表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/19

8・迷宮探索その6光のマテリアルオーブ

 春達は地下六階層に降りると回りを見渡した。

 ここの壁も変わらず幾何学的な模様。


「少し喉が渇くよな」


 と、春は汗を拭いアイテムバッグから水を取り出し飲み干した。


「確かにここに来てから水分補給をしていなかったわね」


 里実も水を飲み干し、アイテムバッグに空のボトルを収納する。


「それなら、ブレーツジュースがあるけど、飲む?」


 テリオスは自身のアイテムバッグからブレーツジュースを三本取り出し、春と里実に与えた。


「これジュース!?」


 濃厚な紫色の液体だが、きちんとボトルキャップが閉められたドリンク。


「美味しいから飲んでみてよ」


 テリオスに言われるがまま、春と里実はブレーツジュースを開けて口にした。

 そのジュースからは香りと味が芳醇で、二人は一気に飲み干してしまう。


「この味クセになるくらいにすげぇ美味いよ!」


「確かに美味しくてわたしも好きな味ね」


 と二人はぶれーつジュースを飲み、満足そうな表情をすると、


「元気も出たし、進みましょう!」


 里実が先に歩み出す。


 右に左にと進みながら辺りを探索する最中、春は一つの扉を見つけた。


「この扉、ゲームでは金銀財宝やお宝武器があったりするけど、開けても良い?」


 春は目を輝かせ、テリオスに問いかける。むろんテリオスはOKを下すだろう。

 予想通りテリオスはOKサインを出し、春は扉を開けた。


「た、宝箱だ!」


 金や銀、銅といった豪華な宝箱ではなく、虹色に輝く宝箱。

 仲を開けると複数のドリンクが入っていた。


「えっと、メントドリンク(回復薬)スピリアルドリンク(魔力回復薬)アブレコドリンク(状態異常回復薬)パナシアスドリンク(万能回復薬)リジェネスドリンク(再生薬)


 五種の薬を手に入れた春は、各種の効果を確かめるため、貼られているシールを読み始めた。


「メントドリンクは体力や傷を回復させる、スピリアルドリンクは魔力の回復、アブレコドリンクは毒や麻痺といった身体異常を打ち消す、パナシアスドリンクはあらゆる体力や怪我に魔力、状態異常まで回復するのか。そしてリジェネスドリンクは欠損部分を再生するのか」


 手に入れた治療薬を見て春は目を輝かせる。


「こんな貴重なものが初心者ダンジョンにあるなんて、地球に持ち帰って売れば、億万長者よ!」


 里実は瞳が金に変わり、欲望が駄々洩れになっている。


「えっ、売るの?」


 テリオスが心配そうに里実を見る。


「じょ、冗談よ、冗談♪」


 と目をそらし口笛を吹く。


「これ、各種十個も有るし、売るより俺たちで使った方がよっぽどいいと思うぜ!」


 春は薬の効果を知ったうえで、これからの冒険に必要だと判断し、里実を説得する。


「そ、そうね。マテリアルオーブのために使いましょう」


 その言葉にテリオスはホッと一息つく。ロウもガウッ! と吠えて先に行くぞと前に立つ。


「さぁ俺たちも先に行くか」


 春達一行は迷宮の奥に進みだす。その奥にたどり着くと大広間に出る。そこで待ち受けているのは大きな鳥だった。


「銀色に輝く大きな鳥?」


 春が見た鳥型の魔物は翼を羽ばたかせて上空から見下ろしている。


「こいつはフライグル(鷲)、輝き方から見て光属性だね」


 テリオスは魔物の情報を詳しく教えると、春達は戦闘態勢に入った。


 里実は魔導弓を構え、魔力の矢をフライグルに放つ。


 フライグルは空中で旋回し回避! 空から羽ばたき、羽根が輝くと春と里実の眼をくらます。


「眩しいいいいいいいい!」


「この光、強烈よ!」


 二人はアブレコドリンクを飲み、状態異常を消すと周りを見渡す。


「視界は元に戻ったようーー」


 春の視界に入ったのはテリオスとロウがサングラスを付けてイスを用意してに座りテーブルの上でブレーツジュースを飲んでくつろいでいた。


「テリオス、ロウ! 何くつろいでんだ!」


 春はツッコミを入れるが、


「二人とも頑張って。負けそうなときには援護するよ♪」


「ガウッ♪」


 テリオスとロウのくつろぎに、仕方なく援護は期待せず戦うことに。


「行くぞ、里実ちゃん!」


「もちろん、テオリア人の援護に頼らず倒して見せるわ」


 二人は連携を取り、フライグルに反撃を開始した。


ウル・(中級)プロテクト・(防御)ライジング(上昇)


 と二人に聞こえないように小声で防御力強化を施す。


 春は魔導剣に魔力を注ぎ込む。里実は魔導弓で魔力の矢を連続で放つ。

 しかし魔力の矢は一発一発可憐に回避、フライグルは上空から滑空し、里実に狙いを定めると、そこに待ち伏せていた春が一撃を放つ。


「アバランチ・クラッシュ!」


 大量の魔力が剣先から流れ、フライグルに当たる寸前、飛翔し回避された。


「くっそ、鳥の癖に速いんだよな」


「本当、焼き鳥にしたいくらいむかつく!」


(焼き鳥……)


アル・(最下級)ファイア・(火炎)バレット・()ラージ・()インパクト(爆発)!」


 春の放った火炎弾が高速でフライグルに向かい爆発。直撃したかと思われたが光を纏い鎧となって、爆発を防いでいた。


「チッ、焼き鳥作戦が失敗したか」


 覚えたての魔法も当たらなければ意味がない。


「それならアル・(最下級)バレット(魔力弾)!」


 フライグルに向けて魔力弾を放つ。が、フライグルはわざと受けて効かない事を証明する。


「なんだか叩き落したくなってきた」


「わたしも同意見」


 里実は魔導弓に魔力を溜めこみ始める。


「春、わたしが死止めるから時間稼ぎお願い!」


 里実の瞳が本気であることを知り、春はこくりと頷く。


アル・(最下級)バレット(魔力弾)! アル・(最下級)ファイア・(火炎)バレット・()ラージ・()インパクト(爆発)!」


 春はバレット系魔法を連発し、フライグルの動きを止めようとするが軽くあしらわれ、中々止まらない。


「くっそおおおお! 当たらねぇ!」


 春の魔法は一つも当たらないのでストレスが蓄積荒れていく。


「準備できたわ。まずはアル・(最下級)ファイア・(火炎)バインド・(拘束)チェイン・(鎖の)ホーミング(追尾)!」


 里実の使う魔法はフライグルの飛行回避を上回る追跡で縛りつける。


 フライグルはバタバタと翼を羽ばたかせ逃げようとするが、里実の拘束魔法からは逃げられない。


「喰らいなさい! フル・スティンガー!」


 溜めこんだ大量の魔力を一斉発射しフライグルを頭に直撃。頭だけが消滅し、胴体が落下した。


「やっと倒したか」


 春はフライグルからマテリアルオーブを抜き取ると光り輝く白いオーブに目が行く。


「これが光のマテリアルオーブか」


「綺麗ね」


 二人が見惚れている間にテリオスが近づき「二人ともやれば出来るね」と褒める。


「テリオス、ロウ、せめて援護するふりくらいしてくれよ」


 と春はジト目で睨む。


「まぁ、勝てない相手じゃなかったし、結果オーライで良いよね」


 と笑顔で答えた。


入手マテリアルオーブ

火1水5地2風1光1闇1無30


入手アイテム

メントドリンク10個

スピリアルドリンク10個

アブレコドリンク8個

パナシアスドリンク10個

リジェネスドリンク10個

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ