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留守番したら異世界でした。  作者: 上城樹
第一章 異世界と私
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6.必殺、明日から頑張ります。

 自転車の傍らに腰を落としスプレー缶を構え、油を吹きかける。吹きかけて、吹きかけて、吹きかけ続ける。


 現在只今、焦っても仕方がないと開き直り当初の任務(自転車の油さし)を遂行しています。

 1つの事に集中すると余計な事を考えなくて済むので、ちょっとした現実逃避も兼ねてます。


 プシューっと気の抜ける音がしばし響く。

 吹きかけすぎて、したたり落ちた油で自転車周辺の地面はベタベタになってきたところで止めた。

 スプレー缶を地面に置き、固まった筋肉をほぐすため体を大きく伸ばす。


 我が家は住宅地の奥まった所に建っていたので、駐車場から道路へ繋がる部分以外、板塀フェンスが敷地をぐるっと囲っている。

 

 唯一の出入り口、敷地とジャングルの境目ギリギリまで近づきしゃがみこむ。

 境目の向こう側に、そろそろと右腕を伸ばし手のひらで地面に触れてみた。落ち葉が積もってふかふかな感触だ。


 ぽんぽんと地面を叩きその感触を楽しでから、近くに落ちていた長さ80センチぐらいの枝を拾ってみた。

 ずっしりした重量感。

 両手で握り素振りをしてみる。ブンッといい音がした。


 なかなか良い鈍器を手に入れた。もし何かあったら最悪これで応戦しよう。


 右手に枝、左手にスプレー缶を持ち玄関へ向かう。


 あぁ、そういえば新展開が一つ。アプローチ中心部辺りに〝そと きけん ここ あんぜん〟と新しい文字が、小石で書かれていた。


 〝ごめんなさい〟を書いた人と同一人物の仕業だと思われる。さらに〝ごめんなさい〟の謝罪文字から、私がこんなことになっている原因でもありそうだ。

 どのような人物がコレを書いたのか……是非ともお顔を拝見させて頂きたい。そして、その後一発拳で殴らせて。


 書かれていた〝そと きけん ここ あんぜん〟の文字をそのまま解釈して良いのであれば〝そと〟は敷地外を〝ここ〟は敷地内をさし、〝きけん〟は〝貴顕〟とか〝棄権〟ではなく〝危険〟〝あんぜん〟は〝暗然〟とか〝晏然〟でがなく〝安全〟だと推測される。

 外の危険がどの程度のものか不明だが、敷地外にさえ出なければ私の安全は保障されているとなる……はずである。


 どこのどなたか存じ上げませんが、信じますよ。ココが安全だって前提で考えるからね。もし何かあったら末代まで呪うんでよろしくお願いします。


 綺麗な夕焼け色に染まった空に向かって念を飛ばす。


 さて、考えなければならないことは山のようにある……が、もう今日は疲れたのでご飯食べて寝るとしよう。

 色々なことがありすぎて、私の容量はパンク寸前です。


 そんな適当で大丈夫かって?

 大丈夫真剣に考えるよ……明日から。

お読みくださりありがとうございます。

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