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留守番したら異世界でした。  作者: 上城樹
第一章 異世界と私
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3.ゲームに集中すると些細な事には気が付かないよね。

 ちょっと薄汚れた外壁の我が家に無事帰宅。

  我が家は4年前から年に1度「築14年だしそろそろ外壁塗装修復しないとアウトじゃないの?」「いやまだ大丈夫だもう6年はいけるはずだ!」「でも、本当なら10年で外壁塗装は塗り直すってお隣さんが……」「我が家はまだ耐えられるはずだ!」「……大丈夫かしら」「とりあえず1年様子見でいいじゃん」「「それもそうだ(ね)な」」という会話を両親と繰り返している。

 ちなみについ数日前にこの話をしたのでしばらくは話題に出てこない予定だ。


「ただいまぁ」

 

 薄暗い玄関の前で家の鍵取り出す。

 ポーチライトつけたままにしておけばよかったなと思いながら鍵を開けた。

 室内に入ると手当たり次第に電気をつけ、1階から2階まで全てのクローゼットの中と勝手口や窓の戸締りができているかの確認を2回する。

 どんな時も1人で家に居る時は必ず2回確認する。

 別に小学生の時に見せられたクローゼットからゾンビが出てくるホラー映画がトラウマで、何もいないことを確認するまで安心できないなんて理由ではなく。ただ、性格が慎重なだけである。

 

「異常なしっと」


 階段を駆け下りて台所へ移動する。

 きちんと食事をするようにと今朝忠告されたばかりだけど、ゲームしたい……ごめんなさい。明日からちゃんと作って食べるから許してね。と現在東京にて可愛い孫と戯れているであろう母に脳内で謝っておく。

 冷蔵庫に入っていた先日もらった乳製品の試供品、昔懐かし瓶牛乳を1本とスーパーの袋からつい数十分前に買った一袋6個入りの黒糖パン(やさしい甘さが最高)を机の上に置き、テレビとゲーム機を接続。

 我が家のテレビは液晶テレビでサイズは50インチなかなかの大画面である。

 大画面で徹夜ゲームという最高の贅沢を味わえる私は幸せ者です。

 押入れから座椅子を取り出しそこに腰を下ろす。余談であるが我が家のテレビはリビングではなく座敷に設置されている。理由は単純で父が畳でないと落ち着けないと言ったから。

 予約していた最新作ゲームソフトをセットして電源をオン。

 座椅子の上で胡坐をかき、黒糖パンを食べながら待ちに待ったゲームのオープニングを鑑賞する。

 

「うはー、オープニング最高っ」


 牛乳を飲み手に残っていた黒糖パンを急いで食べて、コントローラーを握る。

 ちらりと、壁掛け時計の時刻を確認すると19時32分。


 寝ないで頑張れば明日中にエンディング見れるかな。





 


「おまっ、ここでう#&%&っ」


 不覚です。まさかの事態に舌が回らず意味不明の言葉を発してしまった。

 予想だにしていなかった事態……いや少しは、その可能性を考えなかった訳ではないのだけれど……。正直認めたくない。時を蒔き戻したい。こんな事実知りたくなかった。


 何がって?

 それはですね…………。 


 行く先々で意味深な発言を連発し、そのうち仲間になるのかと思っていたツンデレ電波系美青年キャラが、実は敵キャラだったことですよ。

 仲間になったら絶対パーティーに入れようと考えていたのに酷い裏切り。

 ショックのあまり眩暈がグラグラと……あ、ちがう。これ眩暈じゃなくて本当に地面が揺れてる。


「おぉっ」


 素早くボタンを押してプレイ中だったゲームを一時停止ポーズさせた。幸い揺れはすぐに収まったが、余震という可能性も考えて身構えたまま少し待機。

 ……揺れない。もう大丈夫みたいだ。


「震度3くらいだったかな」


 少し小腹が空いてきたので、袋の中から黒糖パンを取り出し食べる。 

 カチカチと秒針を刻み続ける……時刻は0時05分。

 テレビ画面には叫ぶツンデレ電波系美青年のアップ顔と「ここで滅べっ!」と力強く書かれた吹き出しが表示されたまま一時停止している。


 仲間になると思ったんだけどな……。


 ………………そうだ、お風呂に行こう。

 ツンデレ電波系美青年キャラが敵だったという悲しみをシャワーで洗い流し気持ち的にサッパリしてから続きをプレイしよう。それがいい。そうしよう。


 この時外の世界が劇的に変化しているとは知らず、私はのんびりとお風呂に浸かっていました。

お読みくださりありがとうございます。

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