第6章:政治の責任と「不作為」の排除――国家が犯してはならない大罪
国家の危機に際し、政治が最も慎まなければならないのは、国民の生命を人質に取った「責任の回避」と、法的解釈を言い訳にした「不作為」である。以下の「やってはいけない事」を政府は肝に銘じ、厳戒すべきである。
1.不作為による「緊急生存権」の濫用阻止: 特定の政党が政権交代の緊張感もなく長年権力を維持し、適切なエネルギー供給体制(原発の合理的活用、多角的な調達先の確保、戦略的備蓄の強化など)の構築を怠ってきた「無策のつけ」を隠蔽するために、安易に「緊急生存権」という言葉を政治的隠れ蓑にしてはならない。自衛隊派遣はあくまで国民を救済するための究極の「緊急避難」であり、政治家の過去の不作為を免責するための道具ではない。国民は政治家の失策のために血を流すことを望んでいない。政府は派遣決定と同時に、国内のエネルギー自給率の抜本的向上や、原発の安全かつ迅速な再稼働など、構造的な改革を並行して行う「不退転の責任」を負うべきである。
2.特定の同盟国への盲目的追随の抑制: 例えば米国のその時々の政権の政治的意向や世界戦略にのみ盲従し、日本の国益や独自の生存権を二の次にするような「追随外交」は、かえって地域情勢を複雑化させ、国民を予期せぬリスクに晒す。自衛隊の派遣は、日本独自の自律的な意思決定によって、日本の法律と憲法理念の下で行われるべきである。同盟関係は手段であり、目的は常に「日本国民の生存」にある。
3.背面を突かれないための慎重かつ多角的な戦略判断: ホルムズ海峡という「正面」の危機に兵力と意識を割くことで、北東アジアにおける日本周辺の防衛(背面)に致命的な「隙」が生じ、周辺国が我が国の主権を侵食してくるリスクを冷徹に計算しなければならない。正面を救って背面で国民を危険に晒すような戦略的失策は、生存権の保持に悖る行為である。全方位的なインテリジェンスを強化しつつ、一点集中の危機に対応するための「国家の総合力」が問われている。




