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留守番したら異世界でした。  作者: 上城樹
第一章 異世界と私
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7.なんだかんだで2週間。

 お父さん お母さんへ

 

 もうとっくに東京から帰ってきいますよね。


 私は今、異世界にいます。嘘じゃないです。しかも、我が家の敷地内全部まとめて異世界きてます。


 そちらにちゃんと家はありますか? 


 きっと、ご都合主義的な力が働いて何とかなっていると思いますが、もし家が消滅してたらごめんなさい。

 私の存在もご都合主義的な力で、いい感じにぼかして誘拐や失踪騒ぎになっていないといいな……と思っていますが、問題があっても私には、どうもできないので諦めてください。あと私に責任はないので怒らないでください。

 諸悪の根源は他にいます。


 ここでの生活もかれこれ2週間経ちました。

 異世界での生活は案外快適です。ネット関連は駄目でしたが何故か電気ガス水道は使えます。お金を気にしないでお風呂入り放題です。

 家にある食糧は午前0時になると全部元通りになっています。食べ放題です。

 荒れていた庭も立派な畑に進化しました。四季折々の野菜と果物が同時に実っている不思議畑です。この畑も午前0時になると全部元通りになります。食べ放題です。


 外はジャングルでバスケットボールサイズの肉食昆虫(兎を召し上がっている所を見ましたグロかったので二度と見たくない。あとカナブンに似てた)が飛んでいたりして危険ですが、敷地内を囲むように透明なドーム型の結界に覆われているので安全です。

 この間のんびり畑でトマトを収穫していた私めがけて飛んで来ようとした肉食昆虫が見事に結界に阻まれ弾き飛ばされていました。その際、反動が強かったのか昆虫の足が1本取れました。その取れた足を自転車サイズの空飛ぶ巨大生物(おそらく脊椎動物亜門哺乳綱コウモリ目付属)が咥えていきました。


 一瞬の出来事で茫然としてしまいましたが、私はこの時、決意しました。敷地外には絶対に出ないと。


 とにかく、とっても防御力バッチリ結界なので、外に出て散歩や冒険をしようとしなければ安全です。 


 お父さん。日頃から野菜を作りたいと言っていましたね。定年したらココで畑仕事どうですか。


 お母さん。老後は緑に囲まれて過ごしたいと言っていましたね。ココ周囲緑だらけです。むしろ緑しかありません。理想的な環境ではないですか。


 1人は寂しいのでも、2人もトリップして此方に来てくれたら嬉しいです。


 テレビアニメやネットが見えないのは残念ですが、だらだらとそれなりに生きているので心配しないでください。


 もし、そちらに帰れた時は東京バ〇ナ新しく買ってね。


                                     紗希より






 手紙風に近況をメールに纏めてみた。

 2階のベランダから腕をめいっぱい伸ばし、スマートフォンを青空に向かって掲げる。


「世界を超えて届けー」


 送信ボタンを押しメールを送るも、表示されるのはエラー画面。


「ですよねー」


 スマートフォンを握りしめたまま、がっくりと項垂れる。


「……人に会いたいなぁ」


 そして、お話したい。

 異世界生活始めて2週間、生活に不自由はないですが、人間が恋しいです。

お読みくださりありがとうございます。

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