第4章:「憲法制定権力」の覚醒――国家存亡時における究極の全体決定
憲法学において「憲法制定権力(制憲権)」とは、国家の統治機構(立法・行政・司法)という枠組みを超越し、それらを生み出し、維持し、変革する究極最上位の権威である。これは国家と全日本国民に総有的に帰属する「政治的実存の態様と形式を決定する力」である。通常、この権力は憲法の安定的な運用の背後に隠れ、「守護者」として静かに統治を見守っている。
しかし、国家と国民の存亡が危ぶまれる極限時において、この眠れる権力は覚醒する。日本国憲法に当てはめるなら、前文に明示された「平和生存権」と「安全生存権」が、前提となる国際情勢の破綻によって危機に瀕した際、個別条文の形式的・字面的な拘束が逆に「国民の死」を招く障壁となるならば、憲法制定権力はその究極理念である「緊急生存権」を直接的に発動し、国と国民を死守する役割を果たすべきなのである。
憲法とは国民を縛り殺すための冷たい鎖ではなく、国民を生かすための温かな盾である。「法のために国民が滅びる(Fiat justitia, pereat mundus)」という倒錯した論理を断固として拒絶するのが、憲法制定権力の真髄である。現状のような原油輸入の遮断という事態は、まさにこの権力が発動され、国家の存立を賭けた「全体決定」を下すべき歴史的な瞬間なのである。




