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留守番したら異世界でした。  作者: 上城樹
第一章 異世界と私
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23.ファイヤー。

 アルベルトを見送り、家の中へ戻る。

 玄関の鍵を閉めため息を吐く。


 リガルの砦か、直射日光は痛いからなるべく外に出たくないんだけどなぁ。いっくんも行ったほうがいいって言ってるし準備するか。


 手持ちの中で大きいサイズの斜め掛けショルダーバックにお菓子、携帯食料、ミネラルウォータを詰め込み、さらに衣服とタオル2枚をくるくる丸めて入れ、サイドポケットに携帯充電機と胃腸薬をしまう。

 パンパンに膨れたショルダーバックを玄関ホール脇に置きお出かけ準備完了だ。


「さて、ゲームゲーム」


 押入れの下にしまっておいたをゲーム機を取り出しテレビと接続する。


 アルベルトが居る間は説明が面倒だし、間違いがあって壊されたりセーブデータ消されたりしたら嫌だったから隠してたんだよね。

 此方の世界に来てからゲーム三昧だがエンディングを見た後、2週目でサブエピソード、ミニゲーム、武器集めなどをして遊んでいるおかげで、未プレイのソフトはまだ6本残ってはいるが、もう新しいソフトを2度と購入することができない私は、あの時もっと散財して買えばよかったと絶賛後悔中である。

 こんなことになるなら我慢しないで最新ゲーム機も買ってしまえばよかった。欲しいソフトが出た時に一緒に購入しようとか考えていた自分を殴りたい。


 


「うわぁぁ、また死んだっ」


 コントローラーを放り投げ背中から畳に倒れる。

 かれこれ11戦0勝11連敗中。

 この隠しボス強すぎやしないかい全体攻撃連発してくるし回復間に合わないよ。

 元々私は攻略本頼りにゲームクリアするタイプなのだ、攻略本もない攻略サイトも見れないなんて……地獄だちくしょう!


 気を取り直してもう一戦だ。

 腹筋に力を入れて起き上がり、転がっているコントローラーを拾ったところで。


 ギュオォオオォォ


 ギャオオオォォ


 怪獣映画などでよく聞く鳴き声が響いた。


 何の鳴き声ですか。そっと障子少しだけ開けて外を覗いて目を見開く。

 時刻は20時過ぎとっくに太陽は沈み世界は闇に包まれているはずの景色が、辺り一面火の海でした。


 何がどうしてそうなった!?






 畑も家の外壁もどこもかしこも赤く染まっていた。


「まさかの森林火災っ!」


 外に出て茫然と立ち尽くしていると、ピロンといっくんからメールが届いた。

 画面をタップしてメール読む〝かりゅう けんか き もえる かじ なった いえ あんぜん きにしない〟なるほど、さっきの鳴き声は火竜さんでしたか。喧嘩でブレスしちゃったのね……この世界なんでも有りだな。


「…………喧嘩するなら海の上でお願いしまーす」


 炎は生き物のように這いずり次々に木々を燃やしていく。

 数十メートル先に生えていた大木が腹の底から響く轟音ごうおんを立てながら大地に崩れ落ちた。

どのくらい時間で鎮火するのか専門家でないと予測はできないだろう。だが一つだけ知識を有していない私にも予測できる事がある。鎮火した後に広がるのは何も残らぬ焼け焦げ荒れ果てた風景だということである。


 これ鎮火しないかぎりアルベルトが私を迎えにくるの無理だよね。


「なんてこった」


つい数時間前まで緑溢れる豊かな森だった風景を思い出しながら、ちょうど良い大きめの石に腰掛、真っ赤に熟れたトマトを丸ごと齧り頬張った。口の中に程よい酸味と甘さが広がる。


「うまー」


 トマトを咀嚼し飲み込み、真っ赤に染まった空を見上げた。


 小学校遠足当日、台風が直撃して中止。中学校修学旅行、階段から落ちて腕を骨折。高校のスキー研修、初日後ろからクラスメイトに追突され足を骨折。家族旅行、3日前にインフルエンザにかかり1人ベットでお留守番。友人とライブ、ゲリラ豪雨に襲われびしょ濡れ。バイトの面接日、豪雪により電車運行停止。

 私が出かけようとすると高確率で何かが起こる。呪われているのだろうか。


 とりあえず、無理だと思うけど、一応明日アルベルトが迎えにきた時に備えて今日は早めに寝よう。


お読みくださりありがとうございます。

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