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留守番したら異世界でした。  作者: 上城樹
第一章 異世界と私
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16.異世界文化コミュニケーション 迷い人編。

 アルベルトはごしごしと手の甲で口元を拭い、コホンっ咳払いを一つ。


「えー、迷い人とはですね」

「アルベルト、アルベルト」


 気を取り直して話し出そうとするアルベルトの名を呼びストップをかける。話の腰を折って申し訳ないが、これは言っておかないと。

 とんとんと自分の右頬を指差し一言。

 

「まだ、ついてますよ」

「…………」


 いや、そんな絶望した的な眼差し向けられても困ります。


「洗面台で顔洗ってきたら確実に綺麗になるかと」

「……おかりします」

「どうそどうそ」


 速足で去っていく背を見送る。よほど恥ずかしかったのか耳の先まで真っ赤だった。








 洗面台で顔を洗いサッパリしたアルベルトが姿勢を正して座布団に正座して座る。

 アルベルトがいつのまにか正座を習得しているだとっ……と思ったら私の座り方を見て真似しただけのようだった。

 

 私は悩んでいた、正座は慣れていないと後々大変なことになるから、やめた方がいいと教えてあげた方がいいだろうか。と。


「では、迷い人について話したいと思います。迷い人とは500年に1人現れる……」


 なんと、悩んでいる内に話が始まってしまった。

 ……まぁ、別にいっか。





 迷い人とは500年に1人現れる存在する世界が異なる異種族のこと。主な特徴は迷い人が現れる周囲の土地は豊かになるり、それと比例して危険な魔獣も増えること。

 迷い人は季節に関係なく様々な作物を収穫できる特別な畑を所有し、井戸から水を汲まなくても自由に水を使え、夜なのに昼のように明るい不思議な家に住んでいる。迷い人を発見し保護することで国が豊かになり発展すると言われている。


 アルベルトの話を纏めるとだいたいこんな感じだった。 


 さらに迷い人のことが書かれた文献が多く残されており実際に500年前に迷い人が現れ保護することができた国は本当に豊かになり発展したそうだ。

 以前の迷い人が現れてから今年がちょうど500年目になるため。城から、全ての領地へ「もし、迷い人探し発見することがあれば城に知らせること。また、迷い人はとても弱く繊細なので保護した時は大切に扱うように」との御触れをだしたそうだ。


「……ひょっとして巡回していたのは迷い人を探すため?」

「いえ、魔の森は元々魔獣が多かったので巡回は昔からのものです。ただここ数ヶ月で森の資源が豊かになったのは確かですので、巡回の際、森の中に迷い人もしくはそれに連なる物がないか探すようにと命令はされておりました……が、はずかしながら貴方に助けられ意識を取り戻すまで、迷い人のことは忘れておりました。その、あまりにも畑が……」


 あぁ、畑がすごすぎて他のことは、すっきりさっぱり頭の中から抜け落ちたんですね。

 すごいなアルベルトの畑愛。


「ですので、私が保護する対象であるひよ……迷い人の貴方を警戒することはありませんよ」


 今、ひ弱って言おうとしてたな。


「質問については、砦に来ていただいた時に纏めておこないますので安心してください」


 あれ、砦に私が行くの決定事項ですか?

 本人の意思無視ダメだって、安心できる要素ないから。



お読みくださりありがとうございます。

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