校舎にて
「なぁ、片切。お前、切川 千秋なのか?だったら、サインくれよ!俺、ファンなんだ。」
「わ、私も!!」
「握手して~!」
校門に来たら、私はたくさんの生徒に囲まれていた。ファンだとか、有名だからという理由で集まってきた生徒だった。
「おい!お前ら、少しは、千の気持ちも考えてやれよ!!」
「そうだよ!千ちゃん、あの事件おのおかげで、すっごい傷ついてるんだよ!」
「そうです。大体、あなた達の所為で、理事長も、お困りでしたよ。」
全生徒が、百夜のその言葉で静まり返り、それぞれに校舎に入っていった。
「じゃあな、あとは頼んだよ。」
「はい。」
「じゃぁね。また来るから」
「はい。ありがとうございました。」
教室に行くと見ないようにしているようだったけど、私に視線が集まっているのは、分かった。
「大丈夫?千ちゃん。」
「う、うん……。」
「あの片切…さん。」
「何ですか。」
話しかけてきたのは、クラスの女子生徒だった。
「き、昨日は、ありがとう!」
「え?」
「だ、だって、片切さんが言ってくれなかったら、どうなってたかって思ったら。」
「だから…ありがとう!」
私は、少しだけ嬉しかった。というより、感謝を人からされたこと自体が初めてなのだ。
「い、いいよ。そんな、私の事情で、皆を巻き込んじゃったし…。」
「そんな事ねぇーよ!俺ら全員、お前のおかげで、助かったも同然だからよ!なぁ、皆!」
「「そうだよ!」」
「「うん!」」
「皆…っ…。」
「そうですよ。千ちゃんは、皆を救ったんです。」
そうだったんだ。私の周りには、こんなにたくさんの仲間がいたんだ。
そのあと私は、泣いた。悲しくてじゃなくて___嬉しくて__泣いた。