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留守番したら異世界でした。  作者: 上城樹
第一章 異世界と私
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14.異世界文化コミュニケーション 衣服編。

 昔、本の解説を見ながら浴衣や袴の着付けを自力でなんとかしようとしたことがあった。結局うまくいかず羽織るだけで挫折し、その道のプロに着つけてもらった。

 普段着ない衣服を身に着ける際、戸惑ったり、うまく着れなかったするのは仕方がないと思う。

 西洋鎧装備してたし、甚平は初めてですよね。

 仕方がない、仕方がないのはわかっているが……


 上気した頬、汗ばむ肌、濡れたままの髪から首筋へしたたる水滴、ズボンから延びるスラリとした足、鍛え抜かれた素晴らしいシックスパック。


「お湯に浸かったのは久しぶりです。ありがとうございました」


 上機嫌でバスタオルで頭を拭きながら近づいてきたアルベルトは甚平を羽織り前を閉じず美しい肉体美をおしげなく晒し現れた。


「どういたしまして」


 風呂上りのイケメンは破壊力が凄まじい。

 素早く視線をそらし愛想笑いを浮かべる。

 ちらちらと視界に入るアルベルトの腹筋が心なしか輝いているような気がする。


「ずいぶん開放感がある服ですね」


 アルベルトは甚平の裾を摘み上げ興味深そうに眺めている。


 チガウヨ、ソレハ、甚平ノ着方マチガッテルカラダヨ。


 やめて、25歳、彼氏なしの年頃女性にこの光景は目に毒だ。せめて前を肌蹴ないように手で押さえてください。


「アルベルト」

「はい、なんでしょう」

「それは上着の内側にある紐同士紐んで外側にある紐同士を結んで着るものです。今すぐ結んでください」

「紐?」


 アルベルトは甚平から、だらーんと垂れている紐を持ち上げ、なるほどと頷いた。


「こうやって着るものでしたか。これはボタンを留める手間がはぶけていいですね」


 甚平の紐を結び鍛えられた肉体が視界から隠され、ほっと一息。


「食事の用意ができているのでどうぞ、座布団……そこの四角いふかふかした布の上に座ってください」


 すでに食事の用意ができている居間へ案内した。

 アルベルトは器用に長い足を曲げ座布団の上に座った。なんだか窮屈そうではあるが、その座布団少しお値段がお高いふかふかなやつなので我慢してね。

 我が家にはダイニングテーブルやダイニングチェアなんておしゃれな物は残念ながら存在しない。

  



 食事に対してもしきりに遠慮をしていたアルベルトだったが、彼のお腹の虫がなかなかご立派な鳴き声をあげたことにより、問題は解決した。あれで食べないという選択肢はない。

 お腹を押さえ、蚊の鳴くような声で「ごちそうになります」と言い羞恥に頬を染めた姿もイケメンだった。

お読みくださりありがとうございます。

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