井戸の底にて
ベッドから
起き上がるのも一苦労
ふわり
ぐらり
ぐるり
ひとりでは
外に出るのもままならぬ
ふわり
ぐにゃり
よろり
ひと足ごとに雲を踏む
ひと足お先に天国気分
井戸の底に沈んだままの
壊れてしまった左耳
嘆くことなどあるまいよ
この世の中は心を迷わす雑音だらけ
そんなもの半分聞こえりゃ充分だ
自己中 逆切れ 責任転嫁
勝手な言い分ぶつけられても
聞き取れなければダメージもない
ひとりきり
静まり返ったこの場所も
存外悪くはないかもしれぬ
誰の声も届かぬ水底で
内から聞こえるささやきに
耳を澄ませてみればよい