを小説で味わうものですね。
作者さんとしては、色んなタイプの女の子を書いた、……つもりだったけど、感想欄に「みんな同じに感じる」とか、「キャラの区別がつかない」とか書かれてあった、なんてこともあるかもしれません。
ハーレムに限らず、キャラが全員似たり寄ったりになってしまう、もしくは、読者さんに「みんな同じ」と思われる原因はなにかと言うと、キャラの「『格』がみんな一緒」ということにあると思います。
では、この「格」というのはなにか、と言いますと、私個人が勝手に使っているだけの名前やシステム的なもので、「小説の書き方」などに存在するものではありません。あくまでも、個人で判別するときに使っている、目印や色分けくらいのものです。
まず、この「格」ですが「格上」「同格」「格下」と三種類があります。
「格上」は主人公にとって、圧倒的な存在、逆らえない存在、憧れの人など、イメージ的には主人公が見上げる存在です。
次に「同格」は、主人公にとって「自分と同じ立場の人」「近しい人」「親しみやすい存在」などで、主人公と同じ目線の存在です。
「格下」は、主人公にとって「見下すべき相手」「軽蔑の対象」など下に見るとき、また、「守るべき存在」「いつも自分がかばっている子」など、保護の対象などがそうです。
こう説明すると、主人公より身分が高いキャラは主人公より「格上」、主人公の妹は「格下」と判断されてしまいそうですが、身分や年齢などはあくまでもオプション的なもので、ここで私が言う「格」とは別物です。
あくまでも主人公にとって「自分が圧倒される存在か、否か」「自分が面倒を見ないといけない存在か、否か」などが判別の材料となります。
例えば、主人公が高校生で、その妹が小学生としましょう。
こういう設定にすると、小学生なら高校生である主人公に可愛がられたり、時に守られたりするから「格下」だろうと思われるでしょう。今言ったようなキャラなら、その妹は「格下」です。
しかし、仮に妹が共働きの両親に代わって家の仕事を全部こなしていて主人公は妹に頭が上がらないとか、主人公は妹に口喧嘩で一回も勝てたことはないとか、兄のくせに「妹に怒られたらどうしよう」などとビビっているシーンがあるなら、年齢関係なしに、その妹は主人公から見て「格上」キャラとなります。
逆に年上でも、主人公がため口で普通に会話をしたり、気負いなく接したりすることができるキャラなら「同格」となります。
今の説明を具体的に当てはめていくと……。
格上 → 主人公が憧れている知的で優しい大人のお姉さん、主人公をやり込める小生意気な年下の女の子、気が強くて主人公を簡単に黙らせられる子、など。
同格 → 幼馴染や親友など、主人公にとって話しやすかったり、親しみやすかったりする子。ヒロインはたいていここか「格下」。
格下 → 主人公が面倒を見たり、守ったり、かばったりする子。主人公に甘えていて自立できていない子など。また、主人公が見下しいる存在、軽蔑してる存在など。
ハーレム小説の失敗はたいてい、髪の長さや色、服装、胸の大きさなどで区別したつもりになっているだけで、読んでみれば、キャラ全員が主人公に対して似たり寄ったりの反応をしているとか、主人公がどの女の子にも同じように対応している場合があります。
キャラに応じて振り回されたり、他愛のない話をしたり、叱ったり、と変化を付けるといいと思います。
他にも。
仮に主人公が異世界転生して、どこかの奴隷市場で奴隷として売られてしまったという話があったとしましょう(これはオリジナルの話のつもりですが、似たような話、もしくは全く同じ話がすでにあったら、すみません)。
こういう場合、主人公が奴隷という時点で、主人公より身分が上のキャラだらけなります。それなら、登場人物の大半が「格上」かと言うと、違います。
例え、主人公より身分が高いキャラであっても、主人公に「僕に生意気な口をきいたらパパに言いつけるぞ!」とビクビク震えながら捨て台詞を吐くヘタレなお坊ちゃまで、主人公が内心見下していた場合、そのキャラは身分に関係なく「格下」になります。
また、大金持ちのお嬢様であっても、主人公の身分を気にせず、主人公に気さくに接して、主人公自身も友人に対するような態度なら、そのキャラは「同格」となりますし、主人公以上に汚い身なりで惨めな役であっても、主人公が心から信頼し、頼りにし、師匠のように崇めていればそのキャラは「格上」となります。
要は、主人公から見て相手の存在をどのように感じているか、が重要だということです。
主人公が自分の周囲の人間全員見下しているとか、主人公の周りのキャラ全員が「主人公大好き、主人公最高!」な反応をする小説は、キャラの個性が立っていなかったり、バランスが悪く見えたりします。
主人公が、ある女の子には言い負かされ、ある女の子に対しては強気、ある女の子には同性の親友のように気軽に話す、など、接し方や捉え方を変えていくといいでしょう。
主人公が誰に対しても態度を変えずに常に同じ反応、というのはどこか薄っぺらさも感じます。ほんの少し話し方や態度を変えるだけで、ぐんと生身の人間っぽさや、リアルな人間臭さが出てくると思います。
なので、キャラを設定したら、どのキャラが主人公から見て、どの「格」に存在するかを当てはめてみて、偏っていると思ったら「格」を分散させましょう。その方が、「全部同じキャラ」と思われなくなると思います。
また、「格」はなるべく変動させないか、変動させるなら一回だけにしておきましょう。
仮に、主人公の親友(同格)と思っていたキャラが実は主人公を脅かす魔王の部下(格上)で、すったもんだの挙句主人公が魔王も元親友も倒して、元親友が主人公の奴隷(格下)と、キャラの格をコロコロ変えてしまうと、読者さんには、「元親友というキャラを都合よく使っているように見える」「ご都合主義っぽい」と思われるかもしれません。
このキャラの格はこれ、と決めたらなるべく動かさないようにしましょう。「意外な展開」、「そのキャラの意外な正体」もやりすぎると安っぽい演出に見える恐れがありますので。




