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留守番したら異世界でした。  作者: 上城樹
第一章 異世界と私
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13.初対面でいきなり2人はちょっと・・・。

 一口大ハンバーグを軽く焦げ目がつくまで焼き、隣のトマトスープ鍋の中に投入。

 鍋に蓋をして火を弱め後は30分煮込めば特性トマト煮込みハンバーグの出来上がりだ。

 台所で洗い物をしながら、ため息を吐く。微かに聞こえる水音は、自分以外の人物がシャワーを浴びていることを教えてくれる。





「あぁあぁぁの、す、すみません」


 初対面の人にビンタをしてしまい。血の気の引いた青ざめた顔で謝罪する私に対し。


「ふふ、気にしないで年頃の御嬢さんに触れた私が悪いのですから」


 くすくすと笑って許してくれた菩薩級に心が広い彼の名前はアルベルト。呼び捨てでいいと言ってくれたので遠慮なくアルベルト呼びだ。


 なんでも彼は熱で倒れてしまった砦の仲間に代わり馬に乗り、魔の森(このジャングルの名称らしい)の巡回任務にあたっていた途中、狼の魔獣の群れに襲われ。なんとか魔獣を倒しつつ群れを振り切ったが巡回ルートを大幅にズレ道に迷ってしまった。


 そんな時、偶然見つけたのが私の家である。魔の森に見たこともない変わった建物があることを(魔の森に普通の人間が住むことは不可能だそうだ)訝しんだアルベルトは様子を窺がうことにした。するとどうだろう。信じられないぐらい豊かな畑がそこにあるではないか。


 興味引くのは建物より畑ですか。


 生まれが農家であった彼は夢のような素晴らしい畑に感動し、もっと近くで見たいと馬から降り敷地内に入ろうとしたが結界に阻まれその場で立ち往生。

 畑に気を取られ周囲を警戒するのを怠った為、背後から忍び寄るナメークの気配を感知できず、あっさり襲われ抵抗するまもなく奴の体内にとり込まれてしまった。


 結構うっかりさんだ。


 馬も逃げ、誰も助けを望めない状況。呼吸も儘ならず意識が朦朧もうろうとしもうダメかと諦めかけた瞬間、人の雄叫び(私の魂の叫び)のようなものが聞えたので最後の力を振り絞って唯一自由だった片腕で助けを求め、私の塩攻撃でいい感じにナメークが弱ったところを蹴り飛ばし脱出したものの、そのまま力尽き意識を失い倒れた。


 舌打ちして、余裕そうに見えたけど違ったのね。


 その後意識を取り戻し、眠っている私を発見風邪をひくといけないから起こそうとするも、己の体がねばねばでこのまま命の恩人に触れるのは失礼だと全身に浄化魔法をかけ(この浄化魔法、有効範囲の汚れをすべて落とす効果を持つ長期任務や旅をする時重宝されるそうだ)鎧と剣を装備したままでは怖がらせると思い外し、布製の衣服姿になり私を起こしたのだと教えてくれた。


 お心遣いありがとうございます。


 ここまで乗ってきた馬は逃げ足がなく、さらに夜は魔獣が活発になり危険が増すため無理でなければ一晩泊めてほしいと、赤い紅葉を頬に付けたアルベルトに頼まれ、罪悪感もあったことから二つ返事で了承した。


 いくら浄化魔法で汚れを落としたと言っても気分が悪かろうと、湯を張った浴室で簡単なシャワーの使い方とお風呂の入り方をレクチャーし、バスタオルと父がパジャマにしようと購入した未使用の甚平を持たせ、しきりに遠慮するアルベルトを洗面所へ押し込めた私は、現在夕食の準備をしている。


 家に招き入れたのは軽率だったかも……まぁ、万が一悪い人だった時は敷地内から強制退去してもらえばいいか。

 今は久しぶりの話し相手ができたことを喜んでおこう。

 

 レタスとトマトを盛り付けたサラダ、茶碗、箸、スプーン、フォークを居間の机に並べる。西洋風の顔立ちのアルベルトはお米を好きではないかもしれないのでパンも用意した。

 煮込みハンバーグを器に盛り付けるだけの状態まで準備し終わり。後はアルベルトがお風呂をあがるのを待つだけだ。



 余談ではあるが、彼の鎧と剣は外に放置は気が咎める、かといって室内に置くのは嫌だったので物置小屋で保管している。



お読みくださりありがとうございます。

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