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留守番したら異世界でした。  作者: 上城樹
第一章 異世界と私
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12.寝起きにイケメンは心臓に悪い。

 ユラユラと体が揺らされている。

 誰かが肩を掴んでいるようだ。


 せっかく気持ちよく寝てるのに邪魔するとは、無粋な人もいるもんだ。私はまだ寝たりないので構わないでおくれ。


 ていっ、と掴まれている方を払いのけ再び夢の国へ。 


「お…て……さ…」


 あー、素晴らしいバリトンボイスが聞こえる。めっちゃ好み、いい声だなぁ。今日1日頑張ったから神様からのご褒美かな。

 今日本当に大変だったよね。巨大ナメクジから騎士を助けて、騎士引きずって、彼が目覚めるのをまってる間にねむくなって……しまった、騎士放置したまま熟睡してしまった。

 気を失った人を放置して、うたたねならまだしも熟睡って人としてアウトでは? 覚醒だ! 覚醒するんだ自分!


「おきてください」

「ふぉっ」


 自力で覚醒する前に、力強く肩を揺さぶられ目が覚めた。

 何度か瞬きして顔を上げると、アクアマリンのように澄んだスカイブルーの瞳がピント合わないぐらい近くに……。

 反射的に仰け反って距離をとる。

 目の前に簡素な布製の衣服を身に着けた騎士がいた。彼はいつの間にか鎧を脱いだらしい。


「あぁ、すみません。驚かせるつもりはなかったのですが、そろそろ日も陰る時間でしたので体が冷えてはいけないと思いまして」

「はぁ」


 私の右手を軽く握りながら微笑むイケメン騎士。

 空は綺麗な夕焼けでした。

 なるほど気温が下がる前に起こしてくれたんですね。ありがとうございます。さすがイケメン。


「私はリガルの砦の騎士アルベルトと申します。この度はナメークから助けて下さりありがとうございました」


 眩しい笑顔でお礼を言うイケメン騎士。

 リガルの砦ってどこですか。アルベルトってカッコイイ名前ですね。ナメークって貴方を消化しようとしてた巨大ナメクジのことですか。

 まぁ、助けましたね。貴方すさまじい蹴りで吹っ飛ばして最終的に自力で脱出してたけど。


 脳内は大混乱、体はイケメンに手を握られたことに吃驚しすぎて硬直。


「あの? 大丈夫ですか?」


 何も言わない私に心配そうに首を傾げるイケメン騎士。

 ブンブンと首を振り頷く。とりあえず手を離してほしいです。と視線で訴えてみるが私の思いは一切伝わらない。

 少しでも距離をとろうと腰を反らし腕を突っ張る。勢い余って仰向けに倒れそうになった。


「おっと、危ない大丈夫ですか?」


 イケメン騎士が、するりと腕を伸ばし私を抱きしめた。


 頬が彼の胸板に押し付けられる。あらあら、素敵な大胸筋ですね。

 じゃないっ、やめろ! 顔を近づけるな、腰を抱くな、耳元でささやくなぁー!


 寝起にイケメンは刺激が強すぎる。男性に対する免疫少ししかないです。イケメン免疫ほぼゼロですが何か。

 ゆえに私がパニックをおこしたのは仕方のないことだったのです。 


「うわあぁぁん」

「えっ、ちょっ、あの、落ち着いてくださっ」


 バッチーン


 気が動転しているのだから、無意識に手が出たことも仕方がないことだったのです。

 人生で初めて男性にビンタしました。

 イケメンは節度ある距離を保って鑑賞するのが一番だと私は思う。

お読みくださりありがとうございます。

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