表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
留守番したら異世界でした。  作者: 上城樹
第一章 異世界と私
16/48

15.異世界文化コミュニケーション 食べ物編。

 もりもりと口いっぱいにハンバーグを頬張り幸せそうにパンに手を伸ばすアルベルト。

 そのパン4個目だよ。男の人の食欲すごいね。

 さっきまでの遠慮はどこへいった。


「こんなモグおいしい、モグモウものムグ……はじめて食べました」

「あはは、ありがとうございます」


 あれ、おかしいなアルベルトのまわりにフワフワと花が飛んでいる幻覚が見えるぞ。


 人間に頬袋ってあったっけ。と疑問に思うほどアルベルトの頬はパンパンに膨れている。

 アルベルトはあっというまにハンバーグを食べ終わると綺麗にスープまで飲み干した空の器を名残惜しそうに見つめている。


 今度はペタンと垂れた犬耳の幻覚が見えてきた。


「あの、おかわりありま……」

「いいんですかっ、いただきますっ」


 ……できたら最後まで言わせてほしかったなー。 


 ずいっと目の前に差し出された器を受け取り台所へ。

 自分が作った料理をおいしそうに食べてもらえるのは嬉しいので、ついつい多めに具を入れてしまう。


 居間に戻るとアルベルトの後ろにブンブン揺れる尻尾が……。なんか今日幻覚見る回数多いなー。


「この白い食べ物はスープに入れて食べるとおいしいですね」

「おいしいですよね。それ」


 パンを全て食べ終わったると、ご飯をスープに浸して食べ始めた。私が幼稚園の年長さんの時に発見した食べ方だ。

 初日にその食べ方に気づくとはアルベルトやりますね。



 先に食べ終わった私は空になった食器を台所へ片づけ居間へもどり、残ったサラダをさらえているアルベルトをぼんやり眺める。


 アルベルトって騎士だよね。いくら命の恩人だからって初対面の人の家に上がって一泊するって警戒心薄くないか。お風呂でも物珍しそうに色々見ていたのに軽い説明だけで納得して詳しく聞いてこないし。


「なぜ初対面の人間を警戒しないのか、どうして何も尋ねてこないのかという顔ですね」

「へっ」


 サラダを食べ終えたアルベルトの視線が私を射抜く。吃驚しすぎて変な声がでた「へっ」てなに「へっ」て、恥ずかしい。


 そんな私の様子に「あってました?」とクスクス笑いながらアルベルトは首を傾げた。


「あってますけど、理由教えてくれるんですか」

「えぇ、かまいませんよ。理由は貴方が迷い人だからです」

「……え?」

「貴方が迷い人だからです」


 いやいや、どうだみたいな表情で胸張られても困りますって。 

 迷い人ってなんですか。と質問したいが、その前にアルベルトに教えてあげなくてはならないことが。


「アルベルト」


 姿勢を正しビシッとアルベルトの口元を指差し私は声高こわだかに言った。


「食べかす付いてますよ」と。


お読みくださりありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ