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鏡の識別  作者: アルバート
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第1章

--に捧げる。字がかすれていて読めない。

あるところに、ゆめのなかの明るいばしょにとじこめられたにんげんがいました。

とじこめられた、というにしてはそのばしょはとても広かったのですが、なにもないところでしたからとてもつまらなく思えたのです。

にんげんはここからどうにかぬけ出そうとかんがえます。

にんげんにはひとつだけ希望がありました。

にんげんのちかくには窓がひとつありました。


それこそがにんげんのここからぬけ出すただひとつの道でした。


ただひとつ、気がかりなことがありました。その窓の先はとてもくらかったのです。


「もしかしたらこの窓を抜けたら、暗闇で迷ってしまうかもしれない。それは困る。でも、ここが影が見つからない程明るいのだから、きっと問題ないだろう」


その日からにんげんは、それをしきりに調べ始めました。そう、なんにちも、なんにちも……。




結局、どこからどう引いてもおしても、窓はあかないことが分かったのです。ぜつぼうしたにんげんは思いました。いっそのこと、この窓をひとおもいに割ってしまえたら……と。




にんげんはもう狂っていたのかもしれません。この、どこにも影がつくられないくうかんは、たとえ手で目をふさいでも光が入ります。まぶたをとじたところで眠りなんてまぶしくてまぶしくてこないのです。体は疲れて疲れて疲れ果てて、頭はがんがんといたみつづけ、幻聴でさえきこえつづけるじょうたいで、どうしてせいじょうなことなど思いつくでしょう。窓を割ったところで、けがをするかもしれないのです。にんげんがとおれるほどの穴があくかも分かりませんし、だいいちわるためのものでさえ見つかりはしないのです。





にんげんは血眼になってこのくうかんからにげだすためにわるためのものを探しました。なにも見つかりませんでした。仕方がないのでにんげんはそのうでで窓を割ることにしました。がんっ、がん、っと打ち付けます。そのうち手の皮がやぶれて血があふれでましたが、痛くもなんともありませんでした。たとえ骨がいたいたしいくらいにへんけいしたところで、出られるならと、にんげんはきにしませんでした。





ほんとうは、他にもみちはあったのに。





まどを割ることにしか頭がまわらなかったおろかなにんげんは、すっかりグロテスクな手になってしまいました。でも、もう十分、窓にはヒビが入っていました。さいごにガン、っと打ち付ければ、たくさんのはへんが下に散らばりました。




にんげんはぜつぼうしました。ぜつぼうしたにんげんはなにも言えませんでした。にんげんはぜつぼうしました。ぜつぼうしたにんげんはなにも言えませんでした。にんげんはぜつぼうしました。ぜつぼうしたにんげんはなにも言えませんでした。にんげんはぜつぼうしました。ぜつぼうしたにんげんはなにも言えませんでした。にんげんはぜつぼうしました。ぜつぼうしたにんげんはなにも言えませんでした。にんげんはぜつぼうしました。ぜつぼうしたにんげんはなにも言えませんでした。ぜつぼうしました。ぜつぼうしました。ぜつぼうしました。ぜつぼうぜつぼうしましたぜつぼうしましたぜつぼうしましたぜつぼうしましたぜつぼうしましたぜつぼうぜつぼうしましたぜつぼうしましたぜつぼうしましたぜつぼうしました。ぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼう絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望----






そこにはみちはなく、ただの白い壁が冷たくそこにあるだけでした。




そうです、窓に見えたのは窓ではなくただの黒い鏡でした。狂ってしまっていたにんげんは、これまでに落ちた破片が、普通にしてはくろすぎることに気づきなんてしなかったのです。





でも、もう一つ、実は気づいていないことがありました。それはこれが単なるゆめのなかだということです。にんげんはもうゆめのなかでぜつぼうしきっていますので、きっとえいえんにこれがゆめだなんて思わず、かえることはできないのでしょう。








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