最終回
私は、あのあと救急車で運ばれた。付き添いに、泰人がついてきてくれた。先輩は、友人たちに連絡してから来てくれるそうだ。
病院に着くとすぐに分娩室に運ばれた。運ばれると暫くしないうちに赤ん坊の産声が室内に響き渡った。
「おめでとうございます。元気な男の子ですよ。」
「千。よく頑張ったな、俺たちの子だぞ。」
「うん。」
泰人は、泣きながら笑顔で喜んでくれた。
しばらくして、先輩が百夜ちゃん達を連れてきてくれた。
「千ちゃん、おめでとう。よく頑張ったね。」
「ありがとう、百夜。」
「千。よくやったな。」
「先輩もありがとうございました。」
皆、思い思いのお祝いの言葉をかけてくれた。とっても嬉しかった。なぜなら、私には、こんな友達がたくさんいるってかんじられたから__
「名前は、もう決めたのか?」
「はい。『愛都』にしました。皆に愛情があり都のような大きな心を持った子に育ってほしいという意味を込めて。」
「愛都か、いい名だな。」
こうして、愛都は生まれた。
5年後__
「おかーさん!絵本読んで!!」
「はいはい、愛都は本当にその絵本好きね。」
「だって、お父さんが書いた本だもん!このお話の男の子と女の子お母さんとおとうさんでしょ?」
「そうよ、お父さんがお母さんのお友達とのお話を本にしたのよ。」
「やっぱりすごいね!僕も、お父さんやお母さんみたいな、作家さんになりたいな!」
「きっとなれるわ。だって、愛都はお母さんたちの子だもの。」
「うん!!」
__小説家。
それは、職業としては、不確かな収入や、大量の締切に目を回され、一度大当たりすれば、有名な作家として生きていけるが、反対に道を外れ、人気がなくなってしまえばすぐに見放され出版社に捨てられる。__
だが、こんな仕事をやっていたおかげで今の私がいる。明るい世界を歩く私が。
今までありがとうございました。
これからも、どうぞ宜しくお願いします。