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留守番したら異世界でした。  作者: 上城樹
第二章 リガルの砦と私
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34.まさかのリア充。

 現在、残った人全員がソファーでまったりくつろいでいる。

 部屋の主であるギルおじ様――言いにくい。普段は団長呼びでいこう――団長不在の執務室で……。


 ここ、この砦で一番偉いと思われる団長の執務室だよね。場所移動しなくていいんですか。


 そしてフォルスは、まず机の上に足を乗せるの止よう。話はそれからだ。

 汚い、せめて靴を脱げ。


 ちょうど私の正面にフォルスの足があったので、机の上から叩き落としてあげた。


「行儀悪いです」

「おっと、わりぃ。つい癖で」


 へらりと笑って謝罪された。嫌な癖をお持ちで。


「その癖直した方がいいですよ。女性に嫌われたくなければ」


 余計なお世話かもしれないが、一応忠告しておく。

 食べ物をおく机の上に足を乗せる人が好きな女性は、希少でしょう。


「……あっ、うん。そうだな、そうだよな」


 私の言葉に、ビシッと音を立て石像のように固まった後、項垂れ同意するフォルス。

 あれ、地雷踏みました? 傷口に塩塗り込んだ感じ? これ原因で振られちゃったりしたことあったり。


「ひょっとして、机に足のせて女性に嫌われるの実体験済みですか」

「…………」


 ごめんなさい。謝るのでキノコ生えそうなじめじめオーラやめてください。

 成人男性が捨てられた子犬のような目しないでください。

 大丈夫、その癖直したらモテますよ多分……他に悪癖がなければ。


「で、これからどうします隊長」


 じめじめオーラをまき散らす落ち込みモードのフォルスを横目にツルリとした後頭部を撫でながら、筋肉が尋ね、あっ、違った。ゴンザレスがアルベルトに尋ねた。


「うん? ご飯食べに行くけど」

「いえ、そういうんじゃなくて……今後のサキ殿の護衛に関してですよ」


 斜め上にずれた返答をするアルベルトに、ゴンザレスは眉間に皺を寄せ溜め息を吐く。


「私が護衛するけど」

「隊長がずっとサキ殿に張り付いて護衛するわけにもいかないでしょう」

「問題ないよ。書類仕事はロウゼル殿が引き受けてくれる。それに基本は私が護衛するけどフォルスにも手伝ってもらうし、ゴンザレスにも君の奥方にも手伝ってもらおうと思って、昨日のうちに相談して本人に了解はもらっているからよろしくね」

「……リーリエが了承しているのであれば、問題ありません」

「俺もー。書類仕事減るなら大歓迎だぜ。団長が心配性でお嬢ちゃんを1人にするの嫌がって俺らに個人的に護衛お願いしたってことになってんだよな。……あの団長が溺愛とか……くっ」

「失礼ですよ。フォルス隊長」


 落ち込みモード終わったフォルスが肩を震わせて笑っている。

 気持ちの切り替えが早いね。

 私一度落ち込むと最短でも1週間凹み続けるから羨ましいな。


 いや、そんなことよりも重要なことが……。



 ――ご、ゴンザレスが喋ったー。



 心の中に稲妻が走るほどの衝撃である。


 今まで一言も話さなかったじゃないか、名前だってゴンザレスではなく団長からの紹介だったし、てっきり首振りと表情で意思の疎通をする無口キャラだと思っていたのに。普通に話せるとか……しかもさりげなく既婚者。

 リア充か。羨ましい。


 裏切られた感満載だよ。


お読みくださりありがとうございます。

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